聞かれなくても話します


セカンドオピニンで治療のことを聞きにきた人たちにも次のようなことは聞かれなくても押し付けがましく話します。

(1)アガリクス、メシマコブ、フコイダンなどのサプリメントとか健康食品とかいわれるものは、何の意味もありませんから手をださない方がいいですよ。(2)がんと診断されると、肉がいけない、牛乳がいけない、と惑わされて、栄養失調になってしまうひとがいます。どんな食材でも、バランス良く摂れば問題ありませんよ。(3)抗がん剤治療中は、なまものがいけないっていっている病院もありますが、それもまちがってますよ。新鮮なお刺身、よくあらった生野菜、あたらしめの生卵など、全く問題ありませんよ。その他、旅行に行ってもいいし、温泉(注:玉川温泉は除く)にいってもいいし、日常生活になんら、制限はありませんよ。など、他になにかあったっけ? それと、多くの患者に真正面から向き合って接してきて習得したご教訓、「がんになったことは不運かもしれないけど、だからといって不幸になるわけではないですよ、まえを向いていっしょに進みましょう」も伝えることが多いです。

チームビルディングのこころ


愛する友へ:寒い毎日が続いていますが、お仕事、ありがとうございます。多くの人間が同じ目標に向かい、全力で走っていると、ついついお互いに対する配慮が薄くなります。新しいメンバーも、一生懸命、真剣に、誠実に仕事を覚えようとしていますが、まだまだ、うまくできない、何回教えてもできなということもあります。指導する人たちも一生懸命だと思いますが、全体に忙しいとついつい、言葉もきつくなったり、態度も意地悪に見えたりすることがあり、それを受け取る側も悲しい思いをしていることがあります。大切なのは「愛」です。キリスト教では、「神を畏れて、隣人を愛せよ」と、この二つだけを守ることが、人類の平和、繁栄をもたらすとされています。愛してください。あなたの周りの人が困っているかもしれない、いじめれているかもしれない、心配しているかもしれない、おちこんでいるかもしれない。大丈夫ですかの一言が、上手にできるようになりましたね、の思いやりが、わからないことがあればなんでも聞いてくださいね、遠慮しなくてもいいですよ、というふところ深い受け入れが大切です。それが、周囲の人に愛を伝える表現です。神を畏れるとはわかりますか? ちっぽけな自分の能力だけでは、到底、できないこと、わからないこと、それを神には、わかっている、あなたがどこで何をしていても、神はあなたのことを見ている、知っているのです。神にはかなわない、とてもかなわないのです。空の彼方から、あるいはあなたの心の中から、あなたの行い、言葉、思いを、じっと見守ってくれています。もっともっと優しい人間になるようにするにはどうすればいいか、考えてみましょう。それが、よいチームを形成し、維持するために、最も大切なことです。よろしくたのみます。

さらばサンアントニオまた来年 これで帰ります


サンアントニオ乳がんシンポジウムも終了となり、とりあえずとり急ぎここに二つの演題についてまとめた感想と独り言をお伝えして帰国の途につきます。

(1)TIL Tumor Infiltrating Lymphocyte(腫瘍浸潤リンパ球)

乳がん組織にリンパ球の浸潤があることは、昔から病理医の目には止まっていました。最近、リンパ球浸潤の多い乳がんは予後がいいとか、様々な治療による効果の良し悪しもリンパ球浸潤の多寡と相関するという研究が多数報告されるようになりました。ザンクトガレンコンセンサスカンファレンスでも2011年から、間質のリンパ球の多寡は予後因子か?という質問がでています(1)。また、昨年には、乳がん組織中のリンパ球浸潤評価に関しての推奨が出ました(2)。今回のサンアントニオでも、イーデス・ペレーツが、術後trastuzumabの有用性を検討した報告(3)で対象となった臨床試験N9831に参加した症例のうち945症例(AC-paclitaxel:489症例、AC-paclitaxel+trastuzumab:456症例)のアーカイブマテリアルを使用して、間質のリンパ球浸潤の程度と予後を検討して報告しました。リンパ球浸潤の多い症例群(全体の10%)と少ない症例群(全体の90%)にわけて、いろいろな検討を試みてしまいました。まず、AC-paclitaxel群では、リンパ球浸潤が多い症例の10年無再発率は90.9%、少ない症例は64.3%(HR 0.22, P<0.009)と差が出ていますが、AC-paclitaxel+trastuzumab群では、リンパ球浸潤が多い症例の10年無再発率は80.0%、少ない症例は79.6%(HR 1.13, P=0.79)と差がありませんでした。なんということでしょう。次に、リンパ球浸潤が多い症例で、抗がん剤治療だけの症例と、抗がん剤+trastuzumabの症例をくらべてみました。抗がん剤だけでは、10年無再発率は90.9%、抗がん剤+trastuzumabの症例は80.0%(HR2.43, P=0.22)と,有意差はありませんが、trastuzumabをくわえると、かえって予後が悪い、という結果でした。リンパ球浸潤の少ない症例では、抗がん剤だけでは、10年無再発率は64.3%、抗がん剤+trastuzumabの症例は79.6%(HR0.49, P<0.0001)と、trastuzumabを追加することの効果がはっきりでたのであります。この現象は、多変量解析(ホルモン受容体、腫瘍径、リンパ節転移などの因子を加えて)でもかわならいという結果でありました。リンパ球ががん細胞をやっつけようとしているのに、trastuzumabが、その作用を弱めてしまうのでしょうか?

