ST.Gallen 1日目


St.Gallenは、温かく東京あたりの気候と同じぐらいです。1日目は、午後2時30分から開始、開会式のDr.Senn(会長というか事務局長)の挨拶では今回の参加者を4200人で前回の約5000人からは減ったようです。その理由は、スイスフランがドル、ユーロに対して30%ぐらい高くなったためとのこと。日本円の円高と同じでスイスに来るにはお金がかかる、ということのようです。毎回、優れた研究者が表彰されますが今回はタモキシフェン、ラロキシフェンなどSERM研究一筋のクレイグ・ジョーダンが受賞しました。AIの間欠投与や、低用量エストロゲンなど、理屈に基づいたホルモン慮法の展開の可能性を話していました。なかなか、純粋で学問的でよかったと思います。その前にアストラゼケカのサテライトシンポジウムがあったのですが、フルベストラント、アナストロゾール、ゲフィチニブなどAZ社のプロダクトに関して無理やり作ったような話の連続で胸やけがしていたのでちょうどいい消化薬でした。
さて、セッション1は、毎回恒例の「前回から新しくわかったこと」ということで、4つの話題が取り上げられました。
最初はPARP阻害剤の話、演者はイギリスのDR.TUTTです。彼は禿げていますが遺伝学の研究を昔からしていて、ランセットにオラパリブ(経口のPARP阻害剤、AZプレゼンツ)の論文の著者です。PARP阻害剤は、イノパリブの第三相試験の結果がASCOで発表されるのでそれが今年の目玉になると思います。

二番目はマルチナピカトおばさんですが、あの顔がスクリーンに大写しになるとちょっと引いてしまいます。彼女の話しは、12月サンアントニオのホセバセルガ、ルカジアーニの発表のレビューでした。彼女のいいところは、エビデンスから導かれるコンセプトを、自前のスライドで展開するスタイルでオピニオンリーダーの光をはなってきました。しかし、なんということでしょう、今回は製薬企業作成のスライドのつなぎ合わせで話の中身も精彩を欠いていました。

三番目は、骨と乳癌の話しで、演者はボブコールマン、AZURE試験の主任研究者です。期待したのはRANKL阻害剤なども含めたレビューでしたが、ゾメタの話だけででしかも、サンアントニオで聞いたAXURE試験のネガティブデータの話で終わった元気のない話でした。

四番目は、イントリンシク分類のDr.PEROUでしたが、これももう少し包括的な話をするかと思ったら、ありきたりのレビューでやや表紙抜けでした。

次のセッション2「生物学1」では、クリストス・ソチリオ、ホセ・バセルガ、ケント・オズボン、ポール・ゴスが、話をしました。が、どうも、時間オーバーだったり、話がこまかかったり、また、司会のアラン・ゴルドヒルシュとマルチナピカトの突っ込みもいまいちかな、という感じでした。

一日目を終わって、郡司さんの採点は一対一のイーブンでした。

投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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