第3の注文「 『早期』という言葉に惑わされない」


よくある落とし穴

外科医:この間の検査で乳がんが診断されました。

患者:えっ、そうなんですか。えっ、どうしよう、がんだなんて、全然、思っていなかった、それで、早期なんですか? 手術できますか?

外科医:来週月曜日に入院すれば火曜日の手術枠が空いていますから間に合いますよ。

患者:早いほうがいいですよね、お願いします。

医師:早期発見できたのですから早期外科手術が大切ですからね。

第2の注文「慌てず 焦らず 諦めず」


第2条 

「慌てず 焦らず 諦めず」は、大切な心の持ち様ですが、早期診断とか早期治療など、はやくはやくと急き立てられ、検査とか治療を予約しようとしても何週間も先ですとわれ、慌てる、焦ることはしょっちゅうですね。また、初期治療をきちっと受けたのに再発したとか、再発してから受けた治療が効かない、いろいろな治療をしたけどもう使う治療がないと主治医から言われたときなど、諦めてしまう、もうだめだと思ってしまう、へこたれてしまうということは普通のことかも知れません。そんな患者さんたちが、診察室で涙を流す状況にしばしば遭遇します。慌てない、焦らない、諦めない、と言ってもなんの励ましにもなりません。大切なことは、慌てている自分、焦っている私、諦めた俺、を客観的に見つめることだと思います。慌てているのね私、焦っている僕、諦めてしまっているぞ、とおるくん、と、自分のありようを冷静に見つめてみること。そうすると少しづつ、光が見えてくるかもしれないし、強くなれるような気がするものです。また、家族や友達に、慌てちゃって、焦っちゃって、諦めちゃったことを話すというのもどうですか。