雨天順延


つばめの子たちも親と見間違えるぐらいに育ちました。5個の卵が5羽の雛になり、昨日は1羽の雛が巣の縁の外側につかまっていました。今にも巣立ちそうですが、あいにく今日は雨。雛たちは巣でおとなしくしています。

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歪曲の末路(わいきょくのまつろ)


行政特区、岩盤規制、官僚社会、という一連のキーワード。我々の日々の生活と無関係ではない。(事例1)ちょっと買い物をと思い、路地に駐車しといたら駐車違反の紙を貼られてしまった。先日、高速で20km/hオーバーでねずみ取りに引っかかり、このままだと免停になる。よし、友達のお父さんの県警部長に頼んでもみ消してもらおう。(事例2)中学3年生のできの悪い娘。遊んでばかりでタバコ、アルコールは当たり前。お父さんは歯医者さん、それなりの地位がある。このままだと三流高校、すけばん高校にも入れないかもしれない。よし、お父さんの患者の市議会議員に頼んで、市立高校にどうにか合格させてもらおう。こんな小細工を知り合いの警察官僚、地方官僚にお願いしたという話。官僚社会の抜け道で、さもしい、いやしい行為である。倫理意識が多少向上した現代は以前ほどは横行してはいないが、まだまだそれが正しいと思っているソサイエティーは存在する。

江戸幕府以来培われ明治政府で完成した官僚に規制された行政組織の中で、我々は安心・安全な日々を送ることができるが、そこに岩盤のような突破できない不便性、行きすぎた規制と感じる時、悪いことをしないと突破できない、あるいは、官僚による行政の枠を外して自由に、やりたいように、特別な地域をつくり、思い切った改革のモデルをつくろう、ということで、○○特区、というのが提案されて実践されてきた。特区というのはあくまで、モデルとしてやってみて、行きすぎ行政機構によるやりすぎ規制を見直そうというものである。しかし、阿部政権、昭恵夫人、は、立場を利用して、お友達に便宜を計ってしまったため、今回の一連の疑獄事件に至ったのである。第一次阿部政権のときも強行採決をやりまくった。あのときは潰瘍性大腸炎の悪化で、お腹が痛くなって首相を降板した。そのときの失敗に対する反省からではなく、潰瘍性大腸炎のサラゾピリン、ペンタサアサコールやリアルダといったメサラジン(5-ASA)系薬剤の進歩のおかげで、再登板の阿部首相は、お腹が痛くならず、強引な政権運営を実現できるようになったのである。今の阿部政権には、「強力なリーダーシップ」と言う表現は当たらず、「身勝手で強引な政権運営」で、多くの国民の心に陰を落としている。お友達とのクラブやバーベキューの写真が世の中に流出、そのお友達のために特別な便宜を図っているだけのはなしで、天下国家を論ずる姿とはほど遠い。アサコールによる体調管理とおばかな昭恵夫人の身勝手な行動に端を発した阿部疑獄の終焉は近いような気がする。「行きすぎた医学の進歩が国を滅ぼす」という國頭英夫くんの名言はここにも当てはまる。改めて、市立高校に裏口入学したすけばんの現在を確認してみた。表向きはハイソな奥様を演じているが、その行動はやはり身勝手で世間知らずのスケバンである。歪めた行政の産物であるが本人、周囲はそれを認識していない。歪曲の末路は必ずやってくる。

羹に懲りて膾を吹くノバルティス


 

「羹りてく(あつものにこりてなますをふく)」とは:

ある失敗に懲りて、必要以上に用心深くなり無意味な心配をすることのたとえ。羹(肉や野菜を煮た熱い汁物)を食べたら、とても熱くて懲りたので、冷たい食べ物である膾(生肉の刺身。では生魚となり誤り)を食べる時にまで息を吹きかけて冷ましてから食べようとしてしまう、という状況を表している。

