おかしな話だ
いい勉強会の工夫
先週の土曜日は第5回浜松オンコロジーフォーラムを開催した。第1回からスポンサーとして支援してくれているのがサノフィアベンティス社、あれやこれや売らんかなという姿勢はなくオンコロジーを定着させたいという趣旨に前向きに協力してくれるので助かっております、まず感謝。しかし、今後は徐々にNPO法人がん情報局も力をつけていき、このような勉強会をきちんとマネージできるようようにしていきたいと思います。その方がより公平で中立でとらわれない勉強会ができると思うからです。
今回の参加者は120名近く、 箕面の飯島先生、栃木の藤井先生、静岡の高木先生と、加えて私が演者として発表、座長は浜松医大外科の中村先生と、浜松医大内科の生熊先生にお願いした。座長もきびきびとうまくまとめてくれたし、演者の話も実によかった。飯島先生は癌患者、癌治療と栄養管理の話で、目から鱗が何枚も落ちるような話であった。もう一度聞きたいという参加者の声が多かったので、またお願いします。藤井先生は頭頚部癌の化学療法という普通なかなか聞けない話であったが、ちょっと聴取の期待と話の内容に乖離があった。藤井先生も場数を踏めばよいプレゼンターとなるでしょう、また来てください。高木先生の話は力強い。同時に聴衆のレベルや理解度にも配慮した準備で、緻密さ、繊細さを感じた。さすが北大の同級生だ。聞くたびにグレードアップするので次回もお願いします。皆さんがとてもよい話をしてくれたのでフロアからの質問も結構あって3時から6時半まで勉強になったと思いますし、その後の懇親会も盛り上がったと感じています。このような勉強会は「事なかれ主義」でやるとマンネリ化する。やらなくてはいけないからやっていますという「アリバイ主義」でやるとだいたいがつまらない。楽しく充実していて勉強になった、いろいろな人々と語ることができてよかった、というようなよい感想を持ってもらえるようにして、継続するには様々な工夫が必要なのだ。
同じ日に北関東でブレストキャンサーエキスパートミーティングin北関東というのがあったらしく参加した全国連絡網メンバーからの情報では、この会のスポンサーはなにかとまぬけなTKD薬品だそうでエキスパートミーティングとは名ばかりのひどい会で演題も討論も内容も非常に微妙でしかもぐだぐだと進行し3時間の予定の会がなんと1時間半も押して終了、白熱した討論で時間が押すならいいけれど本当に「ぐだぐだ」という形容以外に適切な表現が見つからない二度と出席したくないような会だったとのこと、それはわからんでもないなあ・・・とにかくこの手の勉強会は何のためにやっているのか、つまり「原因と結果の法則」における原因としての「思い」がはっきりしていないことが多くて、当事者意識を持った人が誰もいないということもままあって、何となく義理とつきあいで開催して続けているというようなものが大半のように見える。そうならないように気を引き締めて、意味があるから継続するという会を継続させていきたい。
ところで、いつも腹立たしいのは情報交換会と名前を変えた懇親会の扱いだ。勉強会をホテルで開催するならそのホテル内で開催するのはよいが、ホテル以外で開催した場合は懇親会は開催してはいけない、とか、立食パーティーはよいが座して談笑してはいけない、とか、頭のわるい製薬協だかの、間抜けなコーキョーキという規約があって、そこにそのように書いてあるのだそうだ。実に知能指数の低い連中が作成した規約なのだが製薬企業がスポンサーになる場合にはこのまぬけ規約に従わなくてはならない。なんかホテル業界と癒着しているようにも感じるけどね。どこかにも書いたと思うが今までで一番間抜けだったのは、新潟に講演で呼ばれた時、あれは確かなにかと間抜けなTKDがスポンサーだっと思うがホテルでの講演会の後、別室の情報交換会場には円卓がいくつか用意され、そこには鍋料理などが並んいて箸やおとり皿とかが人数分並んでいるのだがなんと椅子がない!! 牧野先生がTKDになによ、ちょっとこれ、おかしいんじゃない、というと、立食でお願いしますとのことで、一同、ずっこけちまっただよ、まるで漫画だよね。懇親会というのも学問を深める上で重要なアクティビティーである。そりゃあ、昔のT先生らのころは銀座の倶楽部で10万円のワインを何本も空けた、なんていう時代もあったけど、今はそんなことを期待するおねだり坊やはいない。なのでこれを正々堂々とCSPORの年会のように開催するにはやはりコーキョーキなどに縛られないような公明正大な組織でもって運営していくのがよいのだろうと思う。
言わなきゃわからんだろう
いい加減にしないか、血管内治療よ。
PET神話崩壊事例
