はなはだしき朝令暮改の裏話


6月1日の「町の小さな診療所でのワクチン接種のものがたり」でVRS(Vaccination Reporting System:ワクチン接種報告システム)用に厚生労働省から配布されたNTTDOCOMOタブレットでのQRコード読み取り困難問題を独り言ちました。その後、使いにくさの不平不満が益々渦巻き、浜松市ではついに「QRコード読み取りはしなくていいです。ワクチンの搬送を引き受けてくれた薬剤問屋「NK薬品」が読み取り作業を代行しますから。」という通達が市長名で発出されました。えーなんでー、一生懸命工夫したのに、とか、せっかく3万円もする【Honeywell】Xenon1900 次世代ハンディ型 高性能二次元イメージャー バーコードスキャナー(ブラック) 1900GHD-2-USB読み取り装置を購入したのに、という施設からため息がもれました。えーそうなの、じゃあNK薬品がやってくれるのならやってよ、と思っていたところ、昨日、また市長名で「やっぱり各施設で読み取りしてください」という通達がファックスされてきました。この朝令暮改で混乱に輪をかけた状態ですが、何故、こんなドタバタ騒動になったのでしょうか? 想像するに「個人情報の記載された接種券をNK薬品社員がスキャンする、個人情報保護法に抵触するこの行為を浜松市が率先して行う、というのはいかがなものか」というような指摘が有識者からだされたのではないか、と思うのです。そもそも、①NTTDocomoタブレットの内臓のカメラでQRコードをスキャンするという設定が間違っていた、②使いにくい、という苦情に対して、みすぼらしいダンボール箱を配布して乗り切ろうとしたが箱の中が暗くて中にいれた接種券の数字が読み取れない、③懐中電灯、スマホなどで照らすと読み取れるが、それも時間がかかるので、結局、苦情が渦巻いたため、浜松市の場合、朝令暮改のドタバタ劇となってしまったというシナリオが考えられます。現時点での最善の解決は、厚労省ワクチン課の予算で【Honeywell】Xenon XP 1950gハンディ型 高性能二次元イメージャー スキャナーをNTT Docomoタブレットに接続できるようにアダプターをつけて全国のワクチン接種施設に配布することです。これしか方法はありません。よろしくお願い致します。

僕は東京2020+1開催賛成でーす


今日はルーチンの診療を終えCOVID19ワクチンの個別接種者数の調整についてあれこれと討議し、忘れかけていたファイルメーカープロの再学習をして、くたくたへろへろになって自宅にもどったところサッカーのワールドカップ日本代表vsU-24日本代表の試合が札幌ドームからテレビ中継されていました。3-0 でワールドカップ日本代表が勝ったのですが若者たちのハイレベルで真剣なプレーに集中し1日の疲れも吹っ飛び、活力と癒やしを得たような気分になり、僕は思いました。あ~、スポーツの良さってこれなんだなぁと。するとやっぱりぼくは東京オリンピックで水泳、陸上、カヌー、サーフィン、自転車、球技・・・などを観たいなー、東京オリンピック2020+1を開催してほしいなーと思いました。1964年の東京オリンピックの時、僕は小学校三年生。当時、浜松基地に所属していた自衛隊のブルーインパルスが毎日毎日、轟音を響かせ我が家の空に五輪を書く練習をして、はじめのうちは白い煙で5つの輪がなかなかうまくつながらなかったこと、やがて、青・黄・黒・緑・赤の5色のきれいな輪になったことを覚えています。また、我が家の前の国道一号線を聖火ランナーがあっという間に駆け抜けていったことなどを思い出します。COVID19ワクチン接種率も急速に高まりつつあり、感染率も徐々に低下しているようですから、僕はオリンピック開催、賛成なんですよねー。東京オリンピック開催は、私たちのアドレナリン分泌を刺激しきっとハイパーワクチンになるんじゃあないかなーーって思っています。

町の小さな診療所でのワクチン接種のものがたり


浜松オンコロジーセンターでもCOVID-19ワクチン接種が順調に進んでいます。

ニュース番組などで、1回目接種した人 ○○人、2回目も終了した人 ○○人と、毎日毎日変わる接種人数が正確に報道されています。

この仕組みは、厚生労働省から医療機関等に事前に配布された「VRS(Vaccination Reporting System:ワクチン接種報告システム)が役立っているからです。

接種対象者(今のところ80才以上)に市、町から郵送された「ワクチン接種券」には本人を識別するQR CODEが印刷されており、それをVRSのタブレットで読み込み、接種場所、年月日を入力し、転送ボタンをクリックすると、即座に厚生労働省ワクチン課に送られます。

