10月の毎日(2)


診療に、教育に、研修に、研究にと、あれやこれやとやっているうちに10月も今日で終わり。もうじき楽しいお正月、おっ、ちょっと早いか。10月の後半には、患者向け講演会ふたつと癌治療学会が目玉だったかな。患者向け講演会も、毎年二回の浜松乳癌情報局でやっているようなスタイルがいいと思っている。浜松乳癌情報局の市民公開講座(次回は2月19日ゲスト、ワット隆子さん)では、基本姿勢を、あなたの疑問に何でもこたえます、として、ごまかさず、煙に巻かず、一般論で逃げず、専門家として答えられることは答える、ということにしている。がんサポートの講演会、事前に寄せられた28の質問に全部答えた。一生懸命やったのだけれども、主催者からは、何の連絡もない。あそこはいつもあんな感じだ。あけぼの会の講演会、再発した患者さんだけを招いた会はおそらく初めてだろう。これは、最初から最期まで、筋がきちっととっていた。とてもつかれたけど、充実していた。一般論で逃げない、常に、前を向いて取り組んでいく、ミッション、パッション、ハイテンションが大切。癌治療学会、モーニング教育セミナー、笹子先生の胃癌の話、実に明快で学ぶところ多し、それ以外の教育セミナーはありきたり。それと、最終日午後の教育セミナー、玉石混交の感あり。病理診断の話、外科の話、これはすばらしかった。そのほかはひどいものだ。時間の無駄。どうして病理診断の話、外科の話がよかったか、というと、その道の仕事をやりこんでいるプロが、自らの行動哲学を基盤に理念がにじみ出るような話だったからだ。それ以外は、まるで、間抜けな羅列的な一方的講義で、聞いてるほうも、話しているほうも、意味がないな、と思いつつ過ぎ去った数時間であった。ランチョンセミナー、2-3聞いたが、内容的には、見るべきもの、学ぶべきことまったくなし。こういうプレゼンはしてはいけないな、という意味で、他山の石。今月も、100点満点で85点、来月もがんばろっと。

10月の毎日


10月は千葉→小山とか沖縄→栗橋とか、東京泊まりの翌朝移動など阪神タイガースの死のロードのような講演行脚でちょっときついね。千葉大乳癌認定看護師3期生の講義では「自らの付加価値を高めるような勉強をしてほしい。」という期待にばっちりこたえてくれそうな質の高い認定看護師が多数輩出されそう。でも一番前で居眠りしていたのは国立のがん専門病院の看護師だった。寝ている場合か? 半年間給料もらって勉強させてもらっている幸せをかみしめてみれば寝ている状況ではないだろうに。しかもその給料をはらっているのはわれわれ納税者なんだぜ。私は居眠りにはとりわけ厳しいのだ。栃木でも沖縄でも栗橋でも、医師だけでなく看護師、薬剤師、学生なども講演を聴講してくれ、ポイントをついた鋭い質問もたくさん出た。一連の講義、講演で感じたことは、乳癌診療においては正しい方向にチーム医療が成熟しているということ。医師、看護師、薬剤師などが、厳しく激しい議論を通じ、切磋琢磨によりそれぞれがそれぞれに付加価値を高めることによって、トータルで医療チームの質がぐんと向上する。長い間、チーム医療はかなり誤解されてきた。みんな仲良く和気あいあいというのも違う、看護師が点滴をしないというのも当然違う、MDアンダーソン式の効率の悪い分担業務も違う。チーム医療の伝道師だと言ってきた上野先生本人が、私はチーム医療の専門家ではありませんと言い切ったのにも驚いた。日本の厳しい医療環境ではアメリカ式の分業を導入することは不可能だし無意味なのだ。MDアンダーソン礼賛はそろそろ見直す時期にきているだろう。