久しぶりで聞いたナンセンスプレゼンテーションは、あまりのナンセンスぶりに驚愕し、思わず研究会会場から発信したが、そのナンセンスぶりに対する感動は1日たってもまださめやらない。そもそも、この研究会というのも、もはや時代遅れだ。1製薬企業がスポンサーで、年に2回開催される典型的な「地方の研究会」、持ち回りで当番世話人という古風な名称で毎回毎回世話人がかわる。どうでもいいような世話人会というのが会の開始前に執りおこなわれる。20年以上前から行われているこの会では、なんのデータもでない、科学的にも評価に耐えられない臨床試験まがいのおままごとをやったり、静岡県の症例登録をしたり、倫理も科学もありやしない。確かに20年ぐらい前だったら、これでよかったかもしれない。しかし、今や、歴史的使命を完全に終了したような典型的な「痴呆の研究会」である。それで、PETの話だが、画像をみるとPET-CTなど、すげえなあ、と確かに関心する。一時期、新幹線の中にも日立のPETCTのコマーシャルが乗降口の壁に載っていた、じっくりと見た人も多いだろう。えっ、ここまで見えちゃうの?これなら診断の専門家なんていらないじゃん、と思ってしまうほど、猫も犬もPET、ペットの雰囲気があった(だじゃれです)。夢の検査PETCTで見つかった癌病巣を夢の治療法トモセラピーで照射すれば癌は治る、とうたっている病院が未だに帯広のほうにあるらしいが、それも時間の問題だ。
ウィキペディアで春山茂雄を調べると出てくるが、『「「脳内革命」で得た利益を元に1996年4月、総事業費50億円を投じて東京都新宿区に健康テーマパークと銘打った「ザ・マホロバクラブ」を開業。和風高級人間ドックとして営業したが、数年で閉鎖に追い込まれている。1998年には東京国税局から約6億5000万円の所得隠しを摘発された。2006年12月26日に春山個人と関連する6法人が破産、田園都市厚生病院も閉院となった。』という原因の一つに、PET導入にかかった数十億の負債が原因との記事もあった。
また、東京の西台クリニックもPETで名を売ったが、過剰投資がたたって倒産した。PETあるいは最近ではPETCTが主流だが、これらの画像検査は確かにびっくりするような画像が出るので、説得力はあるように思える。しかし、待てよ、びっくりするような画像が見えるのは確かだが、見えることにどのような意義があるのか、という点が問題なのだ。絵画鑑賞をしているわけではないんでね、それは、MRIでもいえることで、PETCTで診断することで、どのようなよいことがあるのかがポイントなのだ。よいこととは、検査でわかったことで治療が変わった、あるいは早く手をうつことができて長生きすることができた、病気をなおすことができた、他の検査をしないですむ、特に他の検査が痛い検査だったりする場合は特にである、病気がないことがわかって安心につながる、など、で、こういった、よいことがあれば検査としての意味があるが、ただ、すげえ画像が見えちゃう、だけでは、MR.マリックと同じ。いろいろ検討していくと、何もPETCTでなくてもよい、PETCTでなくても他の検査でも同じ、とか、PETCTでは意外と見えないこと、わからないこともあるので、そんなにいい検査ではないね、とか、かえっていらぬ心配が増えた、というようなこともあって、PETCT神話は現在、音を立てて崩れているように思う。保険点数が低く設定されたから、PETCTでは採算があわないんだ、点数設定がおかしい、という意見も聞くが、意味のない検査に、そんなに高い点数はつけてはだめだし、その点、厚生労働省保険局は先見の明もちょっとはあるね。熱病のごとくPET、PETと言っていた時代に導入を決めた病院では、数億から数十億の負債がずんと重くのしかかっており、それに加えてこの「みぞうゆ」の不況だ。当院でも確実に患者数、セカンドオピニオン数も減っているので、さすがに今回の不況は、「世の中の景気にはあまり左右されない」と言われる医療機関や製薬企業も例外なく影響を受けているはずだ。虫害製薬だって例外製薬ではなく中外製薬だ。我が県立総合病院では、な、なんとPETCTを3台も導入、しかも検査につかう放射性同位元素を含んだFDG(フルオロデオキシグルコース)を作るサイクロトロンも自前で持っているというから、その投資額は30億円を超えたという話も聞いた。浜松えすれい病院でもそうだが、PETCTを依頼すると翌日でも予約できる。どこも同じような状況で、閑古鳥が「くえっ、くえっ、ひまだ、ひまだ」と朝から晩まで鳴いている。PETCTを導入している病院では、集客のためにパンフレットを配ったり、各診療科に検査件数のノルマを課したりと躍起になってもとをとろうとしているわけだ。でも数十億を診療報酬でもとをとるのははっきりいって不可能である。「もとはとれないが有意義な検査であるので設備投資として必要」と言うぐらいの取り組みでないとこんな大がかりな検査は導入できないのだ。そんな背景を知らないtnizm先生が、あっけらかんと「約150例の乳癌患者の術前にPETをやりましたが、いいことはなかったです。でも、病院の経営改善のためには、今後どんどんPETCTをやらなくてはいけないじゃあないかな、と思います」とやったものだから、会場騒然、で、私も思わず質問に立ったわけである。
それにしても静岡がんセンターの夢の庭園にしても、静岡空港にしても、PETCT一挙3台購入にしても、草薙球場ドーム化構想にしても、静岡県知事石川 嘉延の治世にろくなことはないようだ。爪に火をともして生活している我々県民の血税をこれ以上、無駄に使ってもらっては困る!!! no more 石川 嘉延 だよね。
