空も陸もだめよだめだめ


今日の青森出張は不可能になりました。空路は名古屋小牧空港からのFDAがCOVID-19禍のため早々と欠航宣言。ならば陸路でと、東海道新幹線→東北新幹線を乗り継いで新青森までの移動を予定していた矢先に昨日の地震に見舞われ、東北新幹線の電柱・電線がダメージを受け陸路での移動は不可能となりました。ならば、羽田からのJALで、と調べたところ、行きは確保できましたが、明日の帰りのフライトが朝10時発の一便のみ、あとは全部欠航ということで仕方なくCANCEL ALLとなりました。青森地方は大雪の予想、自然の猛威には刃が立ちません。晴耕雨読ということで時間を有効に使いたい。

釈然としない不合理


久々の投稿でごんす

リュープリンという注射薬は、乳癌、前立腺癌のホルモン療法として上皇陛下の治療にも使用された優れた薬です。それが昨年の春過ぎから、供給制限がかかり、いろいろな関係者に話を聞くと、「埼玉県の製造工場で、規定外の工程で作成されていたことが判明したため、工場の稼働を止めている」という状況が浮かび上がってきました。規定外の工程で作成されたものも上皇陛下の治療に使われたのかどうか、それはわかりませんが、「当局からの指示」というのが理由でした。そんなに間違ったことをしていたのだろうか? 武田薬品の態度が横柄なので当局からにらまれたのだろうか?・・・ など、いろいろな憶測が飛びました。当局というので「あーせーこーせーろーどーショウ」のやくじの方にきいたところ、どうもFDAからの査察がはいり、規定外の工程であることがバレて、改善命令だか、廃業命令だか、が下された、とのことでした。(FDAとは、Fuji Dream Air Linesではなく、Food and Drug Administration(米国食品医薬品局です)。「あーせーこーせーろーどーショウ」のやくじの方は、私たちも詳しい状況はわかりません、ということでした。それでもリュープリンはどうにか、健全在庫があるため、年明けまで需要を満たすだけの供給はありましたが、いよいよ在庫が底をつき、今までリュープリンを使用していた乳癌、前立腺癌の患者さんが治療を打ち切られざるをえない、という逼迫(ひっぱく)した状況になってきました。泣く子と地頭には叶わぬ、とか、黒船来航的圧力とか、言われるような状況で、泣きを見るのが武田薬品工業だけならいいのですが、消費者である患者さんたちの運命がかかっている状況ですから、とてもとても看過できるものではないのですが、世の中、COVID-19禍でそれどころではないようで、マスコミも問題視していないみたいです。外圧には厚生労働省も沈黙を守らざるを得ないようです。規定外の工程であったことを、厚生労働省は見過ごしていたのでしょうか?

COVID-19 の功名


怪我の功名とは、失敗や過失、あるいは何気なくしたことなどが、偶然によい結果をもたらすことのたとえです。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)もGo To トラベルや、Go To イートによる人々の移動が原因で爆発的に第三波が襲来しています。病院設備を、COVID-19感染者の入院に優先使用するため、がん患者の計画入院に支障をきたしています。とくに手術患者は待機手術を余儀なくされていますが、おかげで無駄な手術を回避できるかも、という好ましい結果もあるようです。乳がん患者に対しては待機の間、「術前薬物療法」を行い時間を稼いでほしい、という要請を外科医からうけますが、術前のつもりで治療を続けていたら、がんは消え去り、それでも一応、手術しましょう、ということで手術をすると、「がんは完全に消えていました。」という結果になることが多々あります。怪我の功名ならぬ、COVID-19の功名かな、と感じています。とくにHER2陽性乳がんでは、「手術で取ってみたらがんは完全に消えていた」つまり病理学的完全効果、英語ではPathlogical Complete Response(PCR)と言いますが、2005年に浜松オンコロジーセンター開院後、「ハーセプチンの専門の先生が浜松に帰ってきた」ということで、多くのHER2陽性の進行乳がん(肝転移、肺転移、脳転移など)の患者さんが当院に紹介され、ハーセプチンを主体に治療を行い、「がんが完全に消えた、その後、15年近く、無治療でも再発せず、完全に治った」と言える患者さんが多くいらっしゃいます。今ではHER2陽性乳がんではハーセプチンに加え、パージェタ、カドサイラなど、パワフルな薬剤を使用することで、転移があっても治る、いう時代を迎えています。そしてさらにCOVID-19で手術を待機しているうちに抗HER2治療でCTでもMRIでもがんが消えた、という情報も私の耳に入ってきています。セカンドオピニオン外来を受診する患者さんから、手術をしなくてもいいでしょうか? と問われると、「いいです」と胸を張っては言えませんが、「注意深くみていきましょう」と対応しています。COVID-19も悪いことばっかりではない、そんな思いを持つ、今日この頃です。

