がん診療の均霑化(きんてんか)が叫ばれて久しい。均霑化とは「平等に恩恵や利益が行き渡るようにすること」。つまり、がんの診断、治療について、地域による違い、病院による違いがないように取りはからいましょう、という努力目標である。ガイドラインの普及や標準的治療の考え方が普及した今日、へんちくりんな医局レジメンは陰を潜めた。また、かつては琵琶湖周辺で根強く使われていた乳がんのへんちくりんなDMpCとかいうレジメンも信奉者が次第に減少してきた。しかし、地域、病院、施設によって、「保険がきかないから」という理由でへんちくりんなことをやっているところもある。大学病院で診てもらっている再発乳がんの閉経前女性が卵巣摘除術を主治医からすすめられた、ということで、セカンドオピニオンを聞きに来た。卵巣摘除術はホルモン感受性のある閉経前乳がんでは、意味のある治療手段であるとは思うのだが、その女性の場合、理由がすこしばっかりおかしい。フルベストラントやアロマターゼ阻害剤、エキセメスタン+アフィニトールは、閉経後でないと使用できないので卵巣摘出手術をする、というのだ。実際、その県では、閉経前女性で、LHRHアゴニストにアロマターゼ阻害剤を併用することは保険で認められないという。静岡県は、その意義を正しく認めており、保険でも適切に対応されている。先日NEJMに論文がでたフルベストラントにパルボサイクリブを加えるとPFSが延長する、という試験結果も、閉経前の場合は、LHRHアゴニストとフルベストラントを併用するとなっており、得られた結果も、「閉経前症例では、はじめてのPFS延長効果」となっている。また、SOFTトライアル、TEXTトライアルでも、閉経前にアロマターゼ阻害剤を使用することの有用性が検証されている。このように、理屈から考えれば当たり前のこと、そしてエビデンスも明確にしめされてことが、保険では認められないからと患者が不利益を被っているのだ。これはおかしいだろう。
7月の活動と今後
街角がん診療が10年を経過した4月から平方智子先生が加わり薬物療法だけでなく意味のある手術や意味のある検診や、MMTも導入して乳がん診療はだいぶグレードアップしたように思います。その他のがんも前立腺とか大腸がんなども薬物療法を希望する患者がぼちぼちと増えてきた状況です。先週末はGenomic Health Asian Meeting、夕方浜松に戻りちょっと仮眠し深夜0時から浜松市医師会の深夜ER業務、それが7時に開けて7時19分のひかり号に飛び乗りで東京、駒込の医師会館で10時から17時30分まで拘束監禁状態で脂質異常症、糖尿病、高血圧症、認知症、禁煙指導、健康相談、在宅医療、服薬指導、介護保険の講義を詰め込まれてきました。それを聞かないと、いろいろな加算がとれないので街角がん診療を経営的に維持存続させるには、聞いてカリキュラムコードとか、ポイント取得とかしておかないといけないので、半ば仕方なく、いやだけどしょうがなく聴講してきました。しかし、中にはすばらしい、考えさせられる講演もありました。太田秀樹先生の在宅医療の力強い話は街角がん診療に応用できる良い話でしたし、新田國夫先生の健康相談の話の健康の定義は、考えさせられるものがありました。朝一番の江草玄士先生の脂質異常症の話は、なるほど、ガイドラインをわかりやすく解説するにはこうすればいいんだ、という腹に響く重厚な講演でしたし、江端幸彦先生の介護保険の話は要点を浮き彫りにして聴衆に伝えるコツを学びました。しかしながら、7時間30分にわたり拘束するのならプレゼンテーションの基本(例:読むなら書け、書かないなら言うな)を勉強してほしいと感じる講演や、お持ち帰りメッセージが全くないような時間の無駄と思える講演(演者はNCC元レジデント)もあり、プレゼンテーションを生業とする立場から見ますと「こういう講演はやってはいけないね」を学ぶことができたとも言えます。始めと終わりに挨拶した、中川俊男日本医師会副会長は、「あいつは札幌医大の革マルの闘士で昔から気にくわない奴だったけど、厚労省の会議に医師会代表で出てきて、偉そうなこといいやがる」と、私の尊敬する、中川氏と同じ年代の先輩が言っていたけど、なかなかどうして、話は明快で、原稿を読まないでとうとうと語る姿は「結構やるじゃん」と感じましたよ、茂さん。日本医師会館にははじめて行きましたけど、500人ぐらい収容できる立派な講堂でなかなか快適な空間でしたので、たくさんの参加者が大いびきで気持ちよさそうに爆睡していました。さて、今後は、この土日の「怒濤の3Duties」が終わり、今週は、千葉大認定看護師の講義、来週は北見赤十字大学の講義、青森勤務が再来週にあって、それが終わると、8月を迎え高木ヨットスクールの伊豆合宿です。今年は新しく買った「Sit-on Fishing Kayak」も参加します。天気はどうかな? 楽しい夏休みになるといいなー! 今年は留守は平方先生に任せて、ゆっくりと休みを過ごしたい、あと、宜しくね!!
