誰がいちゃもんつけるわけ?


今年もSt.Gallen Consensus Conferenceが近いづいてきました。いろいろと準備を進めています。3月19日から23日ですが、どんなコンセンサスだったの? 皆さん興味をお持ちですので毎回、帰国後には内容をまとめてお話する機会を持ちます。それで、京都や九州に伺うのですが京都での講演のタイトルにはSt.Gallen 2019と入れてはいけない、わからないようにしなさい、とその筋からのお達しがくるので、どうにかぼかしてほしい、との指示が虫害からきました。誰がいったいいちゃもんをつけるのか? なんでSt.Gallen 2019を入れてはいけないの?と虫に聞いてもわかりません。なので、伏せ字にするためSt.Galeus H-31 とすることになりました。なんとばかげた業界でしょうか。こんなことに懸命になっているからかみせんせいに叱られるのでしょう。ぼーっといきてんじゃないよ!!ってか!!

浜松オンコロジーフォーラム


4月13日、浜松オンコロジーフォーラムを開催致します。

今回は、浜松にて乳腺外科に従事されていた松沼先生が経験された、アメリカ留学に関するご講演と、今回で第16回を数えるSt.Gallen International  Breast  Cancer Conference に、パネリストとして参加されている渡辺先生のご講演を予定しております 。医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師、などの医療従事者から、学生、地元行政、製薬企業の方々まで、皆様、お誘い合わせのうえ奮ってご参加ください。

3年間の米国留学で学んだこと  松沼亮一

私は2015年11月から2018年10月までの3年間、米国 テキサス州 ヒューストンのベイラー医科大学に留学し研究生活を送りました。留学をするまでには多くの壁がありました。また、留学後も当然のことながら何一つ簡単なことはありませんでした。実際の経験談を交えながら3年間で挙げた研究成果についてお話ししたいと思います。その中で最も大きな研究成果はClaudin-low乳癌に関する研究です。まだあまりなじみがないタイプの乳癌かもしれませんが、全乳癌の7-14%と報告されており、その多くはトリプルネガティブです。Claudin-low乳癌は間葉系マーカーが強く発現しており、CD44、CD24といった表面マーカーも癌幹細胞のそれと類似しています。また、Basal-likeとはgene expression profileが異なるためにトリプルネガティブの中の別の一亜型として扱われます。我々はClaudin-low乳癌の増殖やEMTにおいてDPYSL3という蛋白が重要な役割をしているということを報告し、その成果が米国科学アカデミー紀要に掲載されましたのでこの内容も含めて講演させていただく予定です。

St.Gallen 2019 乳がん初期治療 これからの方向性 渡辺亨

1978年に第1回を開催して以来、今回で第17回を数えるSt.Gallen International Breast Cancer Conference が今年も3月20-23日 オーストリアのウィーンで開催されます。今回のキャッチフレーズは“Estimating the magnitude of clinical benefit of systemic and local therapies in patients with EBC”「早期乳がん患者における全身的および局所的治療の臨床的恩恵の大きさを評価する」です。ここで注目したいことは、全身的治療すなわち薬物療法が局所的治療すなわち手術、照射の前に位置されていることです。このことは、全身的微小転移を撲滅する薬物療法の意義が、手術などの局所的治療を凌駕するものであるという認識を明確に物語っていると言えるでしょう。現在一般的に用いられている術前、術後薬物療法とか、術後補助療法というような手術を第一義的治療と位置づける考え方は急速に衰退していると言えるのではないでしょうか。ちなみに2017年の第16回のキャッチフレーズは”Escalating and De-Escalating Treatment in Early Breast Cancer across Subtypes and Treatment Modalities”でした。まさにキャッチフレーズの変容は時代の趨勢を物語っているように思います。さあ、皆さんもご一緒に新しい時代に旅立とうではあーりませんか!!

今ならセクハラ


40年前、大学の講義でアミノ酸を習った。人間が合成できないアミノ酸は食事で摂らなければいけない。9個のアミノ酸がこれに該当し「必須アミノ酸」と呼ぶ。覚えておきなさい、と言ってもすぐ忘れちゃうよな、いい覚え方がある「必須アミノ酸は太りメス威張る」と覚えておきなさい。

必須(ヒスチジン)アミノ酸は、ふ(フェニルアラニン)、と(トリプトファン)、り(リジン)、め(メチオニン)、す(スレオニン)、い(イソロイシン)、ば(バリン)、る→ろ(ロイシン) どうだ、覚えやすいだろう、と教えてくれたのは第二生化学教授の今井陽先生だ。

最後の「る」は、老婆の「ろ」だよ。教務課の入り口のところに威張りくさった太ったババアがいるでしょ。みんな叱られたからわすれないよな ああ見えても僕たちが学生の頃は結構な美人だったんだよね。じゃ、今日の講義はこれでおしまい。

今ならセクハラだ 女性蔑視だ なんだかんだと太りメスがうるさいけど昔はおおらかでよかったよね。

ディベート「うなぎは関西風か関東風」は置いといて・・・


寒い寒い日々が続いています。2月1、2日には「中部乳癌会議」がありました。今年で15回目、定番の「ディベート」で若きオンコロジストたちが論戦を展開しました。今までにこのディベートを経験した医師たちの多くが今では全国で中堅として活躍しています。ディベートは、自分は「A」の治療が正しい、と思っていても「B」の治療が正しいという立場で主張し、相手の「A」の主張を如何に論破するか、という競技を通じて「異なる立場、異なる意見を尊重する姿勢」とか、「物事を論理的に考える力」とか、「感情をおさえて冷静に論じる技」とか、いろいろな能力の鍛錬になります。このディベート大会、岩田広治、遠山竜也、澤木正孝、安藤正志の名古屋軍団と、私、小泉圭、松沼亮一、森菜摘子の浜松軍団、そして森玄、徳留雄太、タマちゃん、の東京軍団がファカルティとして若者たちの研鑽を支えます。若者たちがその背中を追って行きたくなる人生の先達として特別講演「原因と結果の法則」を語ってくれたのが有賀智之くんでした。浜松軍団と駒込チームは、浜松への道中、細江町気賀の清水屋に立ち寄りうなぎを黙々と堪能したのでした。来年も2月2,3日、中部中癌会議を開催いたします。全国の若きオンコロジスト諸君、参加をおまちしていますよ。