12月5日まで延長しましたので


本日12時の時点で、1490演題の応募をいただきました。当方の受け入れの余裕があり、なるべく多くの方々に発表の機会を持っていただきたいと考え、12月5日まで締切を延長することにしました。今回は臨床外科学会の開催、サンアントニオ乳がんシンポジウムの開催と締切日が近接しており、以前より、延長してほしい、という電話が個人的には来ていましたが、前記のような理由での延長です。この際、付け加えると、看護師からの演題が大変少ないのが気がかりなんですが、どうでしょうか。がん看護、乳がん看護、化学療法や、がん緩和医療などの領域で、エキスパートになっている専門、認定看護師も多数いらっしゃるのですから、多くの演題をお寄せいただきたいと思っております。

さあ、急ぎましょう


浜松での乳癌学会の準備がちゃくちゃくと進んでいます。あとはあなたからの抄録応募を待つばかり。 さあ、急ぎましょう、締切はもうすぐです。ポスターディスカッションの準備もあるので私たちは正月返上で頑張ります! あなたも急いで抄録、早めに送ってくださいね。おまちしていまーす!!

阿部 薫先生を偲ぶ


11月14日、阿部薫先生が亡くなりました。私は、駆け出し医師の時代から今日までの30年間、阿部先生の厳しい指導を受けて参りました、来年の乳癌学会には、先生に是非浜松に来て頂くよう、準備を進めていたところでしたが、それもかなわず、道半ばにお別れしなくてはならないことになってしまい残念でなりません。厳しい指導者としての阿部先生の一面に光をあて、偉大な故人を偲びたいと思います。
1982年度の国立がんセンター病院レジデント採用試験で、面接官として端の方にいらっしゃったのが、後で思えば阿部先生でしたが「終末期医療に取り組む心づもりはあるか」という質問を頂きました。レジデント採用後のオリエンテーションでは、若い時代の貴重な時間を切り売りするようなアルバイトには賛同しかねる、と先生にはっきり言われ、以来、私は若者のアルバイトには拒絶反応があります。1987年に内科医員として採用され、私は阿部先生の「内分泌グループ」で乳がん患者の診療、研究に携わることになりました。阿部先生の外来診療では愛情あふれる、とても温かい対応でした。あるとき、阿部先生と一緒に診ていた患者から、私の対応のまずさについてのクレームが寄せられたとき、お前が一生懸命にやっているのはわかる。しかし、例外を作ってはいけない。99人の患者をしっかり診ても一人をないがしろにしたら、お前の評価はゼロなんだぞ、と厳しく叱られ、臨床医の基本姿勢を叩き込まれました。この話、聖書の99匹の羊の喩えと似ているので、亡くなる前に、阿部先生に出展を確認しておけばよかったと思います。また、俺たち医師も患者も同じ人間なんだ、だから、想いとか、悩みとかは、同じなんだよな、とカンファレンスでもよくおっしゃっていましたが、それを聞くたびに、何か、ご自分に言い聞かせているようにも感じました。そして、適応と限界という表現も、総論などを執筆されるときによく使われていました。がん医療、とりわけ再発がん患者の治療では、できること、できないことがある、という現実を、患者と共に共有するという姿勢の大切さを学びました。後年になり、私も妻と共に洗礼を受けクリスチャンになってから知ったラインホルドニーバーによる静穏の祈りは、まさに、阿部先生のがん医療に取り組む理念に通じていると思っています。2012年11月19日、生前、阿部先生が通っていた金沢文庫のカトリック教会で執り行われた葬儀は、こんなやさしい阿部先生のお人柄がにじみ出ていたように思います。国立がんセンター中央病院医局から送られてきたFAXに親近者に限る、とあったので、参列を控えた方もたくさんいたのだろうと思います。でも、近親者とは書いてなかったので、私は仲人もしてもらったし、生涯の恩師ですから親近者のはずです。なので、妙子と納棺式、葬儀に参列し火葬場まで行って来ました。吉田茂昭先生も一緒で、阿部先生が骨になるところまでを見届けたのでした。すると不思議なもので、阿部先生との付き合いもこれからは霊的なフェーズにはいるんだな、と一応の区切りがついたように思いました。阿部先生に心から感謝の気持ちを捧げるとともにご冥福をお祈り申し上げます。

見えてきた暗礁


来年の浜松での乳癌学会の準備を実行委員会では日夜、一生懸命進めています。学会のテーマ、「情報・知識・理解の共有」に沿って、主たる三会場でのメインプログラムの骨格案はほぼ決まりました。各会場では三日間、1会場につき7つのセッションを企画しました。数例をあげると、原発病巣の手術に関するセッション、術前薬物療法に関するセッション、脳転移に関するセッション、橋渡し研究推進に関するセッション、遺伝性乳癌に関するセッション、看護外来に関するセッション、検診体制に関するセッション・・・と、大変魅力的で、時代にマッチしたテーマと、最適の司会者、演者を候補としてあげて、これから交渉に入ります。

