検体(過去の資産)+ 最新機器(現在の財力)± 知恵


前号でも触れたように、すでに「主たるエンドポイントとしてのPFSとかOSが報告された大規模臨床試験」に参加した被験者のアーカイブマテリアル(過去の資産)を使用して、最新鋭の分析機器(がん組織の遺伝子変異解析)を財力に物を言わせてガンガンおこない、その結果、あまりぱっとしないデータが報告されて、いささかうんざりしているSABCS2014です。そんな発表では、会場から全然質問がでなくて、司会者が時間調整するために四苦八苦してどうでもいいような質問をするというまるで、日本の学会のような感じです。「過去の資産」と「現在の財力」にきらりと輝く知恵が加わると、似たように発表でもVogel from New Yorkが多少頓珍漢でも質問をするという状況です。去年のサンアントニオでVogel from New Yorkに質問され、キャッキャッと騒いだお嬢さんがいましたが、ドイツのミカエルウンチも、今日そうでした。ふてぶてしい態度は相変わらずで、質問にも真面目に答えません。しかしVogel from New Yorkが質問したら「I did it! I did it!!」と喜んでいました。そんなわけで、oral presentationは、知恵のない発表がめだっていますが、ポスターではちょっと知恵が感じられる発表がありましたね。例えばω3不飽和脂肪酸によって、アロマターゼ阻害剤による関節症状が軽減した、というオハイオ州立大学の発表。20症例 vs. 20症例ぐらいのランダム化・盲検化比較試験で、QOLの客観的評価や炎症サイトカインの測定もきっちりやっています。ω3不飽和脂肪酸は、処方薬では「ロトリガ」ですが、サプリメントとしてもEPAやDHAなど簡単に入手できるものです。この検討は症例数が少ないので、真実・バイアス・偶然のうち、偶然を見ているのかもしれません。検証するための大規模比較試験は、武田がプラセボとの比較試験といった形でやる気を出してくれれば、QOL評価をきちっとできる下妻晃二郎先生にお願いして立派な臨床試験が成立するでしょう。この知恵は二番煎知恵ですけど。Good Morningをオハイオといえばいいよ、とか、What time is it now?を、掘った芋、いじるんでねー、といえばいいよというようなちょっと気の利いた知恵が感じられる発表でした。

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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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