看護師になる君たちへ


看護大学1年生の講義に行ってきた。1年生ということなので、がんのことをわかりやすく話そうと「がんで死ぬ人、がんで死なない人を看る君たちへ」と題して講義を準備していった。平坦教室には120人弱の学生がびっしりと座っている。同じ柄のサリーブラウンのTシャツを着た仲良しこよしが並んですわっていたり、男子学生が一番前で懸命にノートをとっていたり、寝ている学生は一人もいない。浜松医大とは大違いだ。予防の話、食生活の欧米化の話、検診の話、治療の話・・。みんな時々、講義の内容に反応しておしゃべりはするが、携帯を見たりする学生はいない。無秩序・無限、転移・再発、圧迫・撹乱の「がんの特徴お題目」の唱和もよくそろって大きい声でできた。最後に、「ナイチンゲール誓詞」を示した。「守秘義務」や「チーム医療の精神」、「ワーク・ライフ・スタディバランス」の真髄が短い成句に絶妙に込められている。学生達は最後にいろいろと質問してきた。講義が終わって廊下ですれ違う学生は皆、礼儀正しく挨拶をする。サリーブラウンのふたりとすれ違ったら「先生、授業楽しかったよ、又来てね。」と笑顔(^_^)。大学施設内を案内されて回ってみると、講義が終わると休み時間もとらずにすぐに実技の実習室で懸命にベッドメーキングを習っている学生と目があった。(^_^)と会釈がすがすがしい。4年後には看護師となる君たちへ、看護師になっても、そのままの礼儀正しさと、集中力と、質問する意欲を持ち続けてほしい。学会でも積極的に質問し発言してほしい。どうも看護教育が間違っているらしく、残念ながら、君たちの先輩は、学会や研究会、講義や、授業でも、質問もしない「サイレントマジョリティ」だ。そうならないようにがんばってほしい。無秩序・無限、転移・再発、圧迫・撹乱は、山崎教授が試験に出すと言っていたよ。

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理不尽な施設格差


がん診療の均霑化(きんてんか)が叫ばれて久しい。均霑化とは「平等に恩恵や利益が行き渡るようにすること」。つまり、がんの診断、治療について、地域による違い、病院による違いがないように取りはからいましょう、という努力目標である。ガイドラインの普及や標準的治療の考え方が普及した今日、へんちくりんな医局レジメンは陰を潜めた。また、かつては琵琶湖周辺で根強く使われていた乳がんのへんちくりんなDMpCとかいうレジメンも信奉者が次第に減少してきた。しかし、地域、病院、施設によって、「保険がきかないから」という理由でへんちくりんなことをやっているところもある。大学病院で診てもらっている再発乳がんの閉経前女性が卵巣摘除術を主治医からすすめられた、ということで、セカンドオピニオンを聞きに来た。卵巣摘除術はホルモン感受性のある閉経前乳がんでは、意味のある治療手段であるとは思うのだが、その女性の場合、理由がすこしばっかりおかしい。フルベストラントやアロマターゼ阻害剤、エキセメスタン+アフィニトールは、閉経後でないと使用できないので卵巣摘出手術をする、というのだ。実際、その県では、閉経前女性で、LHRHアゴニストにアロマターゼ阻害剤を併用することは保険で認められないという。静岡県は、その意義を正しく認めており、保険でも適切に対応されている。先日NEJMに論文がでたフルベストラントにパルボサイクリブを加えるとPFSが延長する、という試験結果も、閉経前の場合は、LHRHアゴニストとフルベストラントを併用するとなっており、得られた結果も、「閉経前症例では、はじめてのPFS延長効果」となっている。また、SOFTトライアル、TEXTトライアルでも、閉経前にアロマターゼ阻害剤を使用することの有用性が検証されている。このように、理屈から考えれば当たり前のこと、そしてエビデンスも明確にしめされてことが、保険では認められないからと患者が不利益を被っているのだ。これはおかしいだろう。

