朝のやりとり


早朝のランニングは日課として定着しています。毎朝、5km以上はGPSを頼りに町内を走っています。爽快感があります。先日ランニングしてから、いちいの木のあたりの雑草の草むしりをしておりましたところ、通りがかりのおじいさんが言いました。「最近は、あちこち舗装されて、雑草もこういうところにあつまってしまうねえ。」と。「そですねえ」と言いながら手を休めずに、ちょっと考えてみました。『そうじゃあなくってえ、雑草の種は、コンクリートの上にも、アスファルトの上にもばらまかれるけど、このような土のあるところだけ発芽して、雑草が茂るわけで、別に集まってくるわけでなないのですよ。それは、ちょうど、癌細胞が転移するのと同じで、転移した先で癌細胞が育つか育たないか、という理論と同じなわけですね。』気がつくと、おじいさんはもういませんでした。

つばめ偵察隊、現る


【浜松発】本日、午後2時ごろ、東海道の電線につばめがとまり、ぴよぴよ、ピヨピヨ鳴きながら、遠巻きに昨年の巣を偵察していました。つばめは、巣作りをするにしろ、昨年の巣をリフォームするにせよ、周囲に蛇やねずみなどの敵がいないか、適度に人間が出いりしているか、などを見極めてから作業を開始するそうです。ちなみに偵察に来たのは、昨年孵った雛のようです。

採点 電子カルテ


電子カルテが本格稼働して1ヶ月が経過しました。総合点は65点、どうにか合格、というところでしょうか。カルテの所見欄、SOAP:S(患者の主観的訴え)、O(医療者からみた客観的所見)、A(病状、経過の評価、診断、判断)、P(投薬、検査、経過観察、他院受診などの医療計画)、については、様々ツールもあり、画像もあつかうことができ、とても便利で、申し分ありません。過去所見欄も、時系列で表示され見やすく、前回の検査実施日なども容易に検索できます。本日所見と過去所見、これらのウインドウが画面の左側に上下に並びます。右側には、薬剤処方、検体検査、画像検査、超音波検査など、実施した医療行為と、それにより発生する診療点数が表示されます。導入した電子カルテは、これらの医療行為をすべて「処方」という呼び方をします。我々は「処方」というと、薬剤処方のことを意味すると思っているので、検査や画像診断まで、処方と呼ぶことに、違和感を感じましたが慣れました。
 
入力は、キーボード、完全にブラインドタッチでできますので、患者さんの顔を見ながら入力することは、いとも容易です。よく、患者さんから「先生は、コンピューターの方をずっと見ていて、私の顔を見てくれない」という不満を聞くことがありますが、私の場合、それは全くありませんね。
 
当院の電子カルテの決定的な弱点は、 
「計画的外来診療を支える未来予約機能がない」
という点。これが、決定的な不満です。未来予約とは、来週受診時に、診察前にレントゲン写真をとる、とか、抗がん剤治療を、前の週にオーダーしておいて、薬剤室でも、準備しておく、というようなことです。また、再来予約機能が全くのお粗末です。これは、診療所の診療形態が、計画的に行われるのではなくって、「具合がわるいから受診する」というような、かぜ、はらいたなどの急性疾患対応、「薬がなくなったら来て下さい」という形態の慢性疾患対応、が普通の姿であり、予約という概念が乏しかったためでしょう。このような、「未来予約機能」がない点は、外来抗がん剤治療を行う浜松オンコロジーセンターでは、致命的な不備、と感じます。しかし、診療所バージョンでは、未来予約ができるシステムは、私の知る限りは、ありません。一方で、最近、厳しく禁止されている、薬のみ、という、無診療投薬が、やりやすいようにできているのは問題でしょうね。社会保険事務所などでは、「患者を診ずして投薬するなかれ」ということを徹底しようとしていますが、街の診療所では、未だに薬だけとりにきて、再診料、慢性疾患指導料をとっているところが、後を絶たないと聞いています。いってみれば、電子カルテは、このような、いきあたりばったりの悪しき診療習慣に合わせて、チューンダウンしている、と言えるのではないでしょうか。
 

