乳がん市民講座のお知らせ


2007年から定期的に開催しているNPO法人がん情報局主催「乳がん市民公開講座」を今年も9月30日、午後1時から4時、アクトシティ浜松(コングレスセンター4階)で開催します。第24回の今年は「がん診療の誤解を解く」というテーマです。基調講演には、腫瘍内科医 勝俣範之先生にお願いして「抗がん剤治療の誤解を解く~知ってほしいがんの正しい知識~」というタイトルでお話頂きます。後半は、「あなたの疑問に答えます」、勝俣先生はじめ、Volnextの曽我千春さん、小倉先生、後藤先生、天野看護師、神谷看護師、森薬剤師、そして私が、みなさんから頂いた質問に答えるパネルディスカッションです。

参加の申し込み、質問は、がん情報局(http://www.ganjoho.org/)からどうぞ。9月23日が締め切りです。

市民講座2018_1   市民講座2018_2

 

2学期の始まり


今年は7月31日から8月19日まで、なんと3週間の夏休みを取りました。こんな長い休みは国立がんセンターを辞めた2003年以来、15年ぶりです。だから意気揚々と仕事にもどりまるで小学生のように2学期を迎えました。

3週間の夏休み、と言ってもずっと遊んでいた訳ではありません。最初の1週間は高木くんといっしょに伊豆(清水→下田→松崎→妻良・子浦→清水)と駿河湾をちょっと出てヨットでのクルージングを満喫したよ。

次の2週間は、浜松オンコロジーセンターのリフォーム工事があり、片付け、ゴミ捨て、院内ネットワークの配線、あれやこれやと、奴隷のようにむち打たれ(誰に?)、働きづめ働いておりました。おかげで新規CTスキャナーも順調に稼働し、13年間の汚れも一掃され、快適に2学期の診療を開始できました。

奴隷のような肉体労働のおかげで体調は万全、先週土曜日にはカピバラ・ホズミン氏に呼ばれて講演に行ってきました。新作ネタで臨んで若手の先生たちも古手の先生たちも笑顔でまた来年来て下さい、と言ってくれました。気力と体力の充実、2学期が終わればお正月はもうすぐですね。

新しいルーチン


「新しいぶどう酒を古い革袋に入れる者はいない。
そんなことをすれば、革袋は破れ、
ぶどう酒は流れ出て、革袋もだめになる。
新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ。
そうすれば、両方とも長もちする。」
マタイによる福音書 第9章17節

今までそうだったから、と、明日からも同じルーチンを死守する人は多い。しかし、あたらしい枠組み、組織、配置、になったら、新しいルーチンを取り入れて、変革、進歩を目指さなくてはならない。浜松オンコロジーセンターは3週間の休診期間に院内改装、新規診断機種導入を完了した。新しいルーチンの導入は、それなりにストレスがあるものだ。しかし、新しい革袋にふさわしい新しいぶどう酒を目指さなくてはならない。特に保守的なのが看護師だ。明日も同じところから陽が昇る、と思ったら大間違いだ。新取の気風が求められている現在、「今まで通りにやりたい」は全く通用しないのだぞ!!!よく考えよう。

効果の見える掃除機から学ぶこと


自宅の電気掃除機をかける係を担当しています。「ダイソン」がサイクロン掃除機を発売した際に「吸引力の落ちない唯一の掃除機」と宣伝していましたが、その後、日本のメーカーもサイクロン方式を発売しています。ダイソンが出た頃に購入を妻に主張しましたところ、あれは重い、高い、ということで却下になり、「そんなに掃除機をかけたかったら今ある掃除機で毎週掃除するように」ということで、毎週日曜日の掃除機がけが私の仕事となりました。パナソニック(旧ナショナル、旧旧松下電器)の掃除機で、ゴミをすうと、赤いランプが点滅します。診療所で使っている日立の掃除機は、ゴミを吸ったか、ゴミがあるのか、確認できない、ただ、吸うだけです。そこで感じたのは、効果が見えることがいかに重要なことか、ということです。同じ事が、抗がん剤治療にも言えます。トリプルネガティブ乳がんだからすぐに手術、といって、たちが悪いからと言って全摘してしまって、そのあと、つまり術後化学療法として、抗がん剤治療を効果も見えず、副作用だけ現れる形で行うことは、まるで、ゴミを吸ったことがわからない掃除機のようなもの、です。効果の見える形での治療、つまり、原発病巣の縮小、消失がわかるようなかたち、つまりつまり術前化学療法を行うことの意義が、掃除機の喩えでもわかるでしょう。手術で完全消失、すなわち病理学的完全効果が得られていれば、全身の微小転移を完全に消えている、と考えて、化学療法後、病理学的完全効果が達成できていれば、2年間の経過観察で再燃しなければ、治癒したと言ってもいいだろう、という状況だと思います。効果の見える形で取り組むことで、無用な恐怖を払拭できる、ということを掃除機当番の経験あら学ぶことでできた、と思います。

