乳癌情報局発進!


【浜松発】 2月19日(日曜日)、浜松乳癌情報局 第一回市民公開講座「乳癌、あなたの疑問に何でも答えます」(浜松乳癌情報局、ブリストルマイヤーズ株式会社共催)が開催された。会場となったアクトシティ浜松コングレスセンターには約240人が参加、3時間にわたる基調講演、パネルディスカッションに熱心に注目、傾聴した。癌医療の領域では情報の非対称、ということが問題とされている。つまり、医療従事者側の持つ情報と、患者側の持つ情報に、質、量ともに大きな差があるのが現状だ。この差を埋めるためには、あらゆる手段を駆使した情報提供が必要である、という考えに基づき計画された第一回市民公開講座は、参加者の反応も上々であり、予定される第二回市民講座についての問い合わせが早くも寄せられている。浜松乳癌情報局は、患者、家族、医療者、学生、一般市民など、さまざまな対象に、今後も効率的な情報提供を行っていく予定である。今回実施したアンケートは現在集計中であるが、「乳癌だけでなく、他のがんもとりあげてほしい」、「毎月でも開催して情報提供をしてほしい」などの要望もみうけられた。浜松乳癌情報局長の渡辺亨氏は「乳癌以外の癌についても情報提供するよう努力したい。また、浜松オンコロジーセンター二階に設置した談話室を使った小規模な公開勉強会なども、今後定期的に行っていきたい」との抱負を語った。なお、浜松乳癌情報局第二回公開市民講座は、8月20日(日曜日)、アクトシティ浜松コングレスセンターにおいて聖路加国際病院乳腺科、中村清吾氏を招いて開催される。主催は浜松乳癌情報局、共催企業は募集中である。その後、交渉の結果、今回同様、ブリストルマイヤーズ株式会社が共催することになった。

ちょっとお披露目 「がん常識の嘘」


「がん常識の嘘」 
第6章 抗がん剤は世代交代が起きている より

 

・・・・当時は乳がん、卵巣がん、肺がん、大腸がん、などの、固形がんの治療は、まだ手術で切るしかない時代でした。固形がんに対して抗がん剤の効果がある、と初めて報告されたのは1969年のことでした。全身に広がった乳がんに対してCMFVPを行ったところ70%の患者でがんが消えたというデータがアメリカ癌学会で報告されたのでした。ちなみにCMFVPとはCyclophosphamide(シクロフォスファミド、商品名「エンドキサン」)、Methotrexate(メソトレキセート、商品名「メソトレキサート」)、Fluorouracil(フルオロウラシル、商品名「5エフ・ユー」)、Vincristine(ビンクリスチン、商品名「オンコビン」)、Predonisone(プレドニゾン、商品名「プレドニン」)の5種類の薬剤の組み合わせ。現在のCMFの基本となった併用方法です。これはもう、がん治療の学会では天変地異に等しい衝撃がありました。しかし一度消えたがんも、やがて再発するということが明らかになり、二の矢、三の矢をしかけるように、二次治療、三次治療と、治療を繰り返すことや、もっともっと効果の高い薬剤の開発に、全世界の製薬会社が血道をあげたのでした。そして1970年台に登場したのがアドリアマイシン、1980年台にはシスプラチン、そして90年代にはタキソール、タキソテールが登場し、2000年頃までには、悪性リンパ腫、乳がん、胃がん、肺がん、食道がん、頭頚部がん、大腸がん、卵巣がん、子宮がん、などの、頻度の高い固形がんに対する細胞毒性抗がん剤治療が出そろったわけです。しかし、これらは、毒でもってがんを制することを基本的なメカニズムとして効果を発揮する薬です。副作用も強い、効果はかならずしも長続きしない、ということから、なんとかがん細胞だけを狙い撃ちするような薬ができないだろうか、その発想から考え出されたのが、分子標的薬剤です。一時期、ミサイル療法という呼び方をされたこともありました。がん細胞の特定の部分を標的にミサイルを撃ち込む、現在の分子標的薬剤の発想です。ミサイル療法という呼び方が今ひとつ定着しなかった理由は、ミサイルはいいが、なにを標的に撃つの?、テポドンじゃないんだから目標をはっきりさせてよ、という問いかけに答えることができなかったからです。それに比べるとハーセプチンは最初にHER2タンパクという、細胞増殖に深く関与する標的があきらかになり、あとから、ミサイルであるハーセプチンが作られたという経緯があるため、薬剤として成功したと考えられます。リツキサンもそうです。B細胞リンパ腫の表面にあるCD20という表面マーカーを、まず標的と定め、それに対する抗体として作成されてのが、リツキサンです。