欠点だらけの国際フォーラム
毎週新幹線で横をとおり過ぎるとき、朝に夜に、美しく感じる国際フォーラムですが学会場として使用してみると利点に乏しく欠点満載であります。意匠デザイン先行で機能が配慮されていない設計で、無駄も多くとても使いにくい会場であります。この際、一度、取り壊して、まともな設計者によるまともな「東京コンベンションセンター」を創ってほしい。浜松のコングレスセンターの方がずっとましではないでしょうか?
そこまで言うか!馬鹿座長
乳癌学会も三日目、最終日である。どのセッションもフロアからの質問は乏しい。ASCOやESMOではどのセッションも演者の最後のスライドが出ると数人の質問者がマイクの前に立つ。時間が押している中で座長は手際よく質問者を指名するが質問を途中で妨げる座長など、見たことがない。今回の乳癌学会で見かけた座長の活躍を紹介しよう。病理のセッションで外科医からの発表が終わった後、座長が「フロアからの質問を受ける前に座長から質問があります。」ときた。おーっと思って聞いていると「病理検査が含まれた発表ですが、共同演者に病理の先生の名前はありませんね。謝辞もありませんでしたが、何故でしょうか?」、演者はただ「すみませんでした。」・・・。発表のルール違反をばしっと指摘した適切な座長業務である。 もう一つ、あるセッション、この手のセッションでは看護師の聴衆が多いのでなおさらフロアからの質問は少ないというか、通常ない!!のである。私は若い頃、恩師の阿部薫先生、下里幸雄先生に「学会に行ったら必ず質問しなさい。質問しようと臨めば話を真剣に集中して聞くだろうし頭もつかうから」と説得力のある指導を受けたのでそれが習慣となって国内でも海外でも質問することが多い。このセッションの座長は、時間を守る事だけしか頭になく、10時に終わるセッションで3分前に質問しようとしたら、手短に手短に、とうるさい。別に新幹線の発車時刻じゃあるまいし、1-2分の延長は問題ないだろうし、ましてや3分前だからいいじゃないか!! 二つ目の質問をどうしてもしたかったので、自分はとても重要な質問だと思ったので、また、きっと他の聴衆も知りたいことだと思ったので、またもう一人の理想的座長は頷きながらこちらをじっと見つめてくれているので、まだ2分の時間があったのをSEIKO ASTRONで確認し「もう一つ質問ですが、」といったところ、その馬鹿座長は「やめて下さい、時間ですから、渡辺先生、やめて下さい!!」と大声で叫ぶではないか。質問はyes,noで答えられるものだし、実際、演者は10秒で答えてくれた。もう一人の質問者がいる、というのが馬鹿座長の言い分だが、それとてその質問は手際よく、回答も要領よくおわり、10時前には余裕でセッションは終了したのである。その馬鹿座長は、以前から感性が狂っていると思っていた。そこまでやるか?? と、頭にきたので一気に独り言をしたためた。不適切な表現は承知の上である。
焦点はどこに?
