第4条  治療の理屈を理解しておこう


治療の理屈を「薬剤の作用機序」と言います。外科医の説明のように「わるいところをとってしまいましょう」というような猿でもわかる理屈とは違って薬剤の作用機序、つまり、どのような仕組みで治療が効くのかを自分でも理解しておく必要があります。

たとえば、ホルモン受容体陽性の乳がんの場合、女性ホルモンを「餌」としてふえるので血液中の女性ホルモンを減らすような治療(アロマターゼ阻害剤とか、閉経前ではリュープリン注射)やタモキシフェンの様に女性ホルモンががん細胞に取り込まれるのを妨げる治療を使います、とか、トリプルネガティブ乳がんの場合、細胞毒性抗がん剤がよく効くので、点滴と点滴の間隔を縮めてしっかり治療しましょう、とか、HER2タンパク陽性なら、がん細胞表面のHER2タンパクに手錠をかけてがん細胞の息の根を止める治療です、とか、自分が受ける治療の仕組みを知っておくのがいいいでしょう。

第3の注文「 『早期』という言葉に惑わされない」


よくある落とし穴

外科医:この間の検査で乳がんが診断されました。

患者:えっ、そうなんですか。えっ、どうしよう、がんだなんて、全然、思っていなかった、それで、早期なんですか? 手術できますか?

外科医:来週月曜日に入院すれば火曜日の手術枠が空いていますから間に合いますよ。

患者:早いほうがいいですよね、お願いします。

医師:早期発見できたのですから早期外科手術が大切ですからね。

第2の注文「慌てず 焦らず 諦めず」


第2条 

「慌てず 焦らず 諦めず」は、大切な心の持ち様ですが、早期診断とか早期治療など、はやくはやくと急き立てられ、検査とか治療を予約しようとしても何週間も先ですとわれ、慌てる、焦ることはしょっちゅうですね。また、初期治療をきちっと受けたのに再発したとか、再発してから受けた治療が効かない、いろいろな治療をしたけどもう使う治療がないと主治医から言われたときなど、諦めてしまう、もうだめだと思ってしまう、へこたれてしまうということは普通のことかも知れません。そんな患者さんたちが、診察室で涙を流す状況にしばしば遭遇します。慌てない、焦らない、諦めない、と言ってもなんの励ましにもなりません。大切なことは、慌てている自分、焦っている私、諦めた俺、を客観的に見つめることだと思います。慌てているのね私、焦っている僕、諦めてしまっているぞ、とおるくん、と、自分のありようを冷静に見つめてみること。そうすると少しづつ、光が見えてくるかもしれないし、強くなれるような気がするものです。また、家族や友達に、慌てちゃって、焦っちゃって、諦めちゃったことを話すというのもどうですか。

第1の注文「できるときにできることに立ち向かおう」


10月5日の僕のひとりごとで腫瘍内科医から患者への注文12か条に触れました。数人の患者さんから、「12か条全部守っていますよ」という反応を頂きました。また、もっと詳しく教えてほしいという要望もありました。なので少し詳しく注文の中身をお伝えしたいと思います。むかつく内容もあるかもしれませんが炎上させないでください。では、きょうは第1条「できるときにできることに立ち向かおう」です。

がんと診断がついて最初に行う治療を初期治療と呼びます。一方、初期治療が終了した後、他の臓器に転移が出た、もともとあったところに再発した、という場合を再発後治療と言います。腫瘍内科医の注文ですから、ここで言う治療とは、初期治療も再発後治療も主に薬物療法を指しますが、決して手術や放射線治療を否定するものではありません。初期治療の目標は「治癒、すなわち、病気を治してしまおう」ということです。ここで多くの人が勘違いしていることは、手術をすれば病気が治るということです。手術で治る場合もあります。それは「非・浸潤がん」の場合でしょう。しかし、浸潤がん、つまり、まわりのリンパ管や毛細血管の近くまでがんがにじみ出ていって管のなかに入り込み、さらに、その先に拡がっていくような場合には、手術だけで治まるような状況ではないのです。明らかでも明らかでなくても全身に転移が広がっていると考えて治療を計画しなくてはいけないのです。そんな場合、全身に効果の及ぶ治療をしなくては病気を治してしまうことはできないのです。全身に効果の及ぶ治療の中には、脱毛とか吐き気とか下痢とか手足の痺れとか皮膚の傷みなど、不愉快で不都合な副作用を伴う治療がありますが、このような治療を受ければ治る、受けなければ治らない、という状況で、副作用がきついからといって治療受けないという選択肢は正しいでしょうか? できるときにできることをしない、ということはあるでしょうか? 初期治療の目的は治癒であってそのためには全身に及んでいる微小転移を駆除しなくてはなりません。

〜乳がんを最大限 治すために〜腫瘍内科医からの12の注文


日曜日に名古屋であけぼの会全国大会というのがあって久しぶりにあけぼの会の集まりにお邪魔して新作ネタ、というより今までいろいろな機会に触れてきたことを「腫瘍内科医からの12の注文」と題してまとめてお話致しました。

第1条   できるときにできることに立ち向かおう

  第2条   慌てず 焦らず 諦めず

  第3条   「早期」という言葉に惑わされない

  第4条   治療の理屈を理解しておこう

  第5条   効果の見える薬物療法を求めましょう

  第6条   大きい病院に惑わされるな

  第7条   いい加減な外科医を見抜きなさい

  第8条   夢の治療はありません

  第9条   放射線治療の正しい受け方

  第10条  ふつうの生活が一番

  第11条  わくわくするような事に取り組もう

  第12条  永久の命はどこにある?

ラグビーの感動


アイルランドに勝った日本代表の活躍にはことごとく感動し関心しました。刻々と変わりゆく局面で15名一人一人が「いまこの時点で自分が何をしなくてはいけないのか」を考え、自分の考えで瞬時に行動に移すことでラグビーという競技は成り立っていることもよくわかりました。そうであるから勝てた日本代表の姿は実に頼もしいです。翻って身の回りを見てみると「どうしたら自分が仕事をしないで済むだろう、もっと楽をするにはどうしたらいいだろう」と、電話が鳴ってもなるべく出ない、回りが忙しくしていても気付かないふりをしている、同じ給料ならなるべく仕事はしたくない、という人類に多数出会います。指示まちというのでもなく、単なる怠け者なんでしょうか? One for all, All for one という行動規範は口を酸っぱくして説教して身につくモノではないんですね。育ちですか? 受け継いだDNAですか? 

合格通知


昨日、試験合格の通知がきました。学科講習4日間、学科試験、実技講習、実技試験とこの夏、フルに頭と体と心を傾け、打ち込んできただけに喜びもひとしおです。60の手習いとはこんなものでしょうか。また、ぼちぼちと、ブログも更新していきますわい。