 

この続きは「がん常識の嘘」をお買い求めくださいね。

オンコロジストの独り言が本になりました


いつも、かってなことばかり書いているオンコロジストの独り言の内容が一部含まれる本が出ました。
 
書名: がん常識の嘘
著者:渡辺亨
A5版220ページ
出版社:朝日新聞社
定価:1300円+税
ISBN4-02-330361-5
 
目  次  紹   介
 
第1章 「がん難民」はこうして生まれる
第2章 早期発見・早期手術だけではがん医療は不十分
第3章 手術の成功イコールがんの治癒ではない
第4章 転移・再発後のがん治療は間違いが多い
第5章 副作用は避けられる
第6章 抗がん剤は世代交代が起きている
第7章 がん医療をめぐる数字のトリック
第8章 がん予防法・健康食品に根拠はない
終 章  医師と患者のよりよいつきあい方

電子カルテのかげひなた


浜松オンコロジーセンターに電子カルテを導入して1週間が経ちました。マニュアルを見ながら使いこんでいくうちに、だんだんと慣れてきて使いやすいなと感じる部分、どう考えても不合理な部分、いったい何を考えてこんな仕組みにしているんだとややむかつく部分、経験知が足りなくて稚拙な部分、など、があります。
 
今回導入した電子カルテは、診療所向けの既製品、使い勝手が良かろうが悪かろうが、購入した以上、それに慣れるしかありません。大病院で電子カルテを導入する場合、病院側からのワーキンググループなどと呼ばれるユーザーの代表者グループと、電子カルテ制作業者の開発チームとが、毎週のように話し合いをして、その病院の運用にあわせて、システムをカスタマイズする、というプロセスを進みます。今はずっとずっと合理的に事が進むのでしょうが、私が国立がんセンターでTRUMPとMIRACLEという名称の2つのオーダリングシステム導入に関与した時は、まったく不合理かつ、わがままな要求がユーザー側から次々と出され、開発チームは、そのわがままをなだめる事にエネルギーを費やしていたようなこともありました。たとえば、まだマウスが一般的でなかった頃、ユーザー代表の中のわりと若い年代の○○先生から、「是非マウスを使えるようにしてほしい」との要求が出されました。開発業者側は「技術的には可能です。」と答えます。すると、ユーザー代表の中のわりと年配の医師が答えます。「○○君、マウスって意外と不便なんだよね、知ってる? 机が広くないと、全部動かせないんだよ、広い机は外来には入らないから難しいんだね。」 このような不毛な議論が延々と続き、マウスをつけるけど、使いたくない人は使わなくてもできるシステムにしてほしい、という結論になりました。しかし、開発業者側は、「技術的には可能だけどなあ~、予算的にどうなんだ!、いったい、いつまで、ユーザーのわがままにつきあわなきゃ、いけないんだ。斬り~」という心の底のさけびが聞こえてきそうな表情で、だまってやり過ごしておりました。こんな感じで、多かれ、少なかれ、大病院のオーダーメイドシステムは、その病院のわがままな要求に振り回せれて、ずぼずぼの作り込み になっており、それをそのまま他の病院で使えないので、開発経費に無駄が多い、また、他病院とのデータやりとりなど、とてもできなさそうなシステムがあちこちの病院に導入されたのでした。
 