「浜松市から表彰されました」の巻


【浜松発】 浜松市が主催する「見つけた! はままつ発ユニバーサルデザイン、建物・施設部門」に、浜松オンコロジーセンターが入賞しました。浜松市内にある建物・施設で、みんなが利用しやすいよう工夫してつくれている建物・施設である、というのが受賞の理由で、免震構造、太陽光発電で、地震後にも医療機関として機能できる仕組みになっていること、東海道の歩道から段差なしで中まで入れるバリアフリーエントランス、医学書院と同じ蹴上げ、踏み面で昇り降りしやすい階段、ゆったりした2階談話コーナー、明るい室内、歩きやすい廊下、などが評価されたようです。表彰状を授与して下さったユニバーサルデザイン室長からは、「こんなちっぽけな建物で、これ程までに公共の使い勝手を考えている建物は珍しい」と、ほめているのだか、馬鹿にしているのだかわからないような微妙なコメントと、10000円分の商品券を頂きました。どうもありがとうございました。ちなみに、ユニバーサルデザインの7原則というのがあるそうです。
 
ユニバーサルデザインの7原則
(ノースカロライナ州立大学ロン・メイス教授)
誰にでも公平に使用できること
(自動ドア、高さの調整できる座席)
使う上で自由度が高いこと
(左右どちらでも使えるはさみ)
簡単で直感的にわかる使用方法となっていること
(絵による説明、動く歩道)
必要な情報がすぐ理解できること
(駅のサイン、温度操作盤)
うっかりエラーや危険につながらないデザイン、まちがっても大きな損害につながらないこと
(ガス漏れ防止のコンロ)
無理な姿勢や強い力がいらず、楽に使用できること
(ドアのレバーハンドル、タッチセンサー)
接近しても使えるような寸法、空間となっていること
(車椅子が近づけるローカウンター、広い改札口)

テレビに出るよ、バラエティだけど


【赤坂発】 3月24日(金曜日)夜7時から放送予定の2時間特番「みのもんたの医者ズバッ」のスタジオ収録が、3月14日赤坂のTBSで行われました。何故誤診がおきるか、ドクハラの現実、医師の給料の話、医師の謝礼の話、手術ミスは何故おきるか、夜間救急の怖い話、など、芸能人ゲスト6人と、医師20名が、激論を闘わせる、というスタイルです。司会は、みのもんた氏、久保田アナウンサー(動物奇想天外)。また、スタジオには3名の匿名看護師がすりガラスの箱のなかに座らされて、看護師は見た!みたいな切り口で、どうでもいいことを変な声で話していました。本物の看護師かどうか、よくわかりません。バラエティ番組なので当然低俗ですが、慶應の古川先生や心臓外科医の南淵先生らに久しぶりでお目にかかり、楽屋では話もはずみ楽しい収録でした。私も昔は「今日の健康」とか「生活ホットモーニング」とか「医食同源」とか、お堅い番組出演が多かったのですが、最近はこの手のバラエティばっかです。せめて「試してガッテン」ぐらいの医療情報番組から呼ばれるといいのですがね。お暇なかたは24日、TBS系(浜松はSBS)夜7時、「みのもんたの医者ズバッ」ご覧下さい。

勉強になったCRCセミナー


【白金(しろかね)発】3月11日、12日の2日間、CSPORとJGOGの共同運行による第12回CRCセミナーが、白金の北里大学薬学部で開催、参加者107名、これは、たぶん過去最高でした。スタッフも加えると146名、CSPOR 事務局、JGOG オフィスのみなさん、ご苦労さまでした。
 
今回も充実した講義、活発なグループディスカッション、楽しい懇親会で、教育研修小委員長としては、とても満足しています。
 
大橋靖雄先生のレビューによると、初参加者は60名、講師陣として初登場は6名でした。参加者の職種はCRC58名、医師22名、看護師、薬剤師CRAなどと、多岐にわたっています。
 
次回は、9月23日、24日、と秋の行楽シーズンをぶちこわして開催します。内容はSELECT-BCのデータマネージメント、CSPORから発表された研究の徹底討議、BNP7787のキーオープン(はたして、しびれ防止剤は有効か?)などなどなど・・・、盛りだくさんの内容だよ!

皆さん、次回お目にかかるまで、よくよく勉強しておいて下さい。

乳癌情報局発進!