  1. Goldhirsch A, Wood WC, Coates AS, et al. Strategies for subtypes—dealing with the diversity of breast cancer: highlights of the St Gallen International Expert Consensus on the Primary Therapy of Early Breast Cancer 2011. Ann Oncol 2011; 22(8): 1736-47.
  2. Adams S, Gray RJ, Demaria S, et al. Prognostic Value of Tumor-Infiltrating Lymphocytes in Triple-Negative Breast Cancers From Two Phase III Randomized Adjuvant Breast Cancer Trials: ECOG 2197 and ECOG 1199. J Clin Oncol 2014; 32(27): 2959-66.
  3. Romond EH, Perez EA, Bryant J, et al. Trastuzumab plus Adjuvant Chemotherapy for Operable HER2-Positive Breast Cancer. N Engl J Med 2005; 353(16): 1673-84.

 (2)65歳以上の高齢者を対象としたイバンドロネート ± カペシタビン

65才以上の高齢者では、骨粗鬆症を高率に伴うので、イバンドロネート(日本では売ってません)を術後に使い、それに、抗がん剤「カペシタビン(日本ではよく売れています)」を加える、加えない場合の、PFSを検討した試験がドイツのフォンミンクウィッツ率いるGBG(German Breast Group)により発表されました。イバンドロネートだけ群(707人)、イバンドロネート+カペシタビン(702人)が対象です。結果は、浸潤がん再発、遠隔転移を見ても両群間に差がありませんでした。つまり、65才以上の高齢者では、カペシタビンの効果は認められなかった、というネガティブデータでありました。フォンミンクウィッツは、カペシタビンが無効であった原因として、対象症例でLuminalが多く、長期間のフォローアップ結果を見ないとわからないと考えています。CG製薬のこぐまさんは、これはCG製薬がやった試験ではないからと考えています。CG製薬のかわうそさんは、これはカペシタビンの投与期間がたった12週間と短すぎるからだと考えているようです。カペシタビンの投与期間の比較試験をやるのでしょうか? やらないのでしょうか?

