劇団ひとりSPIKES


静岡厚生病院の院内カンファレンスで乳癌診療とSPIKESについて話した。11月3日の大阪巡業以来、SPIKES関係の講演は3つめ。火曜日には記者向けプレスセミナーで話したが反応はいまいち。看護師や医師、薬剤師などの医療従事者向けの書籍、雑誌を発行しているところのライターの中には、SPIKESの特集を組みたい、というありがたい反応もあったが、一般新聞などはそもそもドタキャン多数。やはり、免疫療法みたいな、うそでもいいから派手な話のほうが一般単純マスコミにはうけるのかなと、いじけちゃう。
静岡厚生病院の玉内登志雄院長は小学校、中学校の同級生。院内の乳癌診療勉強会には、2年前にも呼んでくれた。そのときは、彼も院長になって間もない頃だったし、勉強会の参加者もあまり多くなかったが、今回は、超満員で質問もたくさんでた。玉内院長は、昔とおなじ、ひょうひょうとした感じだけど、癌診療の本質をわきまえて、きちっとした診療体制を構築しているようだ。乳癌診療もかなりハイレベルに実践しており、看護師、CRCの取り組みも積極的だ。「結構、がんばってるじゃん、玉内くん。がん診療拠点病院になればいいじゃん」といったら、「うちはとてもむりだよ」、と。「そうだね、拠点病院にはなっていてもがん診療はまったく三流っていうところもいっぱいあるよね」、「そだよな、あるよな、でも病院の名前はブログには書かないほうがいいんじゃないの」「そうだな、これ以上、敵をつくらないようにしないとね。」「そうだよ」・・・、と、幼馴染の会話は続く。それはさておき、勉強会の話。
今回の勉強会では、それで、SPIKESを話してくれといわれていたが、講演だけはインパクト弱いかなと、ロールプレイを思いついた。しかし、今回劇団員はいないので、私ひとりで患者の夫役で研修の亀井佐知先生に医師役になってもらった。シナリオは、再発告知の場面、患者の変わりに夫が外来に来て、妻には再発のことは知らせたくないので、という設定。肝転移の説明、治療の説明、本人に説明したほうがいいという説明など、なかなかちゃんとできた。やるじゃん。亀井先生は来年から、腫瘍内科のトレーニングプログラムに進むそうだ。いい判断だね。 参加してくれた原壮先生から、こんなにすばらしい講演会ははじめてだよ、とお褒め頂きました(ミシュラン 三ツ星 ★★★)。
広告

タバコ充満厚労省


地下鉄丸の内線改札から厚生労働省(合同庁舎5号館)に続く入り口で会議案内を守衛さんに見せて「会議です」と言って厚労省の地下1階に続く通路を進みます。すると、なんということでしょう、タバコの臭いがだんだん強くなるではありませんか。まさか、と思いつつ1階にあがるとますます強くなるタバコの臭い、相当の違和感を感じますし、正直言って抵抗を感じます。会議の時間が迫っていたのでとりあえず2階に行き会議終了後、時間があったのでタバコ臭の出所を突き止めてみました。わかりました、厚生労働省の敷地内、北側に「喫煙所」があり、そこにうだつのあがらない風情の役人が常時5-6人、2-3分見ていると、入れ替わり立ち代り、ワイシャツの胸のポケットにタバコの箱を透けて見せながら、休み時間でもないのに喫煙者多数!! そこの煙が建物内に流れ込んで来ていました。ちょっとまってよ、ここは日本の保健・健康・医療行政をつかさどる役所だぜ、しかも地下1階~1階と、多くの人が出入りするところでこの臭い、そりゃあないだろう、町工場じゃあないんだから。敷地内全面禁煙にすべきだ。医療機能評価では、喫煙所があると不合格となるのに、いったいこれはどのように考えたらいいのでしょうか。「タバコをすっているのは、旧労働省職員なので健康問題は関係ありません」ってか?? 

納得診療


11月3日は大阪クリスタルタワーで、SPIKES普及協議会主催 「コミュニケーションスキルワークショップ」を開催した。このワークショップは名古屋、秋田に続いて3度目となるSPIKES-BCによるロールプレイを中心とした普及活動の一環。最初に「医療崩壊をくいとめるために医師の付加価値を高めよう」という趣旨で私が講演、SPIKESのポイントも整理して話した。開始前、会場の参加者からは、「セッティングはセッティングやろ、次のパ・・、何やこれ、わからんわ、日本語にしてもらいたいわ、まったくぅ~。」という会話が聞こえた。大阪弁だけに怖い。例によって、そう言っていた本人に、質疑応答のときに「何か質問してください」と当てたところ、「病名告知などで、私たち看護師は、どのようにかかわればいいのでしょうか」と、すばらしい質問をしてくれた。すごいじゃん。
ロールプレイは2題、病名告知のシナリオは、和歌山の粉川先生に、転移再発のシナリオは高知の杉本先生にお願いした。粉川先生12年目のバリバリ、杉本先生は25年目のベテランで、CSPORなどでもご協力いただいている。患者役、夫役は、劇団SPIKES-BCが担当。当初より、思いっきり突っ込んで、ごねて、困らしてやろうか、みたいなのりで、てぐすねひいて本番を迎えた。粉川先生は、こんなはずじゃあなかった、と事前にはずいぶんとぼやいていたが、粘り強い語り口で、乳癌と診断され、これから、最適な治療を行うために全力で取り組みましょう、というメッセージを20分できちんと伝えた。患者役の井上さん、夫役の橋爪先生も、聞きたいことは全部聞いて、十分に納得した、という境地に達したようだった。杉本先生は、シナリオをきちんと把握し、主治医が急遽出張になり、代役として説明する研修医という設定で、肝転移が出たこと、これからパクリタキセルを行うこと、脱毛にこだわる患者の意向にも十分に配慮しつつ、治療の意義をわかりやすくしっかりと説明する、という流れで、これも20分で、患者、竹原先生、夫、福内先生、十分に納得診療であった。
今回のワークショップで認識したことは、「病名告知、転移の説明、治療の説明など、いわゆるBad Newsの説明は、SPIKESを使えば大体20分で患者が納得するレベルまでの説明は可能である。」といういうことだ。一人の患者に20分もかけられない、というのではなく、このような説明をするためには、20分はかけなくてはなりません、ということが真実なのだ。そうすると、20分かけても、病院の固定費、人件費などがまかなえるようにするには、2000点程度の診療報酬を「納得診療加算」として算定しなくてはならないだろう。、患者負担は3割で6000円、安いものだよ。これを、加算なしでやれといったら、医師は疲弊し病院は崩壊する。納得診療加算を算定するためには、説明を受けた患者が「納得しました」という意思表示を署名の形で残さなくてはいけない、というふうにすればいいだろう。
話は変わるが、「情報はただ」、と思っている患者もあり、頭を冷やせといいたいようなことが最近、増えている。突然病院に電話がかかってきて、患者団体の○○に聞いたのですが、先生に伺いたいことがあるのでお願いします、と。今、診療中ですので、セカンドオピニオンの予約をとってから受診してくださいますか、と電話で受付担当者が対応すると、がちゃん、と電話を切る。そんな、不心得ものが増えている原因のひとつは、患者団体をちやほやする、最近の風潮があるのではないかと思うが、どうよ。