【浜松発】 2月19日(日曜日)、浜松乳癌情報局 第一回市民公開講座「乳癌、あなたの疑問に何でも答えます」(浜松乳癌情報局、ブリストルマイヤーズ株式会社共催)が開催された。会場となったアクトシティ浜松コングレスセンターには約240人が参加、3時間にわたる基調講演、パネルディスカッションに熱心に注目、傾聴した。癌医療の領域では情報の非対称、ということが問題とされている。つまり、医療従事者側の持つ情報と、患者側の持つ情報に、質、量ともに大きな差があるのが現状だ。この差を埋めるためには、あらゆる手段を駆使した情報提供が必要である、という考えに基づき計画された第一回市民公開講座は、参加者の反応も上々であり、予定される第二回市民講座についての問い合わせが早くも寄せられている。浜松乳癌情報局は、患者、家族、医療者、学生、一般市民など、さまざまな対象に、今後も効率的な情報提供を行っていく予定である。今回実施したアンケートは現在集計中であるが、「乳癌だけでなく、他のがんもとりあげてほしい」、「毎月でも開催して情報提供をしてほしい」などの要望もみうけられた。浜松乳癌情報局長の渡辺亨氏は「乳癌以外の癌についても情報提供するよう努力したい。また、浜松オンコロジーセンター二階に設置した談話室を使った小規模な公開勉強会なども、今後定期的に行っていきたい」との抱負を語った。なお、浜松乳癌情報局第二回公開市民講座は、8月20日(日曜日)、アクトシティ浜松コングレスセンターにおいて聖路加国際病院乳腺科、中村清吾氏を招いて開催される。主催は浜松乳癌情報局、共催企業は募集中である。その後、交渉の結果、今回同様、ブリストルマイヤーズ株式会社が共催することになった。

ちょっとお披露目 「がん常識の嘘」


「がん常識の嘘」 
第6章 抗がん剤は世代交代が起きている より

 

・・・・当時は乳がん、卵巣がん、肺がん、大腸がん、などの、固形がんの治療は、まだ手術で切るしかない時代でした。固形がんに対して抗がん剤の効果がある、と初めて報告されたのは1969年のことでした。全身に広がった乳がんに対してCMFVPを行ったところ70%の患者でがんが消えたというデータがアメリカ癌学会で報告されたのでした。ちなみにCMFVPとはCyclophosphamide(シクロフォスファミド、商品名「エンドキサン」)、Methotrexate(メソトレキセート、商品名「メソトレキサート」)、Fluorouracil(フルオロウラシル、商品名「5エフ・ユー」)、Vincristine(ビンクリスチン、商品名「オンコビン」)、Predonisone(プレドニゾン、商品名「プレドニン」)の5種類の薬剤の組み合わせ。現在のCMFの基本となった併用方法です。これはもう、がん治療の学会では天変地異に等しい衝撃がありました。しかし一度消えたがんも、やがて再発するということが明らかになり、二の矢、三の矢をしかけるように、二次治療、三次治療と、治療を繰り返すことや、もっともっと効果の高い薬剤の開発に、全世界の製薬会社が血道をあげたのでした。そして1970年台に登場したのがアドリアマイシン、1980年台にはシスプラチン、そして90年代にはタキソール、タキソテールが登場し、2000年頃までには、悪性リンパ腫、乳がん、胃がん、肺がん、食道がん、頭頚部がん、大腸がん、卵巣がん、子宮がん、などの、頻度の高い固形がんに対する細胞毒性抗がん剤治療が出そろったわけです。しかし、これらは、毒でもってがんを制することを基本的なメカニズムとして効果を発揮する薬です。副作用も強い、効果はかならずしも長続きしない、ということから、なんとかがん細胞だけを狙い撃ちするような薬ができないだろうか、その発想から考え出されたのが、分子標的薬剤です。一時期、ミサイル療法という呼び方をされたこともありました。がん細胞の特定の部分を標的にミサイルを撃ち込む、現在の分子標的薬剤の発想です。ミサイル療法という呼び方が今ひとつ定着しなかった理由は、ミサイルはいいが、なにを標的に撃つの?、テポドンじゃないんだから目標をはっきりさせてよ、という問いかけに答えることができなかったからです。それに比べるとハーセプチンは最初にHER2タンパクという、細胞増殖に深く関与する標的があきらかになり、あとから、ミサイルであるハーセプチンが作られたという経緯があるため、薬剤として成功したと考えられます。リツキサンもそうです。B細胞リンパ腫の表面にあるCD20という表面マーカーを、まず標的と定め、それに対する抗体として作成されてのが、リツキサンです。

 