青春の貴重な時間の切り売り(2)


研修医、大学院生の話を聞くと、しかし「積極的、自発的に青春の時間を切り売りしている」とも言えないような行動パターンも見えてきます。一つは所属する「医局」の「医局長」という立場の丁稚小僧が、OBなどから医局に依頼されてきたアルバイト医師派遣をまかなうために研修医・大学院生に機械的に割り振り、割り振られたら内容に関わらず、貴重な時間を費やさざるを得ないというパターン。地方の古い大医局、例えば北海道大学第一内科とか九州大学第一外科、といった看板医局では、老健施設やリハビリ病院での座っているだけバイトや、はんこ押しバイトなど、「とにかく医師の資格のある人間ならだれでもよかった」ということで、『頭も体も使わなくていいから行ってくれ、ゲシェンコ(贈り物を意味するドイツ語Geschenk (ゲシェンク)の誤用、御発音:アルバイト料のこと)は5本(5万円)だから』と口頭で言われたりメールやラインで都合のつく若手が指名され否応なしにかり出されるというパターン。しかし、最近ではこのような医局ぐるみの派遣ビジネスがすっかり様変わり、大手仲介業者がインターネットで「今週土曜日12時から日曜日午後5時まで、静岡県浜松市○○病院週末外来プラス宿直、日当12万円×2」というような勧誘広告をときどき・たまたま目にします。医療の世界でも働き方改革が叫ばれる一方で、誰にとって正義なのかもわからないような資格と時間の売買が横行しているのであります。

青春の貴重な時間の切り売り(1)


14期レジデントして国立がんセンター病院に赴いたのが1982年6月1日のことでした。10名の同期生はいまでも交流があります。開講式で阿部薫先生(当時は研究所内分泌部長でした)が「国立がんセンターに来た目的を忘れないようにしなさい。青春の貴重な時間を切り売りするようなアルバイトにうつつを抜かすことなく、寝食を忘れて勉強に励まなくてはいけません。」という訓示を話してくれた。その訓示が、いまでもずーっと耳の奥でこだましています。今、この立場になり、多くの若い研修医、大学院生と接してみて驚くことは、週末であろうが無かろうが、当直アルバイトに多くの時間と精力を費やしているということです。衣食足りて礼節を知る、といいます。大学院生は授業料を払わなくてはいけません。奨学金も、かじる親のすねも無く、収入ゼロで衣食住もままならないのならば、多少のアルバイトは必要でしょうけど、海外旅行に、高級外車にと、贅沢三昧の日々を過ごすために、青春な貴重な時間を切り売りするのは、阿部薫先生の不肖の弟子としてはやはりいかがなモノか、と眉をひそめてしまいます。

TAILORxの物語 -OncotypeDxの孤独- (7)


Bグループの人とCグループの人は試験開始から9年経った時点で、遠隔臓器への転移も、手術した側乳房の再発も、反対側乳がんの発生も、乳がん以外のがんの発生も、また、理由のわからない死亡も、これら全てにおいて、ホルモン治療だけをうけたBグループの治療成績は、ホルモン療法と抗がん剤治療の併用をうけたCグループの治療成績に比べて、「劣っていない(非・劣勢:non-inferior)」ことがあきらかになったのです。つまり、RS11-25の人は、抗がん剤治療を受けなくてもいいだろう、という一応の結論がでたわけです。(以下次号)