一方、既製品の電子カルテ商品の場合、いくら不合理であると、10人中9人が感じたとしても、そういうことになっているので、そういう物として使って下さい、ということになります。その最たるものが「A5サイズ処方箋」対応です。私は、前からこの不合理は知っていました。というのは、国立がんセンター中央病院で院外処方を始めたときのこと、薬剤数が多くなり一枚の処方箋では、足りず2枚になって、患者さんが、そのうちの一枚だけを薬局にもって行ったので、薬剤が全部処方されなかったことがありました。その時、処方箋用紙をよくみると、A4の半分しか使ってなくって、残りの半分には、処方された薬剤とは全然関係のない薬剤の注意書きがずらずらとプレプリントされているのです。薬剤部長に、「このずらずらの部分は無駄だから、処方薬を記載する部分を広くしてほしい」と御願いしたところ、「院外処方箋はA5と厚生(労働)省が決めているので、それはできない」と言われました。A4の半分の部分だけを使えば、「A5サイズの処方箋」の基準を満たすので、それはそれなりに賢い対応です。しかし、どうしてA5でなくてはいけないのでしょうか? 世の中、A4が国際サイズとされ、いままでB5などが使用されていたカルテや公式文書もすべてA4に変更されているのに、なんでA5などという、みみっちいサイズの紙を厚生労働省は指定しているのでしょうか。なんでA4でもOKとしないのでしょうか、この時代に。
それで、当院で導入した電子カルテも、「A5サイズの処方箋」にしなくてはいけない、ということで、電子カルテ純正品のレーザープリンターは、すべてA4とA5の2種類の用紙をいれるダブルトレー方式なのです。最近の汎用機は、レーザーでもインクジェットでも、ほとんどがA4のみ対応なので、ダブルトレー対応のプリンターは、デザインもださい、音もうるさい、ずうたいもでかい、のです。A4で印刷した院外処方箋を縮小コピーしてA5にする、とか、A4も受け付ける院外処方薬局が繁盛しているとか、いわれなき「A5サイズの処方箋」のために、世の中、おかしなこと、無駄なことがいっぱいおきているように感じます。そこでひとこと、いっ・・・、おっと、あまり言うと小嶋社長やホリエモンのようになってしまうとこまるので、ここは、おとなしく、おとなしく、おとなしくおとなしくしなくてはいけません。しかし、言いたいことはいわないとストレスたまってやけ食いしそう。そこで、いっぱつ、いっか~ん、いっか~ん、いっか~ん、いっか~ん、いっか~ん、すこしすっきりしました。 では、次回、電子カルテシリーズは、「経験知がたりなくて稚拙な機能」についての独り言を聞いて下さい。
 
 
 
 
 

医師-患者関係


過日訪れた町の症例検討会で、医師-患者関係について考えさせることがありました。O先生が術後の患者さんに抗がん剤治療を提案したところ、患者さんが、抗がん剤はしない、という道を選択された。しかし、数ヶ月で遠隔転移が出た、ということで、そこからの治療方法の選択をどうしましょう、ということがポイントでした。すると、会場の後ろのほうに座っていらっしゃった、やや年配の地元の先生が、「何で術後の抗がん剤治療をやらなかったのか。患者が拒否するなら、説得してでもやるべきだろう。自分で説得ができない、と思ったら、先輩でもだれでも呼んできて、説得してもらうべきで、それもしないのは、怠慢ではないか!」と、喝~っ!!!!みたいな迫力で主張されたのです。担当のO先生は、とても理性的で、よく勉強されており、その地域にあっては、標準的治療普及の若きオピニオンリーダーとしてしっかりと診療をされている先生です。この患者さんにも、十分に時間をかけて、再発のリスク、抗がん剤治療を実施した際のリスク抑制効果、そして、抗がん剤治療をやることのハーム(副作用、時間、お金)をきちんと説明して、その上で患者さんが選択した道を尊重した、ということなわけで、私も、それでいいんじゃないかな、と思いました。ここで、医師ー患者関係の4つのパターンがある、という話、これに行き着くわけです。詳しくは、近々、朝日新聞社から出版される「がん常識のうそ」をお読みください。えっ、本の宣伝だったの? そ~なんですよ。

電子カルテ(3)


電子カルテのヴェンダー、つまり、電子カルテを作っている会社は、大病院と診療所では、かなり異なっているのですが、その理由がよくわかりません。大病院では、IBM, NEC、富士通、日立など、一般のコンピューターの開発も手がけている会社のものが多いのですが、診療所では、BML、サンヨー、シャープなど、大病院用のとは、別の会社が、高いシェアを持っているようです。どのような経緯でこういう棲み分けが定着したのか、病診連携を考えた場合、このような棲み分けが障害とならないのか、など、十分に理解できない点があります。明日は電子カルテを設置の日です。

説明と同意の難しさ


AKさん、お久しぶりですね。ご無沙汰しております。NSASBC01試験は、来年、いよいよ最終解析を向えます。確かに、臨床試験に参加して頂くためには、説明することが山ほどあり、同意を頂いたあとも検査や治療の内容やスケジュールについて、説明することが、山X山あります。ですから、試験に参加されないという方には、説明量がぐっと減るので、外来の時間も短くなりますし、患者さんからみると、手のひらを返したように、と、感じるのかも知れません。ほんとうは、そのように感じさせてはいけないのですが、なかなか、若いうちは経験不足もあり、つい、こちらの都合で話を進めてしまうことがありますね。以前にもAKさんから、同様の指摘を頂いたことがありましたが、そのような経験を通じて、我々も、段々対応がうまくなり円滑になっていくように、努力しなければいけないと思っています。ご指摘、誠にありがとうございました。お元気にお過ごし下さいませ。