コロナ時代の初体験


先日、毎年担当している浜松医大病理学の講義をしました。COVID-19感染蔓延の最中ですので、ZOOMを使用した遠隔講義、新しい時代の新しい取り組みという感じで、学ぶ事も多かったです。昨年まで、大学の講堂に行って講義をしたときは、学生諸君は、講義を始めてもざわざわ、がたがた、途中で入ってきたり、出て行ったり、はじめから終わりまで机に突っ伏して居眠りしていたり、最後列で、数人でおしゃべりしたり・・・、このブログでも何回か、愚痴ったことがありましたっけ。先輩にその話をしたところ、「そんなもんだ、埼○医大の学生講義に行ったときなんて、まるで駅の待合室で話すようで誰一人、こっちの話なんて聞いてないんだから、やんなっちゃうよ」という話も聞きました。一方、講義終了後、2-3名の学生が演壇のところに質問に来ることがあり、鋭い質問だったり、細かくメモをとってあって、「ここのところ聞き逃したのですが・・」と尋ねる学生もいて、「おっ、すごいね」と手応えを感じることもありました。

遠隔講義だと、そのいずれも経験することがありません。今回のZOOMでは100名近くの参加者があることは、画面の「参加者数のカウント」でわかりました。参加者は10×10個ぐらいの区画に、囚人番号のように番号で表示されておりましたが、設定すれば、各自の顔写真も表示できるはずです。せめて顔写真でも表示されていれば、学生の存在を意識した講義ができるのですが、がら空きの講義室で中空に向かって話しをしているような空虚さを感じました。もうすこし、工夫ができるのではないか、と思います。また、教務担当者から、「時間が来たら始めて下さい」「終了したら終わって下さい」との指示が予めあり、開始、終了を案内(宣言)したり、演者を軽く紹介したり、質問の有無を学生に尋ねたりするような進行役(教室の若い先生など)も無くて、夜行列車が駅に静かに到着し静かに発車するような感じでおごそかといえばおごそか・・でした。教室の秘書さんに、上記の感想をお伝えしたところ、学務課にも伝えてくれて、学務課からは、学務課らしいお返事がきました。

以下、許可なく転載致します。

・学生のカメラのONについて 時々同様のご意見をいただきますが、全体に向けてカメラの常時ONを強制しますと、 精神的負担に感じる学生もいるようです。 (Zoomの導入当時、カメラは常時ONでなくてはならないのかという学生からの問合せが学務課に多く寄せられました。) 現時点では、学生の様子を見ながら講義されたい場合には、先生からカメラのONを呼び掛けていただいて、 学生には、先生からの指示があれば従ってくださいと伝えております。 ただし、学生が使用しているPC等の端末によっては、カメラ機能を持たないものもあり、 呼びかけに対応できない場合もございます。

(はい、よくわかりました、学生様のご希望通りに致しますデス、はい しかし、それだとネットでつなげておいて遊びに行ってもわかりませんね 大人として扱う、という方針ですかね)

・開始・終了の案内について 講義開始までのミーティングのセット(資料共有、音声等の確認)は学務課職員が行っておりますが、 同時進行で複数の科目が動いておりますので、 セットができたものから「時間になりましたら始めてください」とお願いしています。 開始時刻ちょうどに学務課からご案内をする等は、他の講義のセット状況の兼ね合いもあり、申し訳ありませんが難しいです。

(はい、よくわかりました。ご多忙のところ、恐縮デス、はい)

 非常勤講師をお招きいただいている場合は、リモートで構いませんので講座から冒頭に講師紹介をいただくなど、 始め・終わりのエスコートをいただけますと幸いです。

(そうだったらいいですね、でも、教室の先生方もお忙しいので・・・・・。私も忙しい中、時間をとっているので、よくわかりますデス、はい)