昨日の多地点カンファレンスでノバルティス(沖縄の営業担当者)から、是非話したいということで45分間にわたりEverolimus(アフィニトール)やOctreotide(サンドスタチン)による「神経内分泌腫瘍」治療のレビューを聞いた。それはそれは素晴らしい話であり、一同感銘を受けた。こうなったいきさつは、前回佐々木御曹司が「『神経内分泌的特性を備える』乳がんに対して、彼の前任施設では、神経内分泌腫瘍の性格を有すると言われる小細胞肺がんと同じように、エトポシド、シスプラチンによる治療をしている」という話をしてくれて、賛否両論、議論が盛り上がったからである。確かに、カルチノイドとか、膵臓、消化管の神経内分泌的性格を有する腫瘍や、間脳下垂体の異常による成長ホルモン過剰産生疾患(末端肥大症、巨人症)でも、サンドスタチンや、その改良型であるソマチュリンが効果を発揮するし、抗がん剤としてはプラチナ、エトポシドなども使用されることがある。だから、類似の性格を有する乳がんの病型に対しては治療戦略かも知れない。そんな状況でのノバルティスからの自発的申し出に対して一同、期待に胸を膨らませたのであった。営業サイドとはいえ、ノバルティス社員としての参画は、おそらく、開発部門、パブリックアフェアーズ部門からも、乳がん治療研究、診療に対する支援の意志表示と捉えたのである。つまり、我々が興味を有する、「神経内分泌的性格を有する乳がんに対する、サンドスタチン、アフィニトール併用の臨床第2相試験」的な研究に対してノバルティス社が何らかの支援をしてくれるのではないか、ということである。45分もの長きに亘る商品説明のような話を聞かされた後、質問してみた。「御社はこの多地点グループの臨床研究を御支援下さるおつもりがおありのことと思いますが如何でしょうか?」と。その返答は「ノバルティスは臨床研究試験は行えない状況です。」とのこと。確かに、降圧剤でデータ改ざんをしたり、研究者になりすまして社員がうその報告をしたり、と、ノバルティスの悪行は許しがたい。しかし、だからといって、何も活動をしない、自分から言い出しておいてノバルティスは臨床試験には関与できないのです、ということでいいのだろうか。悪行は働いてはいけないが、だからといって本来すべき企業活動からも手を引いてしまう、というのはまさに「羮に懲りて膾を吹く」の諺の通り!と思った次第である。

つばめちゃんの成長


ASCOで勉強している間、浜松の見守り隊が毎日の生態観察日記を送ってくれます。雛は5羽の模様、今のところ、落下、カラス襲撃、その他のアクシデント、インシデントはなようです。まだ、研ナオコのようなブス顔ですが、成長が感じられます(写真参照)。明日、日本に向かいます。さよなーらーシカゴぉ〜、さよなーらーミシガン湖〜・・・・・。帰りの機内映画は遠藤周作原作の「沈黙」を見よっと。原作は高校三年の時に読みました。無事の帰還を祈って下さい。S__4399116

鼠と鴎(ねずみとかもめ)(a rat and seagulls)


今日は冷房がキンキンによく効いて、外からカモメの声が聞こえるホールD2で乳がん初期治療のセッションがありました。初っぱなの演題が「APHINITY TRIAL」の結果です。HER2陽性乳がんの術後のACとかの抗がん剤のあと、ハーセプチンを1年(+プラセボ1年)使用する標準治療群とそれにパージェタ1年を上乗せする試験群との比較、症例数は4803人、日本からも303人が被験者として協力してくれている。4年の時点での無再発割合は、92%対90%、統計学的には、P=0.045、ということで有意差が出たということである。この試験結果、実は、今年3月のSt.Gallen Conference直前にロッシュ(日本では中外の殻を被っている)がプレスリリースをして有意差があったぞっ!!と大騒ぎになり、それをうけてSt.Gallenのパネリストの間でのメーリングリストで、投票(Voting)の質問に加えるかどうか、が問題となったが、科学的なデータも見ないで科学者が踊らされてはいけない、ということで様子見になりました。パージェタと言えば、HER2陽性の再発乳がん患者で検討したクレオパトラ試験で生存期間を1年半も延長させるというしっかりした結果が出ました。そして、「プレスリリースで有意差」ということもあり、Late Breaking Abstract、つまり直前までAbstact(抄録)が公開されない、という、期待を膨らませる要素が三つもあったので、会場はセッション開始前から熱気に包まれていました。ところが発表の内容はちょっとがっかり(´・ω・`)。その部分が終わると会場から聴衆の半分ぐらいがぞろぞろぞろと出て行ってしまいました。佐伯俊昭先生も頭を抱えて出て行きました。こ大山鳴動して鼠一匹でたよ、とはこのことです。その後の発表は、寒い室内に空しく響き、凍えそうな広いホールでカモメの声がこだまする、まるで、「津軽海峡冬景色」のような時間が流れています。以上、会場からお伝えしました。あ〜あ あ〜♪・・・・

トリプルネガティブは暗くない


トリプルネガティブ乳がん(Triple Negative Breast Cancer)は、そもそもER(エストロゲン受容体)、PR (プロゲステロン受容体)、HER2の三つが陰性のものをいうので、ホルモン療法、抗HER2療法は効きません。だからと言って何も効かないか、というとそうではなく、術前化学療法の細胞毒性抗がん剤が劇的に効いて、しばしば病理学的完全効果(Pathological Complete Response: pCR)、すなわち手術でとってみたらがんがすべて消えていた、という状態をしばしば経験します。細胞毒性抗がん剤も確かに副作用は強いです。しかし、我々のような熟練した腫瘍内科が行えば、副作用は一時的で必ず回復します。その技は、ガイドラインにのっているような知識でも、お作法の繰り返しの経験でもなく、センスと洞察力を働かせた日々の修練の積み重ねです。抗がん剤が効くTNBCをどうやって見つけるか、同時に、TNBCに効く今までとは異なったあたらしい分子標的薬剤がないだろうか、という方向に我々の努力は向かっています。