SABCS恒例CASE DISCUSSION


サンアントニオ乳がんシンポジウムは、毎年、少しづつ、時に大幅にプログラムが変化しています。学会は時代のニーズに応えて、あるいは時代の変化を先導する形で成長するのは当然です。しかし、SABCSで長年、変わらないのが、二日目、三日目のお昼に開催されるCase Discussionです。このブログでも過去に何回か、触れていますが「一流の研究者は一流の臨床家」というのがこのセッションに参加するたびに、再認識されます。モニカモロウ、リサカリー、マシューゴエツなど、よく知られた人たちが、ぶっつけ本番で会場からの治療相談に応じました。今回関心したことは、今日の午前中のジェネラルセッション3の発表を聞いて、判断が難しくなったという2症例が提示されたことです。30才女性、BRCA1変異のあるT2N1M0のTNBC.。午前中のセッションで、イギリスの無精髭TUTTの発表で、カルボとドセタキセルの比較試験、BRCAの変異ありでは、カルボが良いと。症例数も少なく、エビデンスとしては弱いものですが、それでも、今日の今日なので、質問者も「カルボを含んだ術前化学療法は必要か?」との問いかけでした。リサカリーは、自分でも、コンサバですから、といって、手術→パクリ・ACみたいな標準を選ぶべき、との答え。つまらん、こいつのはなしはいつもつまらん、そんなんだったらGKITでもいえる。マシューは、術前のカルボ+パクリも選択肢の一つでしょう、とのよい答え。これぐらいの柔軟性がいいなあと思いますね、腫瘍内科医は。もう一例は38才、8cmの大きさの局所進行乳がん、ER陽性、PgR陽性、HER2陰性、肥満。術前化学療法でAC・パクリをやって手術した。その後の治療、どうしようか。今日の午前中のセッションで発表されたSOFTトライアル、TAM vs. TAM+LHRHアゴニスト、全対象症例では、PFSのP値は0,1、35才以下のサブセットでは有意差あって、併用がよろしという結果。しかし、それよりも、エキセメスタン+LHRHアゴニストの方がよいことが、今年のASCOのプレナリーセッションで発表されたのは、ご存知のとおり。しかーし、肥満女性では「おおおんな、そうみにAIまわりかね(大女AI不可循環於総身)がABCSG12で示されているので、この症例では判断が難しい。AI+LHRHアゴニストがよいか、それともTAM+LHRHアゴニストがいいのか。意見がまとまらなかったが、TAM+LHRHアゴニストで良いだろうと私は思った。そんな感じで1時間ちょっとのセッションで、9例のディスカッションがあって「臨床医の真髄は科学的推論である」ことがあらためてに示されました。若い先生とかに、CASE DISCUSSIONは、がちんこ道場だから、出た方がいいよ、と毎回勧めるのですが、日本の若者はどうも臨床の現場での真剣勝負は興味がないようで日本人の参加者はまばらでした。ざーんねーん!

「マヤク」はやめよう


私の研修医時代、麻薬はモルヒネ粉末を水と赤ワインとシロップに混ぜた液体で、考案されたイギリスの病院名から「ブロンプトンカクテル」と呼ばれるものでした。がん患者はこれを1日6回内服、夜痛い時は夜勤の看護婦を呼び医師に許可された追加分を内服、という大変使いにくいものでした。このような不便さに麻薬に関する社会通念が加わり、麻薬には中毒、体力消耗、早死と言った、明らかに間違った概念が医療者の間でも定着していました。その後、1日2回の内服で済む錠剤や、三日に1枚皮膚に貼るパッチ型の製剤が発売されると不便さは一掃され、がん性疼痛完全撲滅というWHOのキャンペーンにも後押しされ、医療者の間で、医療用麻薬が普及したかに見えました。

しかし、11月18日朝日新聞医療欄の記事「医療用麻薬に誤解の壁」は、日本では使用が広がっていないと指摘しています。この記事では、医療用麻薬の普及を妨げる原因の一つに医師の説明不足を挙げていますが、私の見解はちょっと違い、単語の問題だと思うのです。医療用麻薬を「強い痛み止め」という医師の説明がそもそも間違いのもと、これは強い薬は使いたくないという患者の心情を逆なでする表現です。弱い、強いではなく、消炎鎮痛剤と麻薬とでは薬の作用のしかたが違うのです。また、「麻薬」という単語は必要でしょうか。医療用とつけても麻薬と聞けば、患者、家族は、依存症になる、寿命を縮めると思います。麻薬という単語に染み付いた誤解はそう簡単には解けません。ならば、いっそのこと麻薬という単語を使わなければいいのです。別に法律で決まっているわけではありません。学会で私がそう発言したら、ある病院の薬剤師が「入院患者では薬袋に赤いスタンプで麻とあるので、麻薬と言わないわけにはいかない。」と反論。しかし、そのスタンプも法的根拠はないのです。誤解の壁は、全く根拠のないところにいつまでも立ちはだかっているようです。

