外部講師の役割について述べる!!


外部講師として大学の授業に行く。事前の準備:出張などの予定を変更し、外来を休診あるいは調整して昼までには終わるようにして、依頼された時間帯を確保する。依頼された内容に沿った講演原稿を作成する、それに会わせてスライド原案を考え、講義時間内に収まるように時間尺を調整する、最新の情報かどうか、関連の論文などを確認し原案をまとめ、スライド枚数を調整し数回リハーサルを行う。先方の秘書から指定された期限(これがしばしば1週間前とか2週間前とか、やたら早めの指定が来ることがあるが、秘書様のお仕事の都合だから仕方ない)に合わせスライドセットを作成する。配付資料を作成し、PDF化してメールに添付して送る。当日の準備:急患が来ないように祈りつつ、30分前には大学に到着するように出発する。当日の状況:指定された講義室に行く、配布資料は講義室の最前列に置いてある(早めに行けば配付資料を持ってきた秘書様に会うことができるが会ったところで「あとは宜しくお願いします。」といって立ち去ってしまうので意味は無い。10分前位には講義室に入るが、そこがまるで駅の待合室のようなざわついた雰囲気である。パソコンをつなぐ、プロジェクターのスイッチを入れる、スライドが映るかどうか、マイクが入っているかどうか、自分でセットアップする。秘書はいないので全部自分でしなくてはならないが、最前列に座っている利発で親切な男子学生が大概、近寄ってきて手伝ってくれる。これにはいつも感謝の思いを抱く。そしてそういう学生は最後まで集中して講義を聴いていて、講義が終わった後に演壇の所にきて質問をする。全ての学生がそうだといいのだが、8割の学生はそうではない。マイク、スライドのセットアップが終わるころに学生たちが最前列に山積みされた配布資料を取りに来る。見ていると、一人で4−5部持っていく学生が少なくない。欠席する友達の分を取っていくのだろうけど、それがまず、間違った行為である。また、私に講義を依頼した大学側の教員、事務員、秘書などの関係者は、最初から最後まで、講義室には来ない、居ない。だから、学生たちのお行儀の悪さ、間違った行為を知らないし咎めない。開始時刻になっても講義室はざわついている。開始時刻にすでに机に伏して居眠りをしている学生がいる。開始時刻前後に荷物をまとめて配付資料を取って教室を立ち去っていく学生がいる。講義を開始すると、立ち上がって手ぶらで出て行こうとする学生が多い。あまりの非礼さにたまりかねて「君、君、どこへ行くんだ?」と問うと「トイレです」と平然と答える。「トイレは休み時間に行っておきなさい。君は前立腺肥大なのかい?」医学部の学生だからこれぐらいの冗談は質は悪くておもしろくはないが許容されるものだ。講義を始めて10分ぐらいたつと、講義室の前方3分の1くらいの席に座っている学生たちが、真剣に講義を聴いている、配布資料に一生懸命書き込んでいるのに気付く。同時に全体に居眠りをしている学生、スマホをいじっている学生、おしゃべりをしている学生、文庫本を堂々と読んでいる女学生、などなど、これが国立大学医学部の学生か? と思うような、非礼、無礼、不作法な者どもが目立つ。演壇からはけっこうよく見えるものだ。真剣なまなざしはとてもうれしい。将来きっとよい医師、研究者、教育者になるだろう。実際、15年近く浜松医大に講義にいっているが「先生の講義、聞きました。よく覚えています。たんぽぽの種の話、いいですね。」などと言ってくる卒業生に時々巡りあう。

講義が終わると数名の学生が演壇に来て質問をする。以前、「一度、先生の施設に見学に行っていいですか、冬休みに伺います」と言って、実際に見学に来た学生も数名いた。しかし、あきれた。初めから最後まで谷島屋のカバーを付けた文庫本を堂々と読んでいた女学生が演壇前にやってきて「あのように出て行く人に言うのはよくないと思います」とクレームを付けてきた。チコちゃんみたいに激怒寸前、「君たちは子供じゃ無いんだから、休み時間にトイレに行っておくぐらいは、当たり前のことだろう、よく考えてからモノをいいなさい、だいたい、君は最初から最後まで文庫本を読んでいただろう。そんな学生にクレームを付ける資格はないだろう!!! 名前を言いなさい、名前を!!」と、こちらも言いたいことは言わせてもらおう。それが外部講師の役割である。