一般演題の募集も始まりました。すでに100を超える演題が寄せられています。優れた演題、これは!と思われる演題は、主たる三会場で1000人から2000人の聴衆の前で口頭発表となりますから、是非、良い演題を多数お送りください。ポスターディスカッションもがん治療学会で、強烈なインパクトを感じた、という感想が多数聞かれます。あんな感じで、レビューワーの先生方にも活躍して頂きたいと切望しています。

問題は、企業スポンサーによる、モーニング、ランチョン、サテライトセミナーの企画です。暗礁に乗り上げています。今回は、全体のテーマ「「情報・知識・理解の共有」」と、サブテーマ2の「みんなでつくろういい学会」に基づき、まず、実行委員会で、こんなセミナーで勉強したい、という観点から、一回表の攻撃で、実行委員会側で案をつくり、9月の初めに、企業説明会を開催し、いかがでしょうと投げかけました。それに対して10月の初め、一回裏の攻撃として各企業側から、うちは、この企画をやりましょう! うちは、ちょっと違うけどこんなのを考えました、どうでしょう! ぜひ、これをやらせてください! という積極的な対応を頂いたところもありますが、なしのつぶてのところもありました。そして、現在、二回表の攻撃として、各企業との個別面談を連日開催し、浜松まで足を運んでもらって、夜遅くまで実行委員会側からの、ここをどうにか、とか、これをこうすればもっとすばらしいのでは、とか、いろいろな提案と相談を、FACE TO FACEで進めています。いわば、個別交渉、復活折衝です。中には、P社のように素晴らしい協力を約束してくれたところもありますが、しぶい反応も多く、ため息まじりの冬の空という感じ。暗い海底に横たわる暗礁に小さなカヌーは行く手を阻まれています。苦しみながらも暗礁を交わしていますが、その実態は何かを探ると見えてきたのは・・・。

「私たち実行委員会は、Nという薬剤の使い方、術前治療での海外のデータとかにとても興味をもっているので是非、昨年のようにモーニングで企画できませんかねエ」、という投げかけに対し、薬剤Nは、来年にはジェネリックが出るので、開発したブランド企業K社は、「弊社としてはNについては、セミナーでは扱わない方針で・・・」、企画を持って帰っても、担当部署からはOKが出ないと思う、と言うのです。「それでは、中心静脈ポートの関連でM社と抱き合わせで安全な投与方法の推進ということではどうでしょうか?、御社50%、M社50%の負担ではいかがでしょうか?」というようなネゴシエーションを展開しています。  暗礁① ジェネリックがでるとだれも面倒をみない業界体質

あるいは、「業界規約で、適応のない術前治療について扱うわけにはいかなくて・・・」などなど、歯切れがわるい。そこで、いろいろな工夫を提案した結果、T社のように、若年性乳癌の企画、わが社にぴったりかも、それで行きましょう!!と、それまでどんよりしていた目が急に輝きだした、などは、二回の表裏の攻防にはとても盛り上がりを感じた瞬間でした。しかし、全般的には、そうは問屋が卸しません。

とりわけ、びっくりしたのが、次の事例です。最近、多くの薬剤で問題となっている副作用の予防、治療として、参加者がきっと聞きたいだろう話題について、当該企業に持ちかけたところ、驚くような反応が返ってきました。しっかり伏せ字にしてコピペ、以下のような感じです。

宮本先生

いつもお世話になっております。○★製薬の田中真紀子(仮名)です。乳癌学会ランチョンセミナー共催の件で、ご連絡が遅くなりまして、本当にすいませんでした。さて、今回お声がけいただきました日本乳がん学会の共催の件について、弊社内で関連部門と検討をさせていただきました。結論から申し上げますと、今回の共催は残念ながら見合わせさせて頂きたいとの結論です。昨今の製薬団体によるプロモーションコードの規制について、弊社に対しても通達が届いており、弊社の所属しております協会からも、処方箋を扱う医師が参加する学会への共催に関し、厳しい制限を受けているところでございます。
薬剤師さんや看護師さんの学会であれば規制は緩いのですが、明らかにお医者さんが中心の学会に関しましては、非常にご協力が困難な状況となっております。
折角、弊社のような会社にまでお声をかけて頂いたにもかかわらず、上記のような結果をお伝えすることになり、真に心苦しい状況でございますが、なにとぞご理解賜りますようお願い申し上げます。また今後とも、ご指導ご鞭撻賜りますようよろしくお願い申し上げます。渡辺亨先生にもよろしくお伝えいただければ幸いです。

暗礁② ユーザーのニーズを全く無視した業界のお手盛り規制 (とりわけおかしいのは医師はだめだけど看護師、薬剤師はOKというところ、なんのことだがわけわからず)

600もの戒律でがんじがらめのユダヤ教の世界では、もみあげを剃っただけでも罪びとになります。当時のユダヤ人はその戒律の厳しさから、のびのびとした暮らしができませんでした。そこに登場したイエスキリストは、「神を敬い、人々を愛すること」、この二つだけ守ることが大切、と説きました。ユダヤ化している製薬業界に救世主は現れるのでしょうか? 待ち望まれます。