医療用麻薬に行政の壁


2014年11月18日の朝日新聞医療欄に「医療用麻薬に誤解の壁」という記事が載っていますが、掘り下げが甘く取材内容もありきたりです。実際の壁は、行政、マスコミにあることがわかっていません。オキシコンチンを内服している患者が海外旅行にいくことになりました。そうしたら、旅行社から、麻薬を飲んでいることを英語で証明してほしいと要求され、地方厚生局のホームページをしっかり読んでくれと言われました。地方厚生局のサイト見るとそこには、「麻薬は、厚生労働大臣の許可を受けた「麻薬輸入業者」・「麻薬輸出業者」でなければ、輸入輸出することができないと「麻薬及び向精神薬取締法」で定められています。」と書いてあります。確かに、輸出とか輸入という話ならば、その通りでしょう。しかし、医療用麻薬を内服している患者でも「自己の疾病の治療のために麻薬を使用されている方が出入国する場合には例外規定を設けており、事前に地方厚生(支)局長の許可を受ければ、その麻薬を携帯して輸入・輸出することができます。」とあり、事前の許可を得るようになっています。「例外規定」という概念が医療者からみるとピンときません。さらに注意事項として「海外では、日本とは異なる規制を行っている場合があります。訪問する国の在日大使館や領事館などに、事前に許可が必要かどうか必要な場合はその手続きについて問い合わせていただき、トラブルなどが発生しないよう十分にご注意ください。」「海外で麻薬等の処方薬を所持する場合、違法薬物所持の疑いをかけられるなどのトラブルを避けるために、上記の条件に係わらず英文の医師の証明書を携帯することをお勧めします。英文の証明書の作成については、かかりつけの医師にご相談ください。麻薬等の商品名は海外では通用しない場合がありますので、必ず成分名で記載するようにしてください。」とあります。触らぬ神に祟りなしという姿勢を感じ、事なかれ主義行政の分厚い誤解の壁がここに立ちはだかっているのです。朝日新聞辻外記子記者は、この点をどう考えているのでしょうか。この辺りを国際的にもきちんと整理するのが、行政の仕事だろう!!と思いますけどね。麻薬の話題、ここも読んでみよう。

薬を飲みたくなくさせるマスコミ


「薬は体に悪い影響を与えるのでなるべく飲まないほうがいい」という間違った意見を主張する本が出回っています。立ち読みしてみると、糖尿病の治療はするな、コレステロールは下げるな、など根拠のない誤ったな話ばかりで呆れてしまいます。がん治療についても、一部の出版社が煽り立てるように抗がん剤を否定する内容の本が店頭に多数並んでいます。また、鎮痛剤や解熱剤は飲まないで痛みは我慢するほうがい、熱は下げないほうがいいと主張する本もありました。このような情報に影響されているのか、薬はとにかく飲まない方がいいと固く信じているひとは少なくありません。どんな薬にも求める効果と避けることができない副作用が必ず現れます。とくに抗がん剤は確かに副作用が強いです。しかし、副作用を経験するけれど長生きができるという効果が得られる場合も多いので、一時的な副作用をどうにか凌いで、効果を享受してほしいと思うのです。出版社も本が売れさえすればいいというような無責任な対応は改めてもらいたいとつくづく思います。同様のことは、テレビ番組にも言えます。以前、がん治療をテーマにした民放の特別番組に出演した時、事前に予備取材があり、私は腫瘍内科医は数種類の抗がん剤を用いて、副作用を抑える工夫をしながら効果を引き出しながら治療を進めるという内容を提案し、患者にも取材に応じてもらい映像も準備しました。ところが、スタジオでの番組収録の際、ゲストタレントの「えっ、抗がん剤って一種類じゃないの?」の発言に対して私が言った「抗がん剤は約150種類ぐらいあります。」の一言にディレクターが反応、後日、追加取材が来て、ありったけの抗がん剤を並べて撮影し出来上がった番組は「がん治療の達人!150種類の抗がん剤を使いこなす」という内容でおもしろおかしくまとまっていました。テレビ番組は視聴率さえ上がればよいのでしょうか? マスコミは国民のレベルを反映しているのでしょうか?