このタブレット、QRコードが読み取れない、反応が鈍い、ピントが合わないという、使いにくさがあったためか、後日、担当部署からへんちくりんなダンボール箱(縦横A4の大きさ、厚さ5cm)が送られてきました。箱の上にタブレットを置き、箱の中にワクチン接種券を入れると、タブレットのカメラの位置とQRコードの位置がぴったり合う、というものです。しかし、これも全く役立たず!! というのは、箱の中が真っ暗になるため、QRコードを読み取れない、という致命的な欠点がありました。とにかく箱の中を照らせばいいから、キャンプに持っていく懐中電灯で照らしながら読み取れば、さくさくと読み取れることがわかり、登録は順調に進みました。

ところが、昨日、市長名の入った通達が浜松保健所から送られてきて、それによるとQRコードの読み取りはしなくてもいい、ということでした。おそらくたぶんきっと間違いなく、懐中電灯で照らす、という発想のない施設では、「やっぱり使い物にならん!!」との不満が噴出したものと思います。

次の解決策としては、きっと、厚労省はダンボールの内部に豆電球と電池を配置するような「小学生の夏休みの宿題」のようなバージョン2がおくられてくるのではないか、と楽しみにしております。今日も接種が終了、「いつも来ているところでよく知っている先生や看護師さんがいてくれてとても助かります」という評判です。町の小さな診療所での個別接種のお話でした。おしまい。

母を送りて


月初に母が他界した。93才、安らかで穏やかな最期だった。兄夫婦と私たち夫婦の4人で、生前母が愛唱した賛美歌「千歳の岩よ」と「神ともにいまして」を歌い葬儀を終えた。母が亡くなる3ヶ月ぐらい前に、入所していた施設でコロナウイルスのクラスターが発生したので面会は一切できなくなった。認知機能もだいぶ低下していた頃、最後に妙子とふたりで母に面会した時のこと、私がスマホを見ながら百人一首の上の句を読むと、母は弱々しい声で下の句を全て間違いなく唱えることができた。息子として14年前に父を送りそして今月母を送った。両親の良い思い出がたくさんたくさん残っている。

生前、母は盲人のために書籍を朗読し録音するボランティア活動「かたりべの会」に参加していた。私が大学生の頃に帰省したときなど、その活動をしている浜松市図書館に車で送り迎えしたことがあった。また、医師になって郷里に戻り、浜松オンコロジーセンターを開設したころに、私が担当していた患者さんから「おかあさんの朗読をいくつも聞いていますよ。」と言われたことがあった。母の葬儀の数日後、ふと「かたりべの会」のことを思いだし、浜松市図書館に電話して、「母が他界し、母の声のテープをダビングしたいのだけど貸してもらえるでしょうか?」と尋ねた。その時は担当者不在だったが本日、かたりべの会の方から電話があり「著作権法で盲人以外に貸し出すことは禁じられているのでお貸しできません。」とのことであった。「さぞかしお寂しいことでしょう、お越し頂ければお母様の朗読テープ、数本でしたらお貸し致しましょう。」ぐらい言ってくれてもいいのにと思ったか、昨今はコンプライアンス(法令遵守)を徹底しなければいけないので、それはそれで非常に正しい対応ではある。しかし、なんとも非情で悲しい対応である。どうにかならないだろうか、この小役人的世の中よ!

悪くないね COVID19 ワクチン行政


医療従事者に対するCOVID19ワクチン接種に大方のめどがつき、次は80才(来年の3月までに80才になる、現在79才)以上の人たちへのワクチン接種プロジェクトが着々と進行しています。私どもの医療機関でも浜松市ワクチン班へのワクチン発注、接種希望者の受付および接種日調整予約作業が進んでおり、「打つワクチン」と「打たれる人」の緻密なマッチングは結構な醍醐味であります。コミナティ筋注(ファイザー製)は、-80℃で保管され(Deep Freezer)、ドライアイス充填配送箱での搬送(−79℃)(中北製薬という問屋が浜松市から搬送請負:癒着はないはず)、私どもの医療機関で受領後−25℃(Standard Freezer)で2週間まで保存可能、冷蔵庫で3時間または室温で30分で解凍、添付の生理食塩水で希釈、激しく振ると泡立つので静かに転倒混和、1バイアルから6人分なのか5人分なのかは一定していないけど、とりあえず市役所からの指示は「5人分」ということになっています。バイアル番号何番のコミナティ(筋注)を、接種券番号何番の人に何月何日何時何分に接種したという履歴は、政府と浜松市から支給されたVーSYSとVRSという2つのアプリケーションとタブレット端末を使ってきちんと厚労省と市役所とに伝わる仕組みになっています。この一連のCOVID19ワクチン行政を理解するのに大変苦労しましたが、慣れるとかなり円滑に対応できるようになり、緻密なワクチン行政は決して悪くはないと思います。しかし、室温で長期間保管できて、お一人様一バイアル使用の「インフルエンザワクチン」のような扱いができる「すぐれものワクチン」が登場すればこんなにややこしい「ワクチン行政」を運用しなくてもいいのでしょう、お金もかかるし。第一三共でも日本化薬でも武田薬品でも、日本の超一流製薬企業が進取の気性をもって「室温で安定、お一人様一バイアル型のワクチン」を開発する日を頚を長くして待っておりますよ。

