新しいルーチン


「新しいぶどう酒を古い革袋に入れる者はいない。
そんなことをすれば、革袋は破れ、
ぶどう酒は流れ出て、革袋もだめになる。
新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ。
そうすれば、両方とも長もちする。」
マタイによる福音書 第9章17節

今までそうだったから、と、明日からも同じルーチンを死守する人は多い。しかし、あたらしい枠組み、組織、配置、になったら、新しいルーチンを取り入れて、変革、進歩を目指さなくてはならない。浜松オンコロジーセンターは3週間の休診期間に院内改装、新規診断機種導入を完了した。新しいルーチンの導入は、それなりにストレスがあるものだ。しかし、新しい革袋にふさわしい新しいぶどう酒を目指さなくてはならない。特に保守的なのが看護師だ。明日も同じところから陽が昇る、と思ったら大間違いだ。新取の気風が求められている現在、「今まで通りにやりたい」は全く通用しないのだぞ!!!よく考えよう。

効果の見える掃除機から学ぶこと


自宅の電気掃除機をかける係を担当しています。「ダイソン」がサイクロン掃除機を発売した際に「吸引力の落ちない唯一の掃除機」と宣伝していましたが、その後、日本のメーカーもサイクロン方式を発売しています。ダイソンが出た頃に購入を妻に主張しましたところ、あれは重い、高い、ということで却下になり、「そんなに掃除機をかけたかったら今ある掃除機で毎週掃除するように」ということで、毎週日曜日の掃除機がけが私の仕事となりました。パナソニック(旧ナショナル、旧旧松下電器)の掃除機で、ゴミをすうと、赤いランプが点滅します。診療所で使っている日立の掃除機は、ゴミを吸ったか、ゴミがあるのか、確認できない、ただ、吸うだけです。そこで感じたのは、効果が見えることがいかに重要なことか、ということです。同じ事が、抗がん剤治療にも言えます。トリプルネガティブ乳がんだからすぐに手術、といって、たちが悪いからと言って全摘してしまって、そのあと、つまり術後化学療法として、抗がん剤治療を効果も見えず、副作用だけ現れる形で行うことは、まるで、ゴミを吸ったことがわからない掃除機のようなもの、です。効果の見える形での治療、つまり、原発病巣の縮小、消失がわかるようなかたち、つまりつまり術前化学療法を行うことの意義が、掃除機の喩えでもわかるでしょう。手術で完全消失、すなわち病理学的完全効果が得られていれば、全身の微小転移を完全に消えている、と考えて、化学療法後、病理学的完全効果が達成できていれば、2年間の経過観察で再燃しなければ、治癒したと言ってもいいだろう、という状況だと思います。効果の見える形で取り組むことで、無用な恐怖を払拭できる、ということを掃除機当番の経験あら学ぶことでできた、と思います。