平成最後の年末の往復書簡


渡辺 亨先生

いつものように、年末が終わろうとしていますが、今年は、いつになく街の風景も慌ただしく、そしてざわついているように感じます。浜松は如何でしょうか。平成30年の終りに当たり、以下、“つぶやき” メールです。

この1年も、多地点に参加させていただき、勉強の時間をいただきました。心より感謝申し上げます。ありがとうございました。そして、来年もどうぞよろしくお願いいたします。

多地点カンファレンスには、広報担当として、また各種報道に依存する患者(一般市民)としての立ち位置で、参加させていただいております。

そして、その都度、臨床研究の進展を知る、医療現場の苦闘や問題を知る、それが患者に必要な問題意識は何かを考え、患者としての意識醸成を考える機会になっております。医療情報が学会や企業の広報活動として発信され(PR担当)、メディアに渡り、それがどのように報道されていくか、広報・PRを考える上で多くの示唆を得る貴重な機会をいただいております。この年末も、数人の医療記者と語り合いました。色々な意味で大事な事が分かりにくくなっている時代になって、医療・医薬分野の広報担当、医療記者、縁あってその間を繋ぐPR担当それぞれにおいて、ポジショニング意識が希薄になってきているのではないか・・・と。

企業や団体等社会を構成する責任ある組織が広報する、情報を社会に届ける、事の意味が分からない人たちが多過ぎて戸惑うばかりです。何とかしなければと、対策を検討中です。

そして、「よく、この人は何も考えていない、と言うけれど、その人は何も考えていない、のではなく、自分の頭を使っていない、自分の持てる能力を使いこなしていない、という事ではないか、脳細胞はもっと働かせる、という感覚が必要ではないか」、という話になり、頷き合いました。

患者さんや一般市民にとって、正しい医療情報は不可欠です。渡辺先生のお仕事、ガン情報局、多地点、様々な啓発活動で周りは元気100倍です!! 終り。

 良いお年を。

差出人氏名 拝

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差出人 様

熟考されたコメント、どうもありがとございました。昔から「とことん話し合う」「何故?を考える」「事の本質を追究する」「共通の理解をもつ」というようなことが好きで、また大切な事であると思ってきます。サンアントニオ乳がんシンポジウムに参加してみても、情報量は年々、増加し膨大となっています。2−3年前までは、1会場だけの開催でしたので、朝から晩まで、三日間、参加者全員が一つの会場にいれば情報を共有し、理解し知識として共有することができました。しかし、今年は、学会場が大幅に改築されたこともあり、並行してして3−4の会場での開催でしたので、あちこちの会場を、自分の興味に合わせて、移動することをしなければいけませんでした。それほどに情報量は膨大となり、同時に、とことん話し合う、とか、「共通の理解をもつ」ということができにくくなりました。サンアントニオに行っても、違う会場に参加していれば、「えっ、そんな発表があったの?」という感じで、まるで「同床異夢」です。大谷彰一郎くんの○○○な発表も、「えっそんなことがあったのですか」、という人も多いです。膨大な情報は、学会終了後、音声、スライド画像付きで、全ての発表を復習することができるようになっていますから、大谷彰一郎くんの○○○な発表も全てネットで復習することができます。佐治くんの飛び入りお助け解説も、です。しかし、便利な反面、帰国後の2週間は、毎日、毎日、学会の復習をしなくては全体像を把握できない、という状況です。一方、製薬企業は、学会期間中、あらゆる巧妙な手段を用い、全力を挙げて自社の製品を強引にアッピール、洗脳活動を展開しています。たとえば、イブランス(ファイザー)と「ベージニオ」(イーライリリー)は、サイクリン依存性タンパクキナーゼ4/6阻害剤」で激しく競合します。日本で1年前に発売されたイブランスは、その地位を守ろう、負けてなるモノか、と必死ですし、イーライリリーは、1年の遅れを取り戻そうと、手段を選ばず攻勢をかけています。この争いに乗せられ、巻き込まれてしまっている医師は結構多くて、2剤のくらべっこ、に没頭している感じがします。私が2013年に浜松で開催した乳癌学会では、「情報・知識・理解の共有」をテーマに、3会場だけの開催、とか、討論の重視とか、「同床異夢」現象を避けることを目標としました。しかし、乳癌学会もサンアントニオも、情報量の増加に伴って学会自体が肥大化し、情報は散逸し、製薬企業の思惑に操られ、まるで、夢遊病のゾンビのように医療者としての自己の主体を失い、考えることもなく、話し合う力もなく、本質を追究する時間もない状態に陥っています。なので、多地点カンファレンス、中部乳がん会議、症例検討会、など、NPO法人「がん情報局」の活動は、このような「情報の拡散」を抑制し「がんに関わる医療者として情報を集約し、共通の知識に基づき、理解を共有する」ことを目指しています。その作業のためには、脳細胞をもっともっと使わなくてはいけません。ですから、年末年始のおわらい番組や紅白歌合戦、箱根駅伝などは、貴重な「持ち時間」を消費させてしまう諸悪の根源なのです。しかし、人間とは弱いもので、ついついテレビをつけて、さらにビデオ録画までして、このようなの領域の情報はきちんと処理できるんですね。箱根駅伝、青山学院に原監督の家庭のこと、とか、紅白歌合戦にチコちゃんがでる、とか、みやぞんがユニークだとか・・・。そんなマスコミに踊らされて今年も終わりですね、このようなことは本能的に共有できる情報ですが、これもマスコミの巧妙な策略でしょうか? がん情報局も、より多くの医療者が、自発的に、使っていない脳細胞のキャパシティーを使って「がん医療に関わる情報・知識・理解の共有」できるような活動を展開していかなければなりません。これが、来年の抱負です。今年も大変お世話になりました。来年も、健康で、シャープに過ごせる一年にしたいと思います。年賀状は「我が家の居間から愛犬ロビンがご挨拶致します」。今日は町内会の会所大掃除、9時から妻と一緒に奉仕活動です。10時半からは今年最後の教会礼拝、そして大晦日、除夜の鐘が遠くに聞こえます。佃に住んでいた頃は、晴海埠頭に停泊している船の汽笛が遠くからボーッ、ボーッ、と聞こえてきましたっけ。

良いお年をお迎え下さい。

投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

“平成最後の年末の往復書簡” への 2 件のフィードバック

  1. 渡辺先生、高知の山川です。いつもブログを拝見しています、とても勉強になります。
    ありがとうございます。
    さて、昨日は高知での先生のご講演を楽しみにしていましたが、インフルエンザと伺いました。
    その後大丈夫でしょうか?先生のお身体が最も大切です。体調を整えられて、またご来高ください。
    楽しみに待っております。

    やまかわ乳腺クリニック 山川 卓

  2. 山川先生 コメント、ありがとうございます。インフルエンザになったのは私ではなく週末の外来を依頼した代診の医師なんです。高知に出発する直前に、どうしましょうか? と連絡があり診療を優先しなくてはなりませんので杉本先生に連絡して、皆さんにも伝えてもらいました。また、お目にかかりましょう。

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