抗がん剤が効くような、あるいは特殊な分子標的薬剤が効くようなタイプを、いまTNBCと分類されているなかから見つけ出そう、というのが、今回の発表のうちの「4つの遺伝子の発現状況からTNBCを6病型に分類しよう」という試みです。今後期待しましょう。

TNBCの中には、BRCA遺伝子変異を有するものが少なからずあります。BRCAとは遺伝性乳がん・卵巣がんで問題になる遺伝子で、その遺伝子は、傷ついたDNAを修復する働きがあるのですが、遺伝子に変異がおきると、DNAを修復する力が落ちます。BRCAが働かない場合、傷ついたDNAはPARPという酵素により修理をうけますBRCAが変異している、あるいは働きがおちているときに、PARPがはたらかないと細胞は死滅します。この理屈を活用して、BRCAに変異がある乳がん患者をPARP阻害剤で治療するとがんの修復ができなくてがん細胞が死滅する、という治療法が今、注目されています。

わかりやすく言えば、Boeing787のひとつのエンジンが故障したときに、反対側のエンジンを止めれば、暴走した飛行機は不時着させることができます。しかし、その場合、相当な操縦技術が必要で、そう簡単にいくものではありませ。それが、今回のTNBCセッションの課題の二番目、PARP阻害剤の開発です。また、TNBCの中には、蠅がたかるようにリンパ球ががん細胞のまわりに沢山みられるタイプがあります。昔から病理の先生が腫瘍内浸潤リンパ球として着目してきたことです。ただ、そのようタイプを客観的に見つけること、検査方法の確実性(analytical validity)が乏しく秋山先生の判定と大井先生の判定がことなる、なんてことはざらにあります。とにかく、リンパ球が沢山たかっているということは、山口組事務所を警察ががさ入れするように、一触即発の状態ということです。そこで、免疫チェックポイントを外してしまって、たかっているリンパ球に、「進め−」の進軍ラッパを鳴らしてあげる、あるいは、警察が礼状を出して組事務所にがさ入れにはいる、ということで、ペンブロリズマブ、ニボルマブなどがTNBCの治療に活用できないかというのが三つ目に演題です。この結果は、効く被験者は治癒するぐらいによく効くが、効かない補とは全くきかない、という結果です。森元総理は効く人だったのでああやって、いいんだから悪いんだかわからないけど、活躍しているわけです。新薬の開発、対象症例の絞り込み、治療のマネージメントなど、いずれの側面でも、少し光明が見えてきたようです。

株主では語れない話


HER2感受性では、「世紀のネガティブデータ」と呼ばれ2015年ASCOでポール・エリスが発表し会場からは質問もでず、拍手も乏しい発表で、大山鳴動して鼠一匹でありました。今回は、最終解析結果で生存期間も発表されるとうことでしたが、今年の1月に既にJCOに論文が出ており、内容は知っていたので感動もなく時間がすぎたのでした。その他ふたつの演題は、取るに足りないパセリの評価の話でしたので割愛します。

MARIANNE試験:

発表者はスライドにも「Edith Perez」となっていました。しばらく前に彼女がGenentechに移ったと言う話を聞いていましたが、今日はそのまま発表するんだなと思っていました。ところがというかやはりというか、Edith Perezの利益相反開示スライドに「Roshe/Genentech社員」「Roshe/Genentech株式所有」とあり、演者もカルロス・バリオスが勤めました。たしかにGenentech社員がこの発表をしたら総スカンにあうだろう、みたいな内容でした。

こMARIANNA試験が発表された2015年はトラスツズマブにヘルツズマブを加えたクレオパトラ試験の結果が公表された翌々年だったので、T-DM1にペルツズマブを加えれば、さぞかし素晴らしい結果がでるだろう」と会場は大いに盛り上がっていたのですが、結果が表示されるとどよめきと共に沢山の人が会場を立ち去っていきました。おそらく、Genentechの株主たちだったのでしょう。

今回も、結果としては同じで、生存期間の延長もなく、T-DM1にペルツズマブを加えてもいいことはないということでした。しかし、どうにか差を出そうと事前に計画していなかった解析をしてみたりしても何らポジティブな結果が出ていません。こんな恥ずかしい解析をもし、Genentech社員になったEdith Perezが発表していたら、それこそ二度とASCOには参加できなかったでしょう。今回も会場では見かけませんでしたので、おそらくどこかの保養地に友達にミッチーと出かけているでしょう。JCOにのった論文では、T-DM1はトラスツズマブ+パクリタキセルと同等の効果でしかも副作用がすくない、ということが結論となっていました。今回もその点にフォーカスを絞ればよかったのでしょうが、株主たちがこのような恥ずかしい発表に導いたに違いありません。