エビデンス侍 見参2 丸山ワクチン


癌に対する免疫療法として、古くからある丸山ワクチン。A、Bと書かれた注射液を代わる代わる、毎日皮下注射をする。市販されていないので、製造元の日本医科大学より、患者さん情報をある程度提供して、無償で分けてもらって患者さんに注射する、という、変則的な方式が、長年続いていた。癌が消えた、とか、癌が増大しなくなった、って、いうじゃない。

でも、かれこれ、30年も立つのに、未だに、有効性と安全性をしめす、科学的根拠が提示されない、っていうことは、いったいどういうことなんでしょうか!! 残念。

途中から、ゼリア新薬が、開発に関与し、「アンサー」という商品名で、「放射線療法による白血球減少症」の治療薬として、1991年より市販されている。これも変な話。苦肉の策、というほかないね。放射線療法による白血球減少は軽度であり、放っておいても通常は問題は全くない。抗がん剤を併用して白血球が減少するようなことがあれば、GCSFを使用すればよし。ということで、アンサーの存在意義も、全くなし。またまた残念!!

科学的根拠をきちんと示す、つまり、臨床試験をしっかり行なって、客観的データを作ることをなおざりにした結果、効きもしない「丸山ワクチン」で、如何に多くの患者さんが、迷惑を被ったか!! 斬り!!

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上棟式


上棟式 

平成17年1月12日(水曜日)午後3時より渡辺内科医院・ 浜松オンコロジーセンター の上棟式を無事、執り行いました。一つの区切りとして、今後、夢の実現に向けて、益々、がんばらなくてはいけません。皆さん、よろしく御願いしますね。

エビデンス侍 見参!


沖縄では、シークワーサーが、がんに効くという、いかにも売らんかな的な話がかたられている。その理由は東京のK大学医学部、一般消化器外科(一般だよ、一般!、つまり専門じゃないっていうことだよ)で、ネズミに大量にシークワーサーの成分を飲ませたら、癌が消えたって、いうじゃな~い。

でも、そんなたくさん、わけのわからないもの飲ませたら、癌だけじゃなく、飲まされたネズミまできえてしまいますから~。残念!

K大学は、日本の医療を混乱させている! 斬り~!

癌医療に求められること(最終回)


街のがん医療をめざして

年間、約100万人の日本人が死亡するが、そのうち、35万人の死亡原因はがんである。がん医療に携わる外科医はたいへん多い。しかし、外科手術の限界も見えてきた昨今、放射線治療、薬物療法、などの必要性が急速に高まり、治療体系が大きく変容しようとしている。それなのに、手術以外の治療の担い手の育成が大幅に遅れているのが現状である。がん罹患者数の増加に加え、がんに関する情報は氾濫しており、民間療法や、不適切な免疫療法、リンパ球療法など、根拠の乏しい医療行為が横行している。一方、定評のある病院の外来は、患者であふれ、朝9時に受付をすませた初診患者の診療が夜7時から始まる病院もある。国立がんセンター中央病院では、最近、手術までの待機期間をホームーページで公表しているが、手術によっては「75ヶ月待ち」という信じられない数字をあげている。厚生労働省は、がん専門医の養成と適正配置を目指した均てん化策を講じようとしているが、その成果は、現状のニーズにはとても応えられない。いま、がん医療の専門家に求められていることは、日常生活、社会生活を送りながら、外来通院で抗がん剤治療を提供すること、および、氾濫する情報のなかから患者一人一人の医療状況に応じた適切な情報を取捨選択できるような援助をすることである。医師一人、薬剤師一人、看護師三人の最小単位から、都心の診療所に解説したオンコロジーセンターも1年が過ぎ、患者のニーズには、ある程度応えられていると思う。オンコロジーセンターがめざすところは街のがん治療である。辻々の交番のようにがん治療と情報提供ができるオンコロジーセンターがあれば、患者は都会のがん専門病院に行かなくても、安心と安全のがん医療をふるさとで享受することができるだろう。オンコロジーセンター二号店、三号店を目指したい。その手始めとして、浜松オンコロジーセンターの開設に着手した。

癌医療にもとめられること(7)


EBMを重視したがん医療

 

