朝礼暮改ならぬ朝礼昼改


ワクチン行政の混乱はおさまりません。先週、浜松市から外付けスキャナーが「無償」で医療機関に配布され、すぐにタブレット(NTTのdtab)に接続しバーコードをスキャナーすることができました。VRA(Vaccination Reporting System)は、ワクチン接種状況をリアルタイムに厚労省、地方自治体に連絡するネットワークシステムです。しかし、NTTのdtabでは、内蔵のスキャナーの性能が驚くほど悪く「誰がどのワクチンの何回目をいつ打ったか」を読み取ることができず、日本中の医療機関がその使用を放棄・断念してしまいました。なので、接種記録が厚労省・自治体に伝わらず 「○○県はワクチン○万本を隠し持っている」という上から目線の表現が、NHKニュースで厚労省のコメントとして報道されるといった状況でした。隠し持ってもなんの得もなく、ただただ配られた端末が不出来で性能が悪いため、報告できないに過ぎないのです。そのような悪意ある誤解の結果、厚労省は自治体に配布し医療機関で接種する「個別接種」を減らし、すべて、集団接種(大会場での接種)に切り替える方針を打ち出し、自治体への供給量を徐々に減らす方針(具体的には今月は100バイアル、来月は60バイアル、その次の月は20バイアル)を発表しました。これに対して日本医師会は「急にはしごをはずされた」と息巻いたのですが、それもそのはず、1回目を打った人は3週間目に2回目を打つので減らしされては困るし、若年者の接種、合併症のある人の接種がどんどんと増えている状況で、ワクチン必要量は増えることはあっても減ることはない、ということであります。厚労省は、「ネット予約に慣れた若者には大規模会場での接種がよく似合う。」などと勝手な事を言っていますが、大規模会場の予約は9時にアクセスしても、毎日毎日つながらず、困り果てた人々が診療所に電話してくるわけです。当院でも、朝から夜まで、休日も平日も、「ワクチン打ってくれますか?」「大規模会場の予約、全然とれないのです。」といった切実な電話がかかってきます。当方としては、申し訳ありません、ワクチンが配布されないんです・・とひたすら謝罪を繰り返す以外に対応策はありません。厚労省の突然の方針変更は、ガス総理大臣の指導力、交渉力、決断力、広報力のなさを物語っているように感じます。ガスではだめだ、スカでもだめだ、二階でも三階でももっとだめだ、と日本の政治力の乏しさが案の定、露呈した感じですね。りつみんならいいかって、それもあてになりません。昔の管(くだ、かん、すが、かす、正解はどれ?)首相がまったくだめだったようにりつみん系に活路はみ出せないような気がします。

お子ちゃまだましのアブラキサン攪拌機(かくはんき)


「タキソール」という抗がん剤は卵巣癌,非小細胞肺癌,乳癌,胃癌,子宮体癌,再発又は遠 隔転移を有する頭頸部癌,再発又は遠隔転移を有する食道癌, 血管肉腫,進行又は再発の子宮頸癌,再発又は難治性の胚細 胞腫瘍(精巣腫瘍,卵巣腫瘍,性腺外腫瘍)など多くの種類のがんに週1回の点滴で使用されています。タキソールは水にとけにくいので「クレモフォール」という「界面活性剤(洗剤のような働きで水に溶けやすくする)」を少し混ぜてありますが、このクレモフォールがやっかいでアナフィラキシー反応(コロナワクチンの副作用として最近では小学生でも知っている副作用)が出るのが大きな欠点なのです。私も何人かの患者さんを、タキソールのアナフィラキシー反応で辛い思いをさせたことがあり、悪夢のようにその光景が浮かび上がってきます。この欠点を補うためにタキソールをアルブミンというタンパク質で包み込んだのがアブラキサンです。あんこをお餅で包んだようなものです。アブラキサンはアナフィラキシー反応はおこさないため安心、安全な優れた薬なのですが、お餅の部分同士がくっついてまとまってしまうので、薬剤師が点滴を準備するときに生理食塩水に溶かすのに時間がかかってしまいます。薬剤師は几帳面な人が多いので、じっくりじっくりと、もくもくと、こつこつと、ゆっくりゆっくりと、ていねいに、ていねいに攪拌してアブラキサンを溶かします。しかし、なかには、こんなめんどうくさいこと、やってられねーや、てやんでー、という江戸っ子のような薬剤師もいるようで、「どうにかなんねーか、こちとらいそがしいんでい、やってられねーよ・ちきしょーめ!!」と言ったか、言わないかわかりませんが、聞きつけた大鵬・柏戸・卵焼き製薬が、「アブラキサン専用攪拌機」を調達し「大鵬」のロゴを入れて医療機関に配布し始めました。「なんかケーキ作るのに使えるかもしれなーい」という方向で役立つかもしれませんが、とにかく大鵬・柏戸・卵焼き製薬が一生懸命やっていることは評価します。しかーし「やってることどこかちがーう。。。」という感じもします。努力は評価しますが、薬剤師のみなさんの感想も聞いてみなければいけません。しかし、わたしが訴えたいのは「もっと他にやることアルダロー、アブラキサンの週1回投与が使えないのは日本だけだろう」ということです。あれこれ、いろいろな方々の助言を聞いて、乳癌学会を通じて日本医学会に「アブラキサンの週1回投与法を認めて下さい、おねげーしますだ、お代官様」、という嘆願書を出しました。乳癌学会が終われば神野先生も気持ちを取り直して、委員会で承認してくれて、日本医学会に提出してくれるだろうと思います。