2013年の乳癌学会では、情報・知識・理解を共有というテーマに焦点を当て、主たる3会場に絞り原則プレナリーセッション形式とし、よい一般演題を厳選し最大会場で2000人の聴衆が聴く形とし、ポスターディスカッションは、ディスカッサントの腕前、知恵が発揮されるような構成にしました。海外演者は4人に厳選しmeet the Professor形として、将来性のある研究者が海外留学の足がかりとなるようにface to face の時間を持ってもらえるようにしました。名誉会員の先生方には日中の観光ツアー、夜のディナーパーティーを企画し十分にお楽しみ頂き、現役世代との親睦を深めることができました。いずれの切り口でも、情報・知識・理解の共有が達成されたのでした。さて、今年2015年は・・・と、みると、厳選講演はあるもののパラレルセッションで、はたしてどれだけの聴衆が集まるのやら? さて、無数の海外演者を呼んでいるけど、はたして、どれだけの交流、情報交換が、できるのやら? なにを目指しているのかと、テーマは、ひとりはみんなのために、みんなはひとりとのために、チーム医療を考える? みたいは、どうもフォーカスの絞り切れていないような、ふわふわとした、総花的な、八方美人は八方ブス、のような、予想はしていたものの、あまりにも焦点深度の浅い構成ですが、はたして、どのような味付けになるのか、まあ、良ーく勉強してみましょう。
プレナリーセッションの重み
今年はメラノーマに対するニボルマブとイピリムマブのランダム化比較試験、小児がん治療のサバイバーの長期フォローアップ研究、頭頸部扁平上皮がんにたいする頚部リンパ節郭清を最初からやる場合とリンパ節転移が出てからやる場合とのランダム化比較試験、脳転移に対して低位脳照射(ガンマナイフなど)に全脳照射を加えるか、加えないか、のランダム化比較試験の4演題、内容も充実していて疾患領域、地域性のバランスも良い選択でした。ランダム化比較試験が臨床研究でもっとも重視されるのは、バイアス、偶然を排除し、真実をあぶり出せるからです。4演題のうち小児がんサバイバーの追跡研究は、この時点ではランダム化比較という手法では検証できない臨床的命題を対象としていますが、他の3題は、臨床的平衡がなりたつ臨床的命題を対象としており、同意取得など、かなりの困難さを伴うものですが、見事にやり遂げたという感じです。現実の厳しさを知らないで育ったぼんぼんのように、ランダム化比較試験の意義や困難さも知らず、与えられた宿題をこなしただけで、いいこいいこ、と褒められて有頂天になっているようでは話になりません。もっとも宿題すらきちんとできないようでは困りますけどね。最初の演題は、今、もっともホットなホットモットな「Immune Checkpoint Blockade」がテーマであり、10社以上が関連薬剤の開発にしのぎを削っており、日本からも多数の製薬企業の開発担当者が最前列近くに陣取っておりました。彼らは、商売に結びつく自らの仕事、会社の死活、自らの将来、家族の生活がかかっているから必死で、会場がオープンするや、バーゲン百貨店玄関の破廉恥おばさんさながら我先に、と席を陣取っていました。また、最初の演題が終わると、大潮が引くようにどーっと会場を出て行き、約1/3の席が空きました。彼らにとっては、それ以降の演題は全く興味がないのですからそれも仕方ありません。オンコロジーを広く、深く学ぼうという姿勢は彼らには必要ないのであり、それで当然です。しかし、4演題の最後にDr.Leonard SaltzがPerspectives on Valueというタイトルで、要するに「薬が高すぎる!! どうにかしなくては」というレビューがありました。この問題は、アバスチン問題で、大間のマグロとマクドナルドハンバーガー、あるいはメルセデスベンツSクラスとスズキスイフトの比較を例にとり「値頃感(ねごろかん)」をテーマに、私もさんざん主張してきていますが、ASCOでも同じ切り口での問題提起がなされました。しかし、企業の開発担当者の中には「薬価は私たちには関係のない話、管轄外ですよ」と言い切るぼんくらちゃんもいるぐらいで、なかなか現実の厳しい問題に目がむいていないようでした。今回は、乳がんも肺がんもプレナリーセッションには取り上げれていませんので、カピパラ・ホズミン・ジュニアは部屋で自習していたそうです。それもいいかもしれませんが、学会の目玉であるプレナリーセッション、25年間、ASCOで学んできて、いつも強い感動を覚えます。
