第4回浜松乳癌情報局市民講座


浜松発 – –  浜松乳癌情報局主催、ブリストルマイヤーズ製薬共催、 第4回公開市民講座が、8月19日、浜松市のアクトプラザカンファレンスセンターで開催された。事前の予約も含め250名近くの参加者で、会場はほぼ満員であった。今回は、「顕微鏡でみる乳がんの性格」というタイトルで開催、基調講演は、癌研究所病理部、秋山太先生による、「顕微鏡でみる乳癌の性格、病理医って何?」と題するすばらしい講演であった。秋山先生は、病理医の不足を訴えた。静岡県はその中でも、全国47都道府県中、46位、つまり、びりから二番目の少なさだそうだ。せめて30位ぐらいかと思ったのだが、あまりの低さに驚きである。浜松医科大学での病理医師育成に期待するところ大である。
秋山先生は、また、病理診断の難しさについて、実際の病理標本の写真を提示しながら、専門家でも、癌か、癌でないのかの判断で、意見が分かれるような場合があることを説明してくれた。事前に寄せられた質問の中に、病理診断を指紋認証のように、コンピューターでできないかというものがあったが、講演を通じて病理診断の困難さを知ると、この質問の答えがおのずから明らかになるだろう。病理医師の不足、乳癌病理医のもっと不足、病理診断の難しさ、など、実態がわかりやすく解説された。これからは、秋山先生のような弁舌さわやかな病理医が、患者に直接病理診断結果を説明する「病理外来」の開設が必要だろう。また、一般の人々の間では、病理診断で白黒がばしっと決まる、というような誤解と、病理診断に対する過剰な期待があるようで、そのあたりも今回の講演で、明らかになったので、そのギャップをどうしたら埋めることができるか、ということも考えないといけない。
第二部、パネルディスカッションには、事前に56の質問が寄せられた。司会の大佐古先生を中心に、3回の打ち合わせを事前に行い、当日も午前中から開始直前まで、回答をみんなで準備した。浜松乳癌情報局市民講座では、全ての質問に、正面から、可能な限り正しく誠実に答えよう、というのが、われわれの基本姿勢である。過去3回、そして今回も大変よかったというお言葉をたくさん頂けたのは、このような真正面からの取り組みがあったればこそ、ということだと思う。これからも、同じように、がんばっていきたいので、皆さんも、どうぞ、ご遠慮なく、質問をお寄せ頂きたい。次回は、2月17日(日曜日)、「患者と医師との正しい付き合い方」というようなテーマーで、ワット隆子さんを基調講演にお招きして、浜松アクトプラザでの開催を予定、たくさんの皆さんのご参加をお待ちしています。
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野にくだりて思うこと


 2003年7月31日、私は国立がんセンター中央病院を退職し、宮仕えに終止符を打った。昔から国家公務員は自分にはむいていないと思ってはいたが、一度は宮仕えを経験しておくのもいいだろう、という父の勧めもあり、国家公務員を20年も続けてしまった。2003年8月は、丸々1ヶ月間夏休み、久しぶりで自然の中で思う存分養った英気もその後の強烈営利外来ですっかりと消耗してしまった。宮仕えの放漫経営から強烈営利追求医療への180度の転換で、ある種のカルチャーショックを感じたが、それにも2年で見切りをつけ、現在は、自ら経営者の立場もかね、宮仕え放漫経営の良さと悪さ、強烈営利医療の悪さと悪さ、を冷静に見極める力もついたと思う。そのような視点でみると、かつて宮仕えをしていた頃の自分や、現在、大学やがんセンター、公立病院などにいる仲間のぬるま湯的気質を見るにつけ、なんと、燃費の悪い医療をやっているのだろう、とつくづくあきれる。若い人でも、目が曇ってくるのではないかと感じることが多い。野にくだりて学んだことを、どうにか、宮仕えの連中にフィードバックできないものだろうか。