緒方晴樹先生からの質問にお答えして


(問) 今回のSt.GallenのvotingでのLuminalBに関する質問 ” Use also ER+ PgR- and/or …………HER2-positive?”は、LuminalBの定義にER+/PgR-/HER2-なんかも入れちゃうの?というような意味合いでしょうか? LuminalBの定義をどこまで広げるのか、混乱がすでに生じているということでしょうか?その結果、yesと他が半々の結果になってしまったと解釈してよろしいでしょうか?

(答)
遺伝子発現解析によりLuminal Bと分類される腫瘍のうち約30%はHER2関連遺伝子が発現し、約70%は発現していません。そのためLuminal Bを、HER2陽性と陰性に分けることを提案する論文も結構あります。今回のST.Gallenでは、Luminal遺伝子が発現している乳癌を、Luminal A、Luminal B(HER2 陰性)、Luminal B(HER2 陽性)の3グループに分けることになりました。
Luminal A は、ER かつ・また PgR 陽性(陽性割合の高低は問題にせず)、HER2 陰性、Ki-67 低値(15%)となりました。Ki-67染色・判定については検査施設毎のQC必要ですね。

Luminal B(HER2陰性) はER かつ・また PgR 陽性(陽性割合の高低は問題にせず)、HER2 陰性、Ki-67 高値(>15%)、Ki-67検査が出来ない場合にはグレードなどを代用してLuminal AとLuminal Bを区別することになります。

Luminal B (HER2 陽性) は ER かつ・また PgR 陽性、HER2 陽性、kI67は問わず、です。

このほかに、HER2陽性(non-luminal) としてHER2陽性、ERかつPgR陰性のもの、それとトリネガに分類されます。
Luminal BがHER2に着目して二つのグループに分類されたことはむしろすっきりしたと思います。

投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

“緒方晴樹先生からの質問にお答えして” への 2 件のフィードバック

  1. 渡辺先生
    ありがとうございます。確かに、すっきりしてよいと思います。呼び方も何かすっきりしたものはないものでしょうかね。

  2. Luminal B は、今後、もう少し細分化されるかも知れません、Luminal B1、Luminal B2、Luminal B6、Luminal B12なんてなると、まるでビタミンのようですね。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。