ASCO乳がんで感じたこと
乳がんの口頭発表のセッション二つ(ER陽性HER2陽性 と TNBC/LOCAL THERAPY)が同じ日の午前と午後の割り当てられたのは25年でもはじめてでしたが、他の日には泌尿器科系とか消化器系とかのセッションを新鮮な感覚で聴講できたのでそれはそれで良かったかな、と。内容は、しかし、全体的には輝きは乏しかったと思う。NSABPB35(NRG Oncology)のDCIS手術後の再発防止効果でTAM対アナストロゾールの話も副作用まできっちりと見ていて緻密だけど、昔のNSABPのダイナミックなインパクトが感じられなかった。CALGB40503(Alliance)のLetrozole vs. Letrozole+Avastinの話は、例によってAvastinを加えてもPFSは有意に伸びるけどOSは変わらないというもので、AVADO試験などのホルモン療法版で、一般臨床で積極的に使おうとは思わないけど。。。PALPMA3もパルボシクリブを加えると激しくPFSは伸びるし、副作用もそれほど激しくないという結果。でもさーOSはどうなりそうなの? BORELO2のようにアフィニトールを加えたらPFSは延長したけどOSは全然伸びず、口内炎が強くてそれが研究対象となるほどのインパクトだけはある、といようなこともあったし。。 術後患者6000人ほどを対象として、飲み薬「クロドロネート」、「イバンドロネート」これらは飲み薬、それとゾレドロン酸、これは点滴、の三種類をランダムに割り付けて、PFSや副作用はどうでしたか、という検討。結果は効果(PFS、OS)は差がない、差がないというか、そもそもABSG12 も長期のフォローアップのデータをみるとゾレドロン酸の効果はだんだん薄れて有意差はなくなっているので、差がでないのだろう。顎骨壊死は、ゾレドロン酸がやや高い、ということ。骨密度などは調べていないようで、話に出ませんでいしたから話になりません。患者様々のプレファランスを治療開始前と終了後の2回伺ったところ、飲み薬がいーい!ということで、やはり飲み薬がいいでしょう、という結論でしたしかし、昔で言うコンプライアンス、今でいうアドヒアランスはどうなのよ、ということで、それなら、次の演題のマイケルグナントの半年に一度のデノスマブの方が、確実に骨粗鬆症は抑制できるので、いいのではないでしょうか?という印象です。それで、次のABCSG18試験は、例のABCSG12で検討したように、Bone-Modifying agentをゾレドロン酸からデノスマブに変えて、閉経前を閉経後に変えて、ホルモン療法の比較は(アナストロゾールで死亡率が高かったというややこしい結果がでたのでかどうかわかりませんが)やらないで、エンドポイントは、骨粗鬆症およびそれによる圧迫骨折をプライマリーにおき、セカンダリーエンドポイントに、PFSとOSをいれています。結果は、デノスマブ60mgを半年に1回注射すると、骨粗鬆症も骨折も大幅に減った、ということで、ポジティブリザルトだ!と、マイケル・はったり・グナントは胸をはって頭を光らせていました。しかーし、そもそも、もそもそ、デノスマブ60mg半年に1回注射は「プレリア」という商品名で日本でも承認されている「検証された骨粗鬆症予防・治療薬」ですから、それでその通りの結果が出た、のは当たりまえです。問題は、ついでに見て、二匹目の「駒形どぜう」をねらって、60mg半年に一回投与で、運良く差がでれば、また、あの調子ではったり・おおいばりをされてもかなわんと、質問したのでした。要は、どうしてその投与量を選んだのか、その根拠はなんなの、投与量検討のために、2容量ぐらい設定したらどうなの、と思ってきいたわけですが、納得のいく答えはありませんでした。そんなこんなでスペースがなくなったので相良やっちゃんの活躍は、みんなが褒めまくっているので、それに水をさすようなことはいいませんが、やはり、科学的には、おおざっぱデータであるSEERプログラムを使って、レトロスペクティブに検討したものでは、明日から日常臨床を変えるものではないとモニカモロウも言っていました。あれだけのデータを良い指導者についてきちんとまとめたことは、パブリックヘルスの勉強としてはこれ以上のものはないでしょう。