今ならセクハラ


40年前、大学の講義でアミノ酸を習った。人間が合成できないアミノ酸は食事で摂らなければいけない。9個のアミノ酸がこれに該当し「必須アミノ酸」と呼ぶ。覚えておきなさい、と言ってもすぐ忘れちゃうよな、いい覚え方がある「必須アミノ酸は太りメス威張る」と覚えておきなさい。

必須(ヒスチジン)アミノ酸は、ふ(フェニルアラニン)、と(トリプトファン)、り(リジン)、め(メチオニン)、す(スレオニン)、い(イソロイシン)、ば(バリン)、る→ろ(ロイシン) どうだ、覚えやすいだろう、と教えてくれたのは第二生化学教授の今井陽先生だ。

最後の「る」は、老婆の「ろ」だよ。教務課の入り口のところに威張りくさった太ったババアがいるでしょ。みんな叱られたからわすれないよな ああ見えても僕たちが学生の頃は結構な美人だったんだよね。じゃ、今日の講義はこれでおしまい。

今ならセクハラだ 女性蔑視だ なんだかんだと太りメスがうるさいけど昔はおおらかでよかったよね。

ディベート「うなぎは関西風か関東風」は置いといて・・・


寒い寒い日々が続いています。2月1、2日には「中部乳癌会議」がありました。今年で15回目、定番の「ディベート」で若きオンコロジストたちが論戦を展開しました。今までにこのディベートを経験した医師たちの多くが今では全国で中堅として活躍しています。ディベートは、自分は「A」の治療が正しい、と思っていても「B」の治療が正しいという立場で主張し、相手の「A」の主張を如何に論破するか、という競技を通じて「異なる立場、異なる意見を尊重する姿勢」とか、「物事を論理的に考える力」とか、「感情をおさえて冷静に論じる技」とか、いろいろな能力の鍛錬になります。このディベート大会、岩田広治、遠山竜也、澤木正孝、安藤正志の名古屋軍団と、私、小泉圭、松沼亮一、森菜摘子の浜松軍団、そして森玄、徳留雄太、タマちゃん、の東京軍団がファカルティとして若者たちの研鑽を支えます。若者たちがその背中を追って行きたくなる人生の先達として特別講演「原因と結果の法則」を語ってくれたのが有賀智之くんでした。浜松軍団と駒込チームは、浜松への道中、細江町気賀の清水屋に立ち寄りうなぎを黙々と堪能したのでした。来年も2月2,3日、中部中癌会議を開催いたします。全国の若きオンコロジスト諸君、参加をおまちしていますよ。

はずかしい週刊誌


年末から年始にかけて、出版社の○○ですが、セカンドオピニオンについてのご意見を伺いたいのですが、とか、最近のがん治療についてお話を伺いたい、というような、電話での取材が相次いだ。聞いたことのある、まじめと思っている出版社からなので、引き受けて、後日、1時間ぐらい、電話取材に応じた。その後、確認事項について、1−2回電話があった。しばらくして、送られてきたインタービュー記事ののった雑誌は、こちらが話した内容がほぼ適切に掲載されているのだが。。。しかーし、とても恥ずかしい週刊誌なので、待合室に置くこともできず、困ったモノだ・・・とため息のでる厳冬の日々である。

平成最後の年末の往復書簡


渡辺 亨先生

いつものように、年末が終わろうとしていますが、今年は、いつになく街の風景も慌ただしく、そしてざわついているように感じます。浜松は如何でしょうか。平成30年の終りに当たり、以下、“つぶやき” メールです。

この1年も、多地点に参加させていただき、勉強の時間をいただきました。心より感謝申し上げます。ありがとうございました。そして、来年もどうぞよろしくお願いいたします。

多地点カンファレンスには、広報担当として、また各種報道に依存する患者(一般市民)としての立ち位置で、参加させていただいております。

そして、その都度、臨床研究の進展を知る、医療現場の苦闘や問題を知る、それが患者に必要な問題意識は何かを考え、患者としての意識醸成を考える機会になっております。医療情報が学会や企業の広報活動として発信され(PR担当)、メディアに渡り、それがどのように報道されていくか、広報・PRを考える上で多くの示唆を得る貴重な機会をいただいております。この年末も、数人の医療記者と語り合いました。色々な意味で大事な事が分かりにくくなっている時代になって、医療・医薬分野の広報担当、医療記者、縁あってその間を繋ぐPR担当それぞれにおいて、ポジショニング意識が希薄になってきているのではないか・・・と。

企業や団体等社会を構成する責任ある組織が広報する、情報を社会に届ける、事の意味が分からない人たちが多過ぎて戸惑うばかりです。何とかしなければと、対策を検討中です。