新型コロナウイルス ワクチン 日本遅発について思うこと


イスラエル人の60%以上がCOVID-19ワクチンの接種をうけていますが日本人は2%以下。先陣を切ったファイザー社のワクチン「コミナティ」の供給が少しづつ安定しつつあり、他に海外5社、国内4社がワクチン開発、また既存製品の国内でのライセンス生産にもめどが立っている、とのことですが、日本では何故接種率が低いのか、ということがしばしば指摘されています。現在進行形の「政府、地方自治体、日本医師会など、国を挙げての大規模事業」により我が国の接種率は徐々に上がってくることは間違いありませんが、どうして、「先進国であるはずの日本」でワクチン接種が遅れているのか、私なりに考えて見ました。

(1)大手製薬企業の多くがユダヤ系企業であり、完成したワクチンの納入をユダヤ人の心の故郷イスラエルへ優先する。(2)日本では古くから日本人特殊論があり「欧米人と日本人では薬に対する反応が異なる。日本人は薬やワクチンに弱いので、欧米で開発された薬剤、ワクチンは副作用が出やすい」と信じられてきた。そのため(3)海外で開発されたワクチンでも、もう一度日本人で臨床試験をやり直さないといけない、あるいは海外で海外人を対象におこなった試験で得られた効果、安全性を信頼しようとしない(4)かといって、日本で独自に臨床試験をやりなおすほどの「土壌」がない。(5)なんとなく、他国で接種が進み、大丈夫そうだという感触が得られ、日本にも早く導入しなくてはいかんだろう、という世論が形成されるまで、政府は重い腰を上げない。

私はがん領域の国際共同臨床試験や、国内の治験(製薬企業が主導する臨床試験)、国内の研究者主導型の臨床試験に長年に亘り数多く関わってきた。その歴史は「日本人は抗がん剤に弱い、とか、欧米人は肉を食ってるから体力がある」などといった理不尽な迷信を信じる年配医師たちとの孤立無援の戦いでもあった。その長い歴史を経て、今や「理不尽な迷信」は完全に払拭され、若い世代の医師たちは、立派にグローバルで活躍できるだけの知力、体力、精神力、コミュニケーション力を備えている。ワクチンの領域でもコミナティのようなmRNAワクチンの開発には、基礎的研究で日本人の研究者が大きな貢献を果たしてきたので、基礎的研究力は申し分ない。しかし、その開発力を国民の健康、福祉に結びつけるような臨床研究、薬剤開発、承認審査などの段階では、ブレーキがかかっているように感じる。大部分の薬剤の承認後の一般臨床での使用経験から日本人での効果、副作用の状況は、欧米人(白人)での効果、副作用状況と全く変わらない、というのが現実である。なのであまり、日本人特殊論にこだわらず、海外で有効性、安全性が検証された薬剤はそのまま、日本での使用が承認されてもいいのではないか。今般のCOVID-19 ワクチンについても、菅首相の口から「日本人でのデータが少ないため・・」という言葉が出たことは、厚労省の日本人特殊論への時代遅れのこだわりが背景にあるのではないだろうか。

その他の理由としてはワクチンに対して、子宮頸がんワクチンの事例のように理不尽に反応する集団が存在することだ。また、ワクチン接種の目的は、個人に免疫を付与するのみならず、集団全体が抵抗力を獲得する集団免疫の構築である。しかし、マスコミ報道で、集団免疫の重要性はほとんど語られず、たいして重篤でもない副作用を過剰に報道し、国民をワクチン恐怖症に陥れる風潮は、いかがなものかと思う。

タンカー座礁から思い出すその他の座礁


スエズ運河で大型タンカーが座礁(stranded)し、運河を航行する500隻以上の船が足止めを食い、そのあおりで石油価格が高騰しています。タンカー座礁は大潮の干潮が原因だったようですが、座礁で連想したことがいくつかありました。昨年、浜名湖で妙子とふたりでレンタルモーターボートで遊んだ休日(注:一級船舶操縦士免許を取得した記念でしたが)、今切れ口近くで座礁、1時間近く動けなくなり楽しいはずの休日が険悪な雰囲気になりました。strand (座礁)は「困った状況に陥る」という意味もあり、まさにその通りだな、と思いました。一昨年、静岡の高木くんのヨットで行った伊豆合宿、下田の浮き桟橋(ポンツーン)に停泊していたヨットが干潮でセンターボードが砂地でstrandし、潮が満ちるまでの2時間かかりましたが、その間、二人で思い出話、小説「漂流」の話などなどを楽しみ、必ずしも困った状況ではない座礁もあるもんだ、と思った次第です。