問題はその経験を用いて、これから、日本でどれほどの臨床試験、臨床研究、そして科学的臨床医学の実践ができるか、ということですね。また、ついでに言わせてもらお、やはり発音がわるい。THの発音が全部Zになっています Sの発音がほとんどSHになっています、すわるのsitを、シット(SHIT)というとそれは、畜生!!とかうんちとかおしっこのことですから、ちゃんとSとSHは注意して発音する癖をつけなくてはいけません。SEERもSHEERに聞こえました。RとLの区別はまったくついていません・・・。しかし、これらは、練習すれば確実に修正できるのでがんばらなければいけませんよ。1日1TEDを帰国後も続けるなど、継続は力です。なんとなく、みんなで、最高、すばらしいと、言うのも乳がん学会らしくていいけど、EBMと同じで、Critical Apraisal (徹底的吟味)が必要なんですよ、本当に友達のためを思うのならね!!!! ということで後、プレナリーセッションの話を近いうちに載せます。
景気回復ASCOにも
世界的な景気回復で、ASCOも冬眠から目覚めたように活気があります。参加者がとにかく多い。会場中心部の人々の往来は凄まじい。ASCOも「お金を湯水のように使っている感じ。たとえば、昨年までは、virtual meeting を買っておくと学会終了後1週間ぐらいで、oral presentation がインターネットで見ることができましたが、ことしは、発表が終わって数分で、今、見た、発表が会場で、iPadとかで見ることができるぐらい、その作業に関わる人数も膨大だろうし、相当、資金が投入されています。資金源はというと、えへん、私も毎年100ドルづつ、続けて10年ドネーションをしていますよ、もちろん、製薬企業からは膨大な資金が流れ込んでいるでしょう。それは接待費とか無駄な広告費を最近は倹約しているのだから、このような学術活動を支援するのは、また、支援できるのは当然出ありましょう。
さて、びっくりする程の結果は今のところ、何もありませんが、ポスターディスカッションでの話題をいくつか。
燃費の悪い研究:#513 2000-2003年の間に手術した閉経後乳がん、ER陽性、腋窩リンパ節転移1個〜2個〜3個でホルモン療法実施した1500症例、PAM50でRisk of Recurrenceを調べたところ、リンパ節転移1個〜2個のうちでは、低リスク、中間リスクと判定された症例では、結果的に再発していない症例が結構いるので、結果的に見ても抗がん剤はやっぱり必要なかった、という演題です。これは、予後因子と予測因子がごっちゃになっているし、ベースラインリスクと、リスクリダクションについても考えが及んでいない。後ろ向き研究なので、あとでケモなどの「インターベンション」を加えることは当然できなし、たまたま、データが利用できて、病理検体も使用できた症例の予後を見ているだけなので、PAM50は予後評価には役立つが、では、ケモをやったらもっとよかった、っていうことはないわけ、などの疑問には答えはでません。しかし、ばらつきのすくない、どこの施設でも利用できる多因子分子マーカーの導入は日本でも急務であります。
日本の外科医に意見を聞きたい研究:#1012 抄録を読んでちょっと、へーと思ったので、浜松の外科に先生にどう思う?と聞いてみました。
TW→KK「この演題、おもしろいと思います。外科的な観点から、どうでしょうか?」
KK→TW「渡辺先生、シカゴは暑いようですね。抄録ありがとうございます。米国の standard partial mastectomy(SPM)は腫瘍だけをくりぬくようなものなので、切除後にcavityの周囲を一周そぎ取る(CSM)を行うと断端陽性も再手術も減るということでしょうか。日本のように腫瘍から2cmもマージンを取って手術をする必要もないけど、ある程度のマージンも必要というように読み取ります。腫瘍径の中央値が1cmなので、かなり小さい腫瘍を対象にしているのかとも思いますが、CSMしても 断端陽性率、再手術率も当院と比較すると高すぎ。と思います。小さい腫瘍は切除量が少なくなるので、少しのずれが、断端陽性 につながるからでしょうか。腫瘍切除範囲の設定をどのようにしているのか興味があるところです。局所再発にどのくらい影響を与えるのかというところも考え、どこまで切除マージンを減らせるかというのは、外科手術の課題として必要なのだと思います。ありがとうございました。KK」
