サンアントニオ3日目の話題


今日は、朝のポスターセッションでNSASBC02の中間解析の結果を発表した。中間解析といっても1060症例の登録はすでに終了し、ある程度の結果が得られている。ポスターの前を往来する人々にこちらからアイコンタクトを送り、無理矢理質問を促したり、説明したりするのも楽しいものだ。この試験は、今あちこちで問題になっているアンソラサイクリンの必要性について前向きに検討した試験であり、またドセタキセルとパクリタキセル3週投与をヘッドトゥーヘッドで比較した点で、デザイン的にも自信満々の試験だ。結果は(1)全症例ではアンソラサイクリン(AC)を追加する、しない、では差はない。(2)しかし、HER2過剰発現のある症例ではACを加えた方が再発が少ない、HER2過剰発現のない症例ではACを加えてもタキサンだけでもかわりない。(3)3週ごと投与では、パクリタキセルよりもドセタキセルが優れている、といったところです。米国インターグループ試験1199とコントロールアーム(AC→パクリタキセル)をそろえてあるので、今後もいろいろな比較ができるとおもう。また、5分の1ぐらいの症例で、HER2が未確認なので、今後、参加施設に再度お願いしてHER2未検査の症例では、検査してもらうようにしたい。この件は、来年2月のCSPOR年会で討論したい。
往来する人々からの反響はnice study!!というもの。やはり、HER2の発現とアンソラサイクリンの追加効果については納得がいくようだ。また、ドセタキセル75mg/m2でもよい結果が得られたということで、100mg/m2は使用しなくてもいいのか、100は、使わないですむのなら使いたくはないから、という指摘もあった。また、アンディー・サイドマンや、そのお弟子さんのチャウ・ダン(いずれもスローンケタリングは、計画や実行の段階からちょくちょく話していたので、ついにデータが出たね、しかもエキサイティングなデータだと、関心しきりであった。アンディー・サイドマンは、このポスターは、ジャパニーズシルクなの?と、ポスターを端をつまんで、関心していた。
午前中のgeneral session 5はおもしろい演題と、あきれた演題が混在していた。おもしろい演題は、がん細胞の転移形成に機能するマイクロテンタクルの話。マイクロテンタクルとはがん細胞の表面にたこの足、あるいはムラサキウニのとげのようにうごめく突起で、動画を交えて、がん細胞が移動する様子や、マイクロテンタクルが薬剤により機能しなくなり、こうなれば転移は抑制されるはず、という話は、エビデンスを超えて説得力があった。一方、ATACの参加症例のうち1300例ぐらいでオンコタイプDXを行ったというミッチー・ダウセットの発表や、NSABPB28登録症例でTAUをしらべたプズダイの発表、また、N9831試験登録症例を対象にMYC増幅を検討したイーデス・ペレースの発表は、手間と、暇と金をかけて検討した結果が、たったそれだけ? だから何なの?というような、大山鳴動してネズミ3匹というようなあきれた演題であった。
以上、3日目のウルトラハイパー速報をお送り致しました。今日の昼からのケースディスカッションは、これがまた、ひっくり返るような症例呈示があってスタジオ騒然、という感じでした。詳細は、次号でお伝えする予定ですが、体力と知力があればということで、だいぶ空席の目立つHALL Dからごきげんよう。
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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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