Evidence Based Medicineは、がん医療でも極めて大切な問題解決手法を提供してくれる。目の前にいる患者に対してどのような治療を行なうことがもっともよいことか。これは、すべての医療者が日々遭遇する命題であろう。EBMの手法では、この命題をまず、PECO形式の疑問文に作りかえるところから始まる。P(patient:どのような診断、病状の患者に?)、E(exposure:どのような治療を行なった場合?)、C(comparison:どんな治療を行なった場合と比べ?)、O(outcome:結果、効果はどうなのか?)。PECO文を作ることができれば解決すべき問題点が明確にできたことになる。さらに、PECO文に解答を出すように、過去の臨床研究や、基礎研究の論文を検索すればよい。抗がん剤治療の場合、治療の効果をすぐには実感できないことが多い。たとえば、初期治療での再発抑制効果を目指した治療をするにしても、治療を受けている患者一人一人にとっては、今、受けている治療の効果があるかないか検討がつかない。ただただ、副作用に苦しむばかりの日々を送るなかで、どの程度の治療効果が、科学的に確認されているか、という情報は、治療を継続する上での励みになるだろう。医師も、検証されたその効果を根拠として、つらい治療かも知れないけれどがんばりましょう、と患者を励ますことになる。がん医療においては、科学的な根拠を尊重する姿勢はとりわけ意味のあると思う。

癌医療に求められること(6)


グループ診療をささえるためのカンファレンス  

 

私がレジデントとして研修を受けた頃の国立がんセンター病院内分泌グループは、乳がんを中心に、病態や治療にホルモンが関与する疾患の診断、治療を担当していた。阿部先生のほか、4名のスタッフ医師がおり、毎週火曜日の病棟回診では、この5人に私を加えた6名がナース・ステーションに集合し、約20名の入院患者一人づつについて、問題点、治療内容、今後の方針を担当医師が提示、とくに、個々の症状や徴候の背景となっている病態生理に関して、全員が共通の理解が得られるまで徹底的に議論が展開された。時には、口角泡を飛ばすような激しい議論になることもあった。印象に強く残っているのは、私が担当した38才の転移性乳がん患者、肺、肝臓、全身の骨に転移があり、寝たきりに近い状態であった。膝から下や口の周りが痺れる、という症状から始まり、次第に手もうまく動かなくなっていた。カンファレンスで、脳転移、抗がん剤の末梢神経障害、脊髄転移、ビタミン不足など、様々な鑑別診断が挙ったが、阿部先生から「カルシウム値はどうだ?」との指摘あり、測定すると低値であった。つまり「低カルシウム血症」、いわゆるテタニーの状態だったのである。骨転移を伴う乳がんでは、骨が破壊されカルシウムが溶け出し、血液中のカルシウムが高い値をしめす「高カルシウム血症」がしばしば見られる。それなのに、低カルシウム血症。理由がよくわからない。おそらく、ふつうの病院では、ここまでの鑑別はたどりつくだろう。そして、点滴の中身にカルシウムを追加して補正を試みることはするだろう。しかし、このチームでは、そこからの追求がすさまじかった。「なぜ、低カルシウム血症なのか?」、「造骨性骨転移(がんが骨に転移した結果、骨が溶けるのではなく、骨のカルシウム分がむしろ増加して骨が硬くなる転移形態、前立前癌の骨転移に多いが乳癌でもときに見られる)で、骨にカルシウムが取り込まれているのではないか。」、「いやいや、健常人の血清カルシウム値の調節には様々なホルモンやビタミンが関わっているからそう簡単には乱れないものだ。」、「じゃあ健常ではないとすれば、どこを調べればいいのか」、「ビタミンD、副甲状腺ホルモン、カルシトニン、血清アルブミンなどは調べる必要があるだろう」・・・。ということで、調べてみた結果、副甲状腺ホルモン(Parathyroid Hormone: PTH)が異常に低い、ということがわかった。PTHは、血清カルシウム値を上昇させる働きをもつホルモンだ。翌週のカンファレンスで、「低カルシウム血症の原因はPTH低値でした。」と発表したところ、「なぜPTHが低いのか?」、「いつから低くなったのか?」という話になり、「検査室に凍結保存してある過去の血清を使ってPTHを測定してみよう」ということになった。測定の結果、血清カルシウム値の低下と同じように、PTHが日を追って低下しているのがわかった。正常ではカルシウム値が低下すると、それを補正するためPTHは上昇する。どうやらPTHの分泌が悪いようだ、つまり、副甲状腺機能低下症ということになる。副甲状腺は、のどの甲状腺の裏側の四隅に張り付くようにある大豆ぐらいの大きさの内分泌腺だ。副甲状腺機能が低下する理由が、皆目検討がつかない。当時は、インターネットもない時代だったので、図書館司書のお姉さんに文献を検索してもらったが、そのような報告は全く見あたらなかった。結局、亡くなった後の病理解剖で、気管と甲状腺の間の隙間をはうように乳がん細胞が転移しており、副甲状腺が完全に破壊されていたのである。病棟カンファレンスでのこのような徹底的な討論で、ほぼ、病態の全容が解明できた。このとき、これが、内科の神髄なのだな、と感じた。とかく、がんの末期状態の患者では、どんなことがおきてもおかしくない、というような対応で、病態生理が解明されないことが多いように思う。腫瘍内科医は、まず、内科医である、というのは、こういうことなのだ。また、徹底した討論は、診療グループ内での問題解決や意志決定プロセスを熟成させ、共有化するには不可欠である。私が診療グループをまとめる立場になったときも、十分な議論を通じて、がん患者の病態生理を解明しようという姿勢を重視した。レジデント教育にはたいへん有意義だと高い評価を得た反面、そのような議論を、無意味、不毛、時間の無駄、と切り捨て、カンファレンスにも出席しない、出席しても腕を組んで居眠りをしている医師もいたが、グループ診療、チーム医療を、実践するためには、常日頃からの、担当者間の意思疎通のための徹底的な討論の積み重ねが不可欠である。