薬を飲みたがらない患者 その1


他の病院で乳がん手術を受け5年後に肺転移が診断されたYさんが娘さんと一緒に当院にやってきました。持参した紹介状には5年間ホルモン剤「タモキシフェン」を内服した、と書いてありました。ところが看護師が本人から話を聞くと、処方された薬は全く飲まずそのまま家に置いてあるというのです。娘さんも前日に聞いて驚いたそうです。内服しなかった理由を聞いても明確な答えは返ってきません。あまり問い詰めては本人も辛かろうと、なぜ、どうしてはさておき、話してくれてありがとうございます、ということにしました。紹介状に書いてあることをそのまま信じていたら、同じことの繰り返しになっていたかも知れません。もし、治療しなければ肺転移が進行し、咳が出る、息が苦しくなるといった症状が現れるだろうから、それを予防するには何らかの治療はする方がいいことを私は患者に説明しました。自宅にあるタモキシフェンはすでに有効期限を過ぎているし、別の飲み薬も飲まない可能性があるので、月に一回の注射で使うホルモン剤はどうだろうか、と説明したところ、すんなりと治療を受け入れてくれました。診療後、看護師が聞くと、説明はよくわかったので治療は続けていきたいとのことでした。次の予約日に受診してくれるかどうか、若干気になりますが、まずは一安心です。Yさんのように薬を飲みたがらないという患者は少なくありません。その理由は、何のために、何を求めて治療をするのか、ということが、患者に伝わっていないことだと思います。医師からの説明が不十分、不適切であることが大きな原因であることは間違いありません。がんの治療薬について、医師が説明し患者が理解すべき最大の要点は、「望む効果を得るためには、ある程度の副作用は受け入れざるを得ない。」ということです。買い物をするのにお金を払わなくてはいけないのと同じように、効果の代償としての副作用ということを理解してもらいたいのです。

 

人生の最期を支える


私はがん治療医として数百人の患者の最期を看取ってきました。死亡を確認し家族に臨終を告げるのですが、病室では家族の深い悲しみに圧倒されながらも、死にゆく患者の尊厳を保ち、家族に穏やかで暖かい思い出が残るよう配慮するのも医師の仕事であることを学び、看取りは医療であると同時に法に定められた職務でもあり、また厳粛な手順であることも習得しました。浜松で街角がん診療を開設して十年、自宅やホスピスで亡くなることを希望した患者、家族に安心して最期の時を迎えてもらえるよう調整する仕事も続けています。Oさんは総合病院で乳がんが転移した状態で診断され、当院で通院治療を開始しました。家族に迷惑をかけては申し訳ないからと、Oさんは毎週ひとりでとなり町から電車に乗って一時間かけて通院して来ました。まだ元気なうちは通院も楽しいですとおっしゃっていましたし、町内会活動や婦人会の旅行などにも積極的に参加するよう私も勧めていたので、家族はOさんの病状を正しく理解できていなかったようです。痛みや息苦しさがでてきた頃に、孫を預かるのも辛くなったOさんは息子夫婦に「だいぶ辛いので少し助けてね」と伝えました。しかし、息子からは「お母さん、弱音を吐かずに頑張ってね」と本人とっては不本意な返事が返ってきたのでした。その話を看護師が点滴中に聞きだし、本人、夫、息子夫婦と我々医療者との面談を設定、私から家族にOさんの病状を説明し助力を求めました。それからは夫も受診の際には電車で同行して来ました。ある日Oさんは診察室で「自分は住み慣れた自宅で死にたい」と言いました。本人の明確な意思表示は夫もうろたえるほどでしたが、我々は即座に対応することにしました。看護師から自宅近くの訪問看護ステーションに連絡し近所の診療所の先生に往診を依頼しました。2週間後、息子から、本人の希望通りの最期を迎えることができ家族も感謝しているとの連絡がありました。

懐かしい同級生


小学校、中学校の同級生で長いあいだ音信不通だった市川くんが浜松でBIRKENSTOCK (http://www.birkenstockjpn.co.jp/)というドイツ製の靴の専門店をやっていることがわかり行ってきた。市川くんは小学生のころ、いっしょにロケットを飛ばしたり、熱帯魚や小鳥を飼ったり、すごく仲良く一緒に遊んだ友達だ。市川くんらしい芸術的、個性的な雰囲気の店。ちょっと見つけにくく、見つけてもかなり入りにくい感じの店構え。今日は自分用にチャコールグレーのフェルトの室内履き、妻の妙子用に紺色のものを購入。市川はくんはBIRKENSTOCKの店を25年近くやっていて、品揃え、知識、助言も素晴らしいかった。お店は、BIRKENSTOCKの「正規代理店」にはなっていなくて、BIRKENSTOCKのホームページにあるようなしゃれた透明感のあるお店とはぜーーーんぜん違う。場所は、昔の可美村の旧東海道沿い(北側東向き)で、カフェレストラン「ガスト」から100mぐらい西に行ったところ、紳士服の青山から東に200mぐらい行ったところだよ。写真の白い建物で、現在は、表の柱に縦に「BIRKENSTOCK」と書いてある。お店のある建物の右半分が駐車場入り口。