7月の活動と今後


街角がん診療が10年を経過した4月から平方智子先生が加わり薬物療法だけでなく意味のある手術や意味のある検診や、MMTも導入して乳がん診療はだいぶグレードアップしたように思います。その他のがんも前立腺とか大腸がんなども薬物療法を希望する患者がぼちぼちと増えてきた状況です。先週末はGenomic Health Asian Meeting、夕方浜松に戻りちょっと仮眠し深夜0時から浜松市医師会の深夜ER業務、それが7時に開けて7時19分のひかり号に飛び乗りで東京、駒込の医師会館で10時から17時30分まで拘束監禁状態で脂質異常症、糖尿病、高血圧症、認知症、禁煙指導、健康相談、在宅医療、服薬指導、介護保険の講義を詰め込まれてきました。それを聞かないと、いろいろな加算がとれないので街角がん診療を経営的に維持存続させるには、聞いてカリキュラムコードとか、ポイント取得とかしておかないといけないので、半ば仕方なく、いやだけどしょうがなく聴講してきました。しかし、中にはすばらしい、考えさせられる講演もありました。太田秀樹先生の在宅医療の力強い話は街角がん診療に応用できる良い話でしたし、新田國夫先生の健康相談の話の健康の定義は、考えさせられるものがありました。朝一番の江草玄士先生の脂質異常症の話は、なるほど、ガイドラインをわかりやすく解説するにはこうすればいいんだ、という腹に響く重厚な講演でしたし、江端幸彦先生の介護保険の話は要点を浮き彫りにして聴衆に伝えるコツを学びました。しかしながら、7時間30分にわたり拘束するのならプレゼンテーションの基本(例:読むなら書け、書かないなら言うな)を勉強してほしいと感じる講演や、お持ち帰りメッセージが全くないような時間の無駄と思える講演(演者はNCC元レジデント)もあり、プレゼンテーションを生業とする立場から見ますと「こういう講演はやってはいけないね」を学ぶことができたとも言えます。始めと終わりに挨拶した、中川俊男日本医師会副会長は、「あいつは札幌医大の革マルの闘士で昔から気にくわない奴だったけど、厚労省の会議に医師会代表で出てきて、偉そうなこといいやがる」と、私の尊敬する、中川氏と同じ年代の先輩が言っていたけど、なかなかどうして、話は明快で、原稿を読まないでとうとうと語る姿は「結構やるじゃん」と感じましたよ、茂さん。日本医師会館にははじめて行きましたけど、500人ぐらい収容できる立派な講堂でなかなか快適な空間でしたので、たくさんの参加者が大いびきで気持ちよさそうに爆睡していました。さて、今後は、この土日の「怒濤の3Duties」が終わり、今週は、千葉大認定看護師の講義、来週は北見赤十字大学の講義、青森勤務が再来週にあって、それが終わると、8月を迎え高木ヨットスクールの伊豆合宿です。今年は新しく買った「Sit-on Fishing Kayak」も参加します。天気はどうかな? 楽しい夏休みになるといいなー! 今年は留守は平方先生に任せて、ゆっくりと休みを過ごしたい、あと、宜しくね!!

欠点だらけの国際フォーラム


毎週新幹線で横をとおり過ぎるとき、朝に夜に、美しく感じる国際フォーラムですが学会場として使用してみると利点に乏しく欠点満載であります。意匠デザイン先行で機能が配慮されていない設計で、無駄も多くとても使いにくい会場であります。この際、一度、取り壊して、まともな設計者によるまともな「東京コンベンションセンター」を創ってほしい。浜松のコングレスセンターの方がずっとましではないでしょうか?

そこまで言うか!馬鹿座長


乳癌学会も三日目、最終日である。どのセッションもフロアからの質問は乏しい。ASCOやESMOではどのセッションも演者の最後のスライドが出ると数人の質問者がマイクの前に立つ。時間が押している中で座長は手際よく質問者を指名するが質問を途中で妨げる座長など、見たことがない。今回の乳癌学会で見かけた座長の活躍を紹介しよう。病理のセッションで外科医からの発表が終わった後、座長が「フロアからの質問を受ける前に座長から質問があります。」ときた。おーっと思って聞いていると「病理検査が含まれた発表ですが、共同演者に病理の先生の名前はありませんね。謝辞もありませんでしたが、何故でしょうか?」、演者はただ「すみませんでした。」・・・。発表のルール違反をばしっと指摘した適切な座長業務である。 もう一つ、あるセッション、この手のセッションでは看護師の聴衆が多いのでなおさらフロアからの質問は少ないというか、通常ない!!のである。私は若い頃、恩師の阿部薫先生、下里幸雄先生に「学会に行ったら必ず質問しなさい。質問しようと臨めば話を真剣に集中して聞くだろうし頭もつかうから」と説得力のある指導を受けたのでそれが習慣となって国内でも海外でも質問することが多い。このセッションの座長は、時間を守る事だけしか頭になく、10時に終わるセッションで3分前に質問しようとしたら、手短に手短に、とうるさい。別に新幹線の発車時刻じゃあるまいし、1-2分の延長は問題ないだろうし、ましてや3分前だからいいじゃないか!! 二つ目の質問をどうしてもしたかったので、自分はとても重要な質問だと思ったので、また、きっと他の聴衆も知りたいことだと思ったので、またもう一人の理想的座長は頷きながらこちらをじっと見つめてくれているので、まだ2分の時間があったのをSEIKO ASTRONで確認し「もう一つ質問ですが、」といったところ、その馬鹿座長は「やめて下さい、時間ですから、渡辺先生、やめて下さい!!」と大声で叫ぶではないか。質問はyes,noで答えられるものだし、実際、演者は10秒で答えてくれた。もう一人の質問者がいる、というのが馬鹿座長の言い分だが、それとてその質問は手際よく、回答も要領よくおわり、10時前には余裕でセッションは終了したのである。その馬鹿座長は、以前から感性が狂っていると思っていた。そこまでやるか?? と、頭にきたので一気に独り言をしたためた。不適切な表現は承知の上である。