St.Gallen on Line, also


2年に一度開催されるSt.Gallen Breast Cancer Conferenceも今年はご多分に漏れずOn lineでの開催です。会期は3月17日(水)から21日(日)、予め録画した「On Demand Session」は3月13日からいつでも学ぶことができます。2年前の開催以降、公表されたエビデンスを専門家がわかりやすく(一部、とてもへたくそな専門家もいる)、プレゼンしてくれるのでとても助かります。3月17日からはリアルタイムのセッションが1日2-3あり、日本時間で夜の8時から11時まで「OnAir」というアプリケーションで放送されます。司会者、演者はそれぞれ自宅からの参加、時々犬の鳴き声が聞こえたりします。司会者の多くは手際よく6-8名のパネリストにテーマに関係したコメントを促します。質問する司会者のほとんどは歯切れ良くパネリストを指名しわかりやすい質問をしてわかりやすくコメントが帰ってきます。しかし、例外もあり、司会者が起きているのやら眠っているのやら、映されていることがわかっていないような奇妙な顔をしたり、質問ももごもご、きょろきょろきょろしてわかりにくく、おにごっこの「おとうふ」のようなのも一人いました。例年、最終日の土曜日午前中に開催される本学会の目玉「コンセンサスカンファレンス」、今回は土曜日と日曜日の2回に分けて行われます。私は今回、2007年以来連続7回目のパネリストに指名されました。Voting(投票)は、例年はリアルタイムで、当日の会場で行われますが、今回はVoteAtHomeというアプリケーションで事前に200近い質問に回答して、当日それをまとめた結果について討論することになっています。また、今回初の企画として、Audience(聴衆)専用に用意された質問もあり、予め登録をしておけば投票することができます。2年に一度のSt,Gallen、急速に進歩する乳がんの診断と治療ですが、今回は時勢を反映してとりわけGenomics(遺伝学)とNeoadjuvant Therapy(術前薬物療法:より適切にはPrimary Systemic Therapyですが)に関する質問がかなり多いです。日本時間マイナス8時間で開催されるので、日本での午前、午後の外来は通常通り、加えて夜から深夜に及ぶOn line参加ですが、丸い地球をオンラインで繋ぐことがこれからは当たり前になるでしょうから、学会参加のためにわざわざウィーンに行くということも無くなるでしょうね。

大橋先生も心配されているでしょう


大橋先生と共に作り上げた臨床試験グループ「CSPOR(シースポア)」、そのグループで実施した臨床試験「NSAS-BC(乳がん)、GC(胃がん)、CC(大腸がん)」は新時代を画した活動でした。この活動の運営を担当してくれたパブリックリサーチセンター、とくに当時事務局長であった中山淑子さんは親身になって我々の活動を支えてくれましたhttps://watanabetoru.net/2013/02/01/。CSPORでは臨床試験の実践の他にも年会(ANNUAL MEETING)、CRCセミナーなどの活動を通じて多くの人たちとの交流、新人発掘、人材育成、など「組織は人なり、人は宝なり」だからね、と誰からともなく浸透した理念を確固たるものとしてきました。

私は2005年に郷里浜松でオンコロジーセンターを開設し、高機能がん診療所、街角がん診療を基本理念として今日までがん診療を実践してきており、それ以降CSPOR、NSASとは直接の接点はなく、遠くで汽笛を聞きながら、過ごしてきました。

ところが、日曜日の大橋先生のお通夜でお目にかかった大橋先生ゆかりの多くの方々から、「CSPORどうにかしてくださいよ、たいへんなことになっていますよ」というお話を伺いました。お話を総合すると、今のCSPORは昔のCSPORとは全然異質の組織になっており、臨床研究に必要な、倫理も科学もなく、透明性、公共性も失われ、経理も不明朗、どうにも成らない状況なのだそうです。確かに良き跡継ぎに恵まれなかったことは残念なことでした。大橋先生もお亡くなりになってCSPORは、組織を私物化して横暴に振る舞う大馬鹿者が、今後どうやっていくのか、大橋先生もきっと心配されているでしょう。こんな異常な組織に決して業務委託をしないように、是非、製薬企業等、健全な社会を育んでいくべきお立場の方々、ご留意頂きたいと思います。