学務課としましても、医学教育推進センターとも協力しながら、よりよいWeb授業の展開に努めてまいります。引き続きのご協力を賜れますと大変幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

(こちらこそ、よろしくお願い致します。学生諸君が、私たちのこのような尽力をどれぐらい、認識しているか、わかりませんが、「子を持って知る親の恩」といったところでしょうか。学務課の皆さん、教室の皆さんの懐の深さに感銘をうけております。

久々のMR君たちの訪問 part 2


ニュース その二 ひどいニュース

「えっ!!? そんな馬鹿な話があるの??」と、この事件の話をはじめて聞いたのが数日前、診療の現場は、かなりざわつき、動揺し、対応策を模索し始めましたが、とても対応できる状況ではない、こんなことが許されるの??? という前代未聞の事件であります。

乳がん、前立腺がんの治療薬として、不可欠のホルモン剤であるリュープリンが、7月から8月にかけて市場から消えて、使えなくなるという、狐につままれたような話、本日、ナショナルフラッグカンパニーがその理由を説明に来ました。話をきくと、リュープリン生産工場が、厚生労働省に届け出た製造工程を「逸脱した」ことのお仕置きで、逸脱した工程で造られたリュープリンを販売すること、まかりならん、との当局の裁断がくだり、市場から消えるという、NHKニュースで取り上げてもおかしくない程の、大事件なのです。じゃあどうすればいいの? 薬がなくなる以上、昭和の時代に戻って、閉経前乳がん患者でホルモン療法が必要な場合は、「卵巣摘除術」を行う、前立腺がん患者では、「睾丸摘除術」を行うわけ??? 説明に来た担当者も、ただただ、うつむくばかりで、「私たちとしてもどうしたらいいのか・・・・(涙)」、よくよく話を聞くと「製造されたリュープリンは、品質には問題はないのですが、逸脱した工程で製造したものは、やはり・・・・」と、はぎれわるーい、のです。今のままいけば、何十万人という患者が、とんでもない迷惑を被るわけだから、当局もいわゆる「東大話法」で物事の筋道を立てようとしていいのか? 意地を張らず、「特例措置」で今回は製造した薬剤の使用は認める、ぐらいの緊急避難的対応をしなくてはいけないのではないか? あるいは、ナショナルフラッグカンパニーの社長自ら、中央合同庁舎第5号館前で土下座をするぐらいして、謝意を示したらどうか? 独眼竜正宗が死に装束で豊臣秀吉に詫びた、あのシーンのように。患者団体:いわゆるアドボカシーの皆さんも黙っていないで抗議活動を興したらどうですか? ひとつの扇動ですが・・・

久々のMRくん訪問


新型コロナウイルス感染症の緊急事態が解除されたけど東京、小樽ではノー天気な人たちの遊興により感染者が再び増加しています。静岡県ではとりあえず、そんなノー天気な人はいないようなので、まずまず、日常業務が再開されています。製薬企業のMRくんたちも医療機関訪問が解禁となり以前のように必要よりも不要な情報、good news よりもbad newsを届ける仕事を再開したようです。

そこで今日、良いニュースが一つ、ひどいニュースが一つ、舞い込んできました。

ニュース その一 よいニュース

ハーセプチンが初の分子標的モノクローナル抗体として日本に登場したのが2001年6月のことでした。当時、私は国立機関に勤務しておりましたのでハーセプチンが効果的かつ安全に使用できるようにという開発企業の相談に乗る立場にあり、良い薬を正しく使うための方策として、「使用はHER2陽性症例に限定しなくてはいけないからHER2陽性の検査日をその都度、記載することを義務付けましょう」と品川さんに提案し、それが受け入れられ医師が処方する際に検査日をその都度、診療報酬明細書に記載するという、面倒くさい取り決め事が現在まで守られてきました。自分で提案しておきながら、誰だこんな面倒くさいことを決めたのは!!と日々の診療の度に天に向かってつばを吐いておりました。それが、平成30年3月26日付けの通達で「処方の都度、記載する必要はなく「検査を実施した月と、初回投与の月だけ、検査実施日を診療報酬明細書の適応欄に記載するだけでよい」という通達があったというニュースを、かなり時間が経って気付いたと、MRくんが運んできました。それはそれで、日々の診療で分子標的薬剤を処方する際、いちいち「検査年月日」を確認し、ときにだいぶさかのぼって調べなくてはならないという煩雑さは解消されました。しかし、今やがん治療では、分子標的薬剤が主流のご時世で、遺伝子変異とか、蛋白過剰発現とか、を調べないで薬を使うアホはいないのだから、今回、改訂後の「検査を実施した月と初回投与の月」というのも時代遅れの香がぷんぷんと、霞ヶ関から流れてきますね。