TW→KK「素早いお返事、ありがとうございます。シカゴは昨日から急に気温がさがり激しい雨がスコールのように降っています。♪つーめーたいー雨にうたれてー まちをさまよおったのよ〜♪ さて、まず、マージンについてですが、先生はSt.Gallenでさんざん検討された「Touch on ink」の話は知っていますね? 2cmのマージンという話は全くありません。touch on inkを基本として考えるとshavingの意義があるのでしょう。しかし、最初からGKBのように2cmもマージンをとっていては、このような取り組みの意義は見出せません。また、この論文では、患者の満足度も、治療群をマスクして上で調べている点が評価できると思います。この演題は、ポスターディスカッションで今日、取り上げられましたが、そのレビューの際に、NEJMに載っているとの話がでましたので、その論文を添付します。大事なことは、(1)このマージンの問題について、地域の外科医の間で共通の認識をもつこと、(2)日本ではそんなの関係ない、最初からマージンはしっかりとっているからね、といった「大和出羽之守」はしないこと、(3)患者満足度を評価しなければ医師の自己満足に終わること、(4)自分たちが取り組んでいる医療行為について、このような形で客観的に(=科学的に)(=臨床試験を通じて)評価する、などです。論文、添付しますので、よく読んで、○○先生、□□先生らと、共通の認識に至るように十分に討議してみて下さい。NEJM20150530
びっくりすることはないと言いましたが、上記のPAM50を用いた研究もそうですし、遺伝性がんの話では、次世代シークエンサーを用いて複数の遺伝子をいっぺんに調べる方法(遺伝子パネル)が主流になっているとのことで、これも、日本では、全く信じられない姿です。ミリアッドの特許がどうのこうの、その代理店が同じように日本では特許を盾に独占検査していてどうのこうの、などと言う話は、すっ飛ばして、ミリアッドの頭脳、知恵を使えるところは使えるけど、独占ゆえの優位は許しませんぞ、ということですね。独占の原因は行政の不作為にあります。行政が科学の進歩、医療の普及、国民の幸せを妨げている国は、日本と北朝鮮だけでしょうか!! キューバはずっと進んでいると言うし。
今年もASCO
水曜日の新幹線で東京へ 東京駅の近く宿泊し 木曜日7時30分の成田エキスプレスで成田第一ターミナルへ。訳あってJALには乗れないので毎年のANAです。今年は今までと違って東京駅も成田空港も人・人・人。。。Wi-Fiルーターレンタルカウンターも長い列。出国手続きは、去年までは閑古鳥が飛んでいて待つことなく通過でしたけど、今年はここも長い列です。景気がいいってことで、いいことだと思う。今年はこちらも景気良くぱーっと、ぱーっと・・、といってもここから先は去年と同じかな。
選挙談合
医療レベルのブラッシュアップは関心の外、オリジナリティーの高い良い講演で聴衆を魅了するよりもお土産、懇親、根回しを主目的とした講演活動が目につき鼻につきます。また、学会選挙の季節がやってきて、談合鳥、根回し鳥、票集め鳥があちこちで巣作りをはじめて始めています。能力も胆力も人間的魅力もない、さんぴんから面と向かって「私も立候補しますので宜しく」と言われたら、「もちろん先生に入れますよ」と答えるのですが、それもわびしさを添える風物詩。すべて組織票で動く世界、ここは、有権者が、個人の判断でこれぞという候補に一票を投じればいいと思うのですが、そうはいっていません。。司令塔からの指示で投票行動が決まるという情けないソサイエティー、悪しき習慣が続いているのです。そもそも、そのソサイエティーが形作られたのは、司令塔が一派の投票用紙を集めて当落線を予想、33票と予想したら34-35票となるよう、手分けして同門一派候補者の名前を記載する、という明らかにモラル、マナー的に間違った方法による代議員選挙です。代議員選挙の改革も進まず、いにしえの風習を踏襲した学会選挙、これではよい代表者が選出されるはずはなく世界に勝負して患者のための医療レベルを上げることなど、遠い遠い山の夢物語であります。これは、ルール違反ではありませんが、明らかにモラル、マナー違反でありましょう。ですから、マスコミもあまり関心を示しません。選挙談合こそが実は学会活動モチベーションの原動力であり、同時に改革のターゲットであるということを知らないのです。
