タイムスリップ


癌治療学会に参加すると自分が1980年代にタイムスリップしたような、古典的というか、時代錯誤的というか、いまどき、こんなんありか、という発表に出くわす。プログラム委員会は、なんでこんなのを採択したのか、その意図がまったくわからないような発表がごろごろしている。その最高傑作をみた。人参養栄湯が婦人科癌治療TC(ぱくりかるぼ)の効果を増強した! という、タイトルからしてへんちくりんな発表である。えーと、何がどうへんちくりんかというと、あまりにへんちくりんすぎて説明できないぐらいへんちくりんなのである。つまり、偏見、バイアス、偶然、不勉強をまったく排除していない、日々の診療経験を寄せ集めただけで、おいおい、だれか言ってやれよ、頭痛くなるね・・。会場にいたホズミンに、あれ、ひどいね、と囁いたところ、あんなのばかりですよ癌治は、と平然としていた。しかし、座長も時間切れを口実に切り上げるぐらいだ。たまには、ああいう発表を聞くのも刺激があっていいかな、って思うほどだ。時間が余ったので、教育セッションというのもの覗いてみたが、これもいかがなものか、という感じで、教育する方も、される方もかわいそうなものだ。JCOGとWJOGの分裂の歴史を話してどうなるというのだ? うん? 中川君。歴史を振り返って温故知新とでも言いたいのか? 末升班のことを末松班って言っていたし、伝えるのなら正しく伝えなくっちゃ。ぐるっと会場を歩いて出てきたけど、三分の二の聴取は遠い世界に行っていた。それも無理からぬ話である。そんな強烈なインパクトをうけた週末である。あ~、あたまいた (-_-;)

投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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