そして、「よく、この人は何も考えていない、と言うけれど、その人は何も考えていない、のではなく、自分の頭を使っていない、自分の持てる能力を使いこなしていない、という事ではないか、脳細胞はもっと働かせる、という感覚が必要ではないか」、という話になり、頷き合いました。

患者さんや一般市民にとって、正しい医療情報は不可欠です。渡辺先生のお仕事、ガン情報局、多地点、様々な啓発活動で周りは元気100倍です!! 終り。

 良いお年を。

差出人氏名 拝

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差出人 様

熟考されたコメント、どうもありがとございました。昔から「とことん話し合う」「何故?を考える」「事の本質を追究する」「共通の理解をもつ」というようなことが好きで、また大切な事であると思ってきます。サンアントニオ乳がんシンポジウムに参加してみても、情報量は年々、増加し膨大となっています。2−3年前までは、1会場だけの開催でしたので、朝から晩まで、三日間、参加者全員が一つの会場にいれば情報を共有し、理解し知識として共有することができました。しかし、今年は、学会場が大幅に改築されたこともあり、並行してして3−4の会場での開催でしたので、あちこちの会場を、自分の興味に合わせて、移動することをしなければいけませんでした。それほどに情報量は膨大となり、同時に、とことん話し合う、とか、「共通の理解をもつ」ということができにくくなりました。サンアントニオに行っても、違う会場に参加していれば、「えっ、そんな発表があったの?」という感じで、まるで「同床異夢」です。大谷彰一郎くんの○○○な発表も、「えっそんなことがあったのですか」、という人も多いです。膨大な情報は、学会終了後、音声、スライド画像付きで、全ての発表を復習することができるようになっていますから、大谷彰一郎くんの○○○な発表も全てネットで復習することができます。佐治くんの飛び入りお助け解説も、です。しかし、便利な反面、帰国後の2週間は、毎日、毎日、学会の復習をしなくては全体像を把握できない、という状況です。一方、製薬企業は、学会期間中、あらゆる巧妙な手段を用い、全力を挙げて自社の製品を強引にアッピール、洗脳活動を展開しています。たとえば、イブランス(ファイザー)と「ベージニオ」(イーライリリー)は、サイクリン依存性タンパクキナーゼ4/6阻害剤」で激しく競合します。日本で1年前に発売されたイブランスは、その地位を守ろう、負けてなるモノか、と必死ですし、イーライリリーは、1年の遅れを取り戻そうと、手段を選ばず攻勢をかけています。この争いに乗せられ、巻き込まれてしまっている医師は結構多くて、2剤のくらべっこ、に没頭している感じがします。私が2013年に浜松で開催した乳癌学会では、「情報・知識・理解の共有」をテーマに、3会場だけの開催、とか、討論の重視とか、「同床異夢」現象を避けることを目標としました。しかし、乳癌学会もサンアントニオも、情報量の増加に伴って学会自体が肥大化し、情報は散逸し、製薬企業の思惑に操られ、まるで、夢遊病のゾンビのように医療者としての自己の主体を失い、考えることもなく、話し合う力もなく、本質を追究する時間もない状態に陥っています。なので、多地点カンファレンス、中部乳がん会議、症例検討会、など、NPO法人「がん情報局」の活動は、このような「情報の拡散」を抑制し「がんに関わる医療者として情報を集約し、共通の知識に基づき、理解を共有する」ことを目指しています。その作業のためには、脳細胞をもっともっと使わなくてはいけません。ですから、年末年始のおわらい番組や紅白歌合戦、箱根駅伝などは、貴重な「持ち時間」を消費させてしまう諸悪の根源なのです。しかし、人間とは弱いもので、ついついテレビをつけて、さらにビデオ録画までして、このようなの領域の情報はきちんと処理できるんですね。箱根駅伝、青山学院に原監督の家庭のこと、とか、紅白歌合戦にチコちゃんがでる、とか、みやぞんがユニークだとか・・・。そんなマスコミに踊らされて今年も終わりですね、このようなことは本能的に共有できる情報ですが、これもマスコミの巧妙な策略でしょうか? がん情報局も、より多くの医療者が、自発的に、使っていない脳細胞のキャパシティーを使って「がん医療に関わる情報・知識・理解の共有」できるような活動を展開していかなければなりません。これが、来年の抱負です。今年も大変お世話になりました。来年も、健康で、シャープに過ごせる一年にしたいと思います。年賀状は「我が家の居間から愛犬ロビンがご挨拶致します」。今日は町内会の会所大掃除、9時から妻と一緒に奉仕活動です。10時半からは今年最後の教会礼拝、そして大晦日、除夜の鐘が遠くに聞こえます。佃に住んでいた頃は、晴海埠頭に停泊している船の汽笛が遠くからボーッ、ボーッ、と聞こえてきましたっけ。

