過日訪れた町の症例検討会で、医師-患者関係について考えさせることがありました。O先生が術後の患者さんに抗がん剤治療を提案したところ、患者さんが、抗がん剤はしない、という道を選択された。しかし、数ヶ月で遠隔転移が出た、ということで、そこからの治療方法の選択をどうしましょう、ということがポイントでした。すると、会場の後ろのほうに座っていらっしゃった、やや年配の地元の先生が、「何で術後の抗がん剤治療をやらなかったのか。患者が拒否するなら、説得してでもやるべきだろう。自分で説得ができない、と思ったら、先輩でもだれでも呼んできて、説得してもらうべきで、それもしないのは、怠慢ではないか!」と、喝~っ!!!!みたいな迫力で主張されたのです。担当のO先生は、とても理性的で、よく勉強されており、その地域にあっては、標準的治療普及の若きオピニオンリーダーとしてしっかりと診療をされている先生です。この患者さんにも、十分に時間をかけて、再発のリスク、抗がん剤治療を実施した際のリスク抑制効果、そして、抗がん剤治療をやることのハーム(副作用、時間、お金)をきちんと説明して、その上で患者さんが選択した道を尊重した、ということなわけで、私も、それでいいんじゃないかな、と思いました。ここで、医師ー患者関係の4つのパターンがある、という話、これに行き着くわけです。詳しくは、近々、朝日新聞社から出版される「がん常識のうそ」をお読みください。えっ、本の宣伝だったの? そ~なんですよ。