Ubiquitous Oncology


街角がん診療を掲げて浜松オンコロジーセンターを開設して来年の5月で5年になる。埴岡さんが日経にいた頃に、癌治療学会で会ったときに「先生の診療所が5年続いたら取材に行きますよ」と言っていた。こちらは、ぜひお越しくださいと言える状況だが、彼はマスコミから転出してしまったので、今では~、それ~も~かなわーないーことー。どこでも、いつでも、だれでもがかかることのできるがん専門診療所ということで、Ubiquitous Oncologyという言葉を思いついた。ubiquitous(ユビキタス)とは、日頃は意識しなくても、どこにでも存在して、それのおかげで助かっている人がたくさんいる、というような意味である。なので、意を決して荷物をまとめてホテルを予約して上京して8時間待たされて5分診療というような聖路加的がん診療ではなくって、エプロンしてスリッパはいて受診できるような、朝、抗がん剤の点滴してから会社にいくとか、昼間、お子たちが学校に行っている間に抗がん剤点滴してちょっと休んで夕方にはお子たちが学校から帰ってくるのをおうちで待つ、というような、便利ながん診療、それが、ubiquitous Oncology(どこでもがん診療)、しかも、診療内容は、腫瘍内科的視点から外科医ではちょっとできないようなハイレベルな薬物療法をやるよ、というものだ。あっという間の4年半で、どうにかこうにかニーズにこたえているように思う。ところが、少し前に聞いた話で、「あそこはセレブのいく診療所でしょ。」という評判が立っているというのだ。浜松にセレブなんているのか? とも思うが、浜松オンコロジーセンターの裏には、確かに、セレブの子女の通うバレエスクールがあるので、そこと勘違いしているのだろうか。敷居が高いように受け止められている原因を少し探求してみよう。こちらがめざすところと受け止める側の感じるところの違いを考えてみよう。ところで、最近、見学者が増えてきた。腫瘍内科を志して生き生きと勉強している若い医師が、大学病院の不合理さ、硬直化したシステムに疲れ果て、うんざりして、もっといいところはないだろうか、と見回してみたら、一筋の光明のように浜松で頑張っている先生の姿が見えてきた、と言われたこともあるし、前々から、渡辺先生のような生き方を目指して、自分も着々と準備しているんです、という話もきいた。いいね、いいね、いいね。確かに、大学やがんセンターなどに籍をおく人たちの学会での活躍ぶりは承知しているが、彼らの論点には、現場感覚が欠落していることを強く感じる。また、問題提起はするが、問題解決となると、「それは大変難しいはなしですね~。」といってソリューションを提示しようとしない、というかできない。自分で考え、自分で決定して、自分が行動する、という問題解決様式ができていないのだ。新しいキーワード、Ubiquitous Oncologyをぜひ、広めていきたいと思います。今日はこんなところです。実は今日は、休日診療当番で、朝から、新型インフルエンザの少年少女(見た感じ、セレブではないように感じます)が多数、お見えになっています。

投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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