先日、関西のある総合病院の乳腺外科医の診療を受けている患者さん、セカンドオピニオンを求めて浜松にお見えになりました。今まで東京でのセカンドオピニオンでは、東京近郊の患者さんが多かったのですが、これからは、関西からの患者さんも増えてくるでしょう。そうすると、また、あらためて、おやっと主言うような癌医療に遭遇することになります。その患者さんによれば、「担当医のX先生はとにかく忙しく外来で話もできない、1-2分の外来診療時間がふつう」だそうです。確かに、関西のその先生は、ここ2-3年、とても患者さんが増えているそうで、外来はあふれんばかりだそうです。そして、その患者さんは、術後の抗癌剤治療がとても辛かったので、再発した現在、また、あの辛い治療は絶対にうけたくはない、というお考えだそうです。それを担当医に話したら、「それはあなたなの選択ですから」と答えたそうです。それはそのとおりでしょうけれど、「術後抗癌剤治療は何のためにやるのか、再発後の治療の目的は何なのか、どのような心構えでとりくめば良いのか」などについて、患者さんは全く理解できていませんでした。そこ状況で、「あなたの選択です」とは・・・。不十分な情報での選択を尊重していいのでしょうか」、残念~! また、吐き気などに対する副作用対策はこまめに調整すれば、かなり押さえられるはずですが、そういうことは、忙しい外来では、やっている暇はないのでしょうか? これも残念~! さらに、遠隔転移のある患者さんが、わざわざ新幹線に乗って横浜まで通って、血管内治療をうけているそうです。私に優るとも劣らない程のエビデンス侍として関西では認識されているらしいX先生が、まさか、血管内治療を薦めるとは思えませんでしたので、「担当のX先生は、なんとおっしゃいましたか?」と患者さんに尋ねたところ「それもあなたの選択ですから」といって、紹介状を書いてくれたそうです。怒~!そもそも、遠隔転移を有する乳癌の治療の目的は何か、ということが全くわかっていない血管内治療などをやっている医療機関があること自体が信じられないことです。患者さんは、血管内治療がなぜ間違った治療なのかを十分に患者さんに説明しなくてはいけません。怒~!そもそも遠隔転移病巣に血流を提供する血管に選択的に管をいれて、抗癌剤なりを注入する意味はどこにあるのか! 斬り~!!!! 遠隔転移を有する乳癌の治療の目標は、症状の緩和とQOLの向上であり、可能な限り全身治療で取組む。個々の病巣による圧迫とか、通過障害を来すような場合には、そこを縮小させるための局所治療を行なう意味はあるだろう、血管内治療に意味があるとすれば、そのような局所治療としての意味だけであると思います。さらに、さらに、もっと、もっと、あきれたことは、その血管内治療クリニカでは、個人輸入したゼローダ500mg錠を1日1錠、患者さんに保険がきかない薬、として自費診療しているのです。ゼローダの1日使用量は2400-3000mg、しかも300mg錠が日本では保険承認されています。血管内治療が保険診療外なら、混合診療になるので、ゼローダを保険で処方刷るわけにはいかないでしょうが、それにしても、どうしてアメリカから輸入した薬を使用しなくてはならないのでしょうか?? 激しく斬り~!!!!。話はいつの間にか関西のX先生から、横浜のクリニックに移ってしまいましたが、とにかく、エビデンスに基づかない治療が横行していて、患者さんが翻弄されているのです。この現状、どうにかしなくてはいけません。