まるで真夜中のよう


今日は三か月ぶりの青森勤務でした。2月以来COVID19禍のため移動できず。今回もまだFDA(フジドリームエアライン)が飛ばず、陸路の往復です。東北新幹線はやぶさ号乗車率<10%、東京駅は19時25分だと言うのに最終電車のホームみたい。東海道新幹線こだま🚅号乗車率<1%・・・。青森から浜松まで6時間の乗り鉄の旅 たまにはいいっか😝

ありがとうジャニーズ事務所


ジャニーズ事務所から浜松オンコロジーセンター宛に医療用マスクなどが段ボール一杯送られてきました。厚く御礼申し上げます。当院でも、発熱や体調不良で新型コロナウイルス感染心配症候群の方々が受診されます。幸い心配だけで感染者はいませんが、それでもPPE(Personal Protective Equipment:個人防御用具)は不可欠です。あべのますくよりもずっとはやい贈り物です。あべのますくと違い、鼻から顎まで、心地よく覆うことができます。元気がでます、ありがとう!! 天国のジャニーさん

まるで落語だね


ホームセンターで買い物して帰ろうと外に出たところ土砂降りの雨。そんな雨の中で小学生低学年ぐらいの女の子が大泣きしていました。お母さんが近くで「どうしてマスク持ってこなかったの 馬鹿だね!! ウイルス吸ったら死んじゃうよ」と、叫んでいます。女の子はさらにパニックになり、自分の鼻と口を小さな手で押さえようとしています。すると、なんていう事でしょう、お父さんが走ってきて、女の子の鼻と口を後ろから押さえつけたではありませんか!!! すぐに、おかあさんが車から戻ってきて女の子にマスクをつけ、家族でホームセンターに入っていったからよかったものの、私はその状況をずーっと唖然として見ておりました。密閉・密集・密接状況では感染者からのしわぶき、くしゃみ、おしゃべりで吹き出されるエアロゾルからCOVID-19ウイルスを吸い込む可能性があります。しかし、屋外で、適度に風があって、そんなに混み合っていないところで、ウイルス吸うなんてこと、死んじゃうなんてことは絶対にない、と断言できます。どうも、ワイドショーなどが、中途半端な、間違った情報で、視聴者の恐怖心をあおっているのが原因でしょう。また、国民のリテラシーの欠如、つまり、物理とか、化学とか、生物とか、自然科学の知識がこんなにも乏しいのか、こんな落語みたいな話、あるんだなー、と思いました。今日の感想でした。

実態不明の「免疫力」


新型コロナウイルス感染(COVID-19)蔓延に際して、マスコミなどでは、やたらと免疫力という単語が飛び交ってます。「乳癌手術・放射線照射後の女性が免疫力が低下したのでCOVID-19に感染した」という報道にはあきれます。術後の放射線照射では感染抵抗力が低下するような免疫細胞(好中球、リンパ球、単球など)数の変化は通常認められず、放射線肺臓炎が見過ごされていた状態でCOVID-19肺炎が合併したと考えるのが妥当ではないか、と思います。また、抗がん剤治療では、好中球は減少して細菌感染に対する抵抗力は低下する可能性はあるけれどウイルスに対して抵抗力が低下する、ということはありません。また、抗がん剤治療には、好中球減少を防ぐ長期間効果持続型の好中球増多因子(ジーラスタ)を使いますからいちいち好中球数を測定しないで安心、安全な抗がん剤治療を行う事ができます。

免疫力という耳障りのよい単語は、一人歩きして、ヨーグルト、納豆、キムチなどの発酵食品をたべると「免疫力」が増強する、とかいう根拠の乏しい特集がやたらと目につきます。免疫力という単語は、精神力、と同じぐらい、実態不明だと思います。個々の食品がいい、わるい、という話ではなく、バランス良く多くの食材を取り入れた豊かな食事を楽しむことが大切であろうか、と思います。