 

癌医療に求められること(5)


グループ診療、チーム医療

 

国立がんセンター病院には、第14期レジデントとして昭和5761日からお世話になった。レジデント(住み込み研修医)の字義どおり、病院内に住み込み、昼夜の別なく入院患者の診療、外来診療の見学・補助、症例カンファレンス、英文抄読会、院内発表や地方学会での準備、など、多忙な日々を過ごした。私の指導者は阿部薫先生(国立がんセンター名誉総長、現在、横浜労災病院長)で、当時、阿部先生の診療グループは「内分泌グループ」と称しており、緩やかなグループ診療制をとっていた。グループ診療とは数名の医師が、診療方針について等しく智恵を出し会い、合議を形成しながら診療を進めていく形態である。主治医制では、主治医以外の医師は、診療方針や、治療内容の最終決定には関与しないのが普通である。「おれの患者、私の先生」という強固な人間関係を好む場合には、グループ診療制よりも、主治医制の方がいいのかも知れない。しかし、がん治療の場合、治療方法の選択については、必ずしも正解が一つとは限らない。いくつかの選択肢の中から、その時々で、最も適切と思われるものを選ぶ過程が必ずある。また、がんに伴う症状や、治療に伴う副作用を正しく把握するためには、薬学的知識や、病態生理を正しい理解が不可欠であり、複数の専門家の経験知の集結が必要である。患者からみると、グループ診療は、担当の医師がころころ代る、主治医不在という印象を持たれることがあるが、そうではなくって、複数の目で見て、複数の頭で考えることのメリットは大きいと思う。

チーム医療も、がん医療ではとりわけ重要である。内科医、外科医、放射線治療医、看護師、薬剤師、などの、専門の異なった医療職が、協調して、治療を進めるのがチーム医療だ。手術後、いつから、食事を開始するか、リハビリをどうするか、抗がん剤治療の副作用対策をどうするか、など、複数の医療職が関与することが多い。ところが、同じ疾患に対する同じ抗がん剤治療なのに、主治医によって、使用する量が違っていたり、吐き気止めの種類や、投与方法が全く異なっていたり、という話はよく耳にする。原始的な病院では、主治医毎に「○○先生用指示」というのが用意され、それぞれの医師の流儀に精通した熟練看護師が病棟を仕切っている。しかし、このような不合理は、医療過誤の温床となる。確かに抗がん剤の投与量やスケジュールの間違いで、患者が死亡した事故の報告は多い。変更を必要とするような医学的な特殊事象がないかぎり、主治医にかかわらず、同じ手順で対応し、過誤の発生するチャンスを少なくする、業務を標準化するため、最近では、クリティカルパスの導入が進められている。がん医療では、グループ診療、チーム医療をもっと導入し、風通しのよい医療を行なうべきであろう。