良いお年をお迎え下さい。

がん医療の確かな進歩を実感した5日間


あれから、ずーっと、SERDの経口剤が開発されないかなーと、待ち望んでおりました。「ねえねえ、岡村、なんで経口剤にならないの?」とチコちゃん風に尋ねようと思っていましたが、リストライマダとなってしまいMRくんもいなくなり、声も聞こえず、姿も見えず、たまにヴァーチャルMRくんからメールが来るだけ。それはさておき、Genentechの発表に対して私が質問したのは:I understand your compound is excellent. But my concern is the method of administration. Is it oral or injection? 即座に帰ってきた答えは「ORAL」、私は思わず「Oh Its painless.」といったように覚えています。

私の質問について多くのオンコロジストが、「That’s the point! 」「That’s very good question」と反応してくれました。それほどまでに「お尻に2本の注射」は世界的にも、やりにくい治療、というわけだったのですね。それ以上に患者さんたちにとっては辛い治療だったはずです。イブランスが承認されたときに、「通常、成人には本剤2筒(フルベストラントとして500mg含有)を、初回、2週後、4週後、その後4週ごとに1回、左右の臀部に1筒ずつ筋肉内投与する。なお、閉経前乳癌に対しては、LH-RHアゴニスト投与下でCDK4/6阻害剤と併用すること。」となっています。「閉経前の患者さんは、『毎回採血され、お腹に注射され(ゾラデックス)、腕に注射され(ランマーク)、さらにお尻に2本も注射され(フェソロデックス)とてもつらいわ』と泣いてますよ」と桜井さんが言っていると聞き、そのとおりだけど本当に申し訳ないな、と思います。

いや だが しかし ところが 針をささなくても、メスで切らなくても、副作用のどぎつい薬を使わなくてもがんが治ると言う日は、思っているほど遠くはないと感じています。カドサイラの話や経口DERDの話は、まさに医学の進歩を感じさせるものでした。

サ来年もサンアントニオ乳がんシンポジウムに参加できるよう、心・技・体を日々整えていこうではあーりませんか、みなさん!

ということで、金曜日は、カピバラ・ホズミン、アイハラール皇帝、たまをくわっち、ムルアカ・はやしの4人の外国人と一緒にユーバーを使ってスパーズ対レイカーズ戦に行ってきました。地元スパーズが快勝!! 帰り道はGo Spurs Go!! の大合唱でした。これで今年のサンアントニオ報告を終わります。尚、おおたにくんの大活躍はあちこちで話題になると思いますからここには書きません。さてMission completed  !! 愛犬と愛妻が待つ我が家に帰り着きました。もういくつねると お正月・・・

待ち望んだ新薬登場か!


お尻に1本でも残酷なのに2本も毎月注射することがどうしても納得できない私には、Genentech社の社員がサンアントニオ乳がんシンポジウム2日目のセッションで「新規SERD(Selective Estrogen Receptor Down regulator: 選択的エストロゲンリセプター作動薬)を開発中で既存のSERDであるフルベストラント(商品名:フェソロデックス)と比べてよりもっとずっとがっつり優れている」というデータを発表したとき、またお尻注かと心配になり質問したところ「経口剤です。」という答を聞き胸をなで下ろす思いでした(つづく)。

 

昔の名前で出ています


私はフルベストラントの国際治験に20世紀の終わりに携わりました。タモキシフェン1錠(20mg)内服とフルベストラント1本(250mg)筋注との二重盲検試験でしたから、対照群は「タモキシフェンの本物内服とヒマシ油をフルベストラントの偽薬(プラセボ)としてお尻に注射する」、試験群は「タモキシフェンの偽薬とフルベストラントをお尻に注射する」というものでした。しかし、この試験の結果、フルベストラント(250mg)はタモキシフェンに勝てず、欧米では承認されたものの日本では承認されませんでした。欧米で承認された理由ははっきりとはわかりませんが、新しい作用機序の薬剤、という雰囲気で、一気に発売に至ってしまったのか、リストラマダカ社の影響力(注:リストラマダカ社の前身は、ICI (インペリアル・ケミカル・インダストリー)、つまり王室御用達の化学会社だったわけですから、臨床試験の成績が乏しくても権威で承認させてしまうぐらいのことはあったのかも知れません。がっかりするリストラマダカの開発担当者を(お尻に注射だけに)尻目に「やっとこれで患者を苦しめる必要がなくなった」と感じたのでした。また、当時から「お尻に筋注するというのは、薬剤として完成度が低いのではないの? 経口剤は開発できないの?」とリストラマダカの開発担当者には折々の言葉として語っておりました。しかし、その後、いつの間にか、お尻に2本の注射と1本の注射の比較で2本が勝った(COMFIRM試験)ということになり、2011年に日本でも発売されたのでした。以来、お尻の注射は複雑な思いを抱きつつ続けています。