週末は、琉球乳腺倶楽部の講演に行った。沖縄には10年ぐらい前から毎年、乳がんの薬物療法の話で宮良先生によばれてお邪魔しているが、年々、レベルが向上しているのがわかる。昨年は、「転移性乳がん薬物療法の正しい進め方」というタイトルで、自治医大から研修で来ていた佐藤政広先生に症例提示係をお願いした。ことしは田原梨絵先生が同行したが、事前に最近の私のスライドを渡して、こんなふうにやればいい、と説明しただけで、素晴らしいプレゼンテーションを作って発表もきちんとしてくれた。やはり指導者がよいと若者は伸びる。ここでいうよい指導者とはおれおれ自我自賛。まず、私がSt.Gallen2009のふたつのポイント「病型分類アンド閾値確認」を解説、また、UFT vs.CMFや、CALGB9344 トライアルのサブセット解析の話をして「がちがちのエビデンス原理主義ではよくないぞ」という話をした。宮国先生がスマートな司会をしてくれた。引き続き田原梨絵先生が5症例を提示しながら「病型分類アンド閾値確認」という流れで会場とインタラクティブに話を進めた。この部分は私が司会をして、会場の参加者に、だれかれ構わずがんがん当てた。私は検査技師なので、とか、私は看護師なのでわかりません、というようなことは全く関係なく「病型分類アンド閾値確認」方式で進めていくと、誰でも正しい治療選択ができるのだ。これは実に驚きだが、まさに、「技」として、伝達可能なノウハウなのだ。このようにすれば、スムーズなチーム医療ができるのだ。チーム医療を箱もので考えるのではなく、このような技術を開発することのほうが大切であることを痛感した。
技のポイント;
病型を、liminal A, luminal B, HER2病、Basaloidにわける。
閾値表をみながら、「閾値越え」を探す。
luminals については、閾値越えがあれば、ケモを加える。
どんなケモを使うかは、患者の意向を考慮して選択する。
それにしても今回使った新築の医師会館にしても、昨年のテダコホールにして、信じられないほどのゴージャス建築だ。すべて、思いやり予算のような補助金でできているのだ。いくら基地があるからといって、沖縄はすこし甘やかされているような気がした。