この続きは「がん常識の嘘」をお買い求めくださいね。

オンコロジストの独り言が本になりました


いつも、かってなことばかり書いているオンコロジストの独り言の内容が一部含まれる本が出ました。
 
書名: がん常識の嘘
著者:渡辺亨
A5版220ページ
出版社:朝日新聞社
定価:1300円+税
ISBN4-02-330361-5
 
目  次  紹   介
 
第1章 「がん難民」はこうして生まれる
第2章 早期発見・早期手術だけではがん医療は不十分
第3章 手術の成功イコールがんの治癒ではない
第4章 転移・再発後のがん治療は間違いが多い
第5章 副作用は避けられる
第6章 抗がん剤は世代交代が起きている
第7章 がん医療をめぐる数字のトリック
第8章 がん予防法・健康食品に根拠はない
終 章  医師と患者のよりよいつきあい方

電子カルテのかげひなた


浜松オンコロジーセンターに電子カルテを導入して1週間が経ちました。マニュアルを見ながら使いこんでいくうちに、だんだんと慣れてきて使いやすいなと感じる部分、どう考えても不合理な部分、いったい何を考えてこんな仕組みにしているんだとややむかつく部分、経験知が足りなくて稚拙な部分、など、があります。
 
今回導入した電子カルテは、診療所向けの既製品、使い勝手が良かろうが悪かろうが、購入した以上、それに慣れるしかありません。大病院で電子カルテを導入する場合、病院側からのワーキンググループなどと呼ばれるユーザーの代表者グループと、電子カルテ制作業者の開発チームとが、毎週のように話し合いをして、その病院の運用にあわせて、システムをカスタマイズする、というプロセスを進みます。今はずっとずっと合理的に事が進むのでしょうが、私が国立がんセンターでTRUMPとMIRACLEという名称の2つのオーダリングシステム導入に関与した時は、まったく不合理かつ、わがままな要求がユーザー側から次々と出され、開発チームは、そのわがままをなだめる事にエネルギーを費やしていたようなこともありました。たとえば、まだマウスが一般的でなかった頃、ユーザー代表の中のわりと若い年代の○○先生から、「是非マウスを使えるようにしてほしい」との要求が出されました。開発業者側は「技術的には可能です。」と答えます。すると、ユーザー代表の中のわりと年配の医師が答えます。「○○君、マウスって意外と不便なんだよね、知ってる? 机が広くないと、全部動かせないんだよ、広い机は外来には入らないから難しいんだね。」 このような不毛な議論が延々と続き、マウスをつけるけど、使いたくない人は使わなくてもできるシステムにしてほしい、という結論になりました。しかし、開発業者側は、「技術的には可能だけどなあ~、予算的にどうなんだ!、いったい、いつまで、ユーザーのわがままにつきあわなきゃ、いけないんだ。斬り~」という心の底のさけびが聞こえてきそうな表情で、だまってやり過ごしておりました。こんな感じで、多かれ、少なかれ、大病院のオーダーメイドシステムは、その病院のわがままな要求に振り回せれて、ずぼずぼの作り込み になっており、それをそのまま他の病院で使えないので、開発経費に無駄が多い、また、他病院とのデータやりとりなど、とてもできなさそうなシステムがあちこちの病院に導入されたのでした。
 
一方、既製品の電子カルテ商品の場合、いくら不合理であると、10人中9人が感じたとしても、そういうことになっているので、そういう物として使って下さい、ということになります。その最たるものが「A5サイズ処方箋」対応です。私は、前からこの不合理は知っていました。というのは、国立がんセンター中央病院で院外処方を始めたときのこと、薬剤数が多くなり一枚の処方箋では、足りず2枚になって、患者さんが、そのうちの一枚だけを薬局にもって行ったので、薬剤が全部処方されなかったことがありました。その時、処方箋用紙をよくみると、A4の半分しか使ってなくって、残りの半分には、処方された薬剤とは全然関係のない薬剤の注意書きがずらずらとプレプリントされているのです。薬剤部長に、「このずらずらの部分は無駄だから、処方薬を記載する部分を広くしてほしい」と御願いしたところ、「院外処方箋はA5と厚生(労働)省が決めているので、それはできない」と言われました。A4の半分の部分だけを使えば、「A5サイズの処方箋」の基準を満たすので、それはそれなりに賢い対応です。しかし、どうしてA5でなくてはいけないのでしょうか? 世の中、A4が国際サイズとされ、いままでB5などが使用されていたカルテや公式文書もすべてA4に変更されているのに、なんでA5などという、みみっちいサイズの紙を厚生労働省は指定しているのでしょうか。なんでA4でもOKとしないのでしょうか、この時代に。
それで、当院で導入した電子カルテも、「A5サイズの処方箋」にしなくてはいけない、ということで、電子カルテ純正品のレーザープリンターは、すべてA4とA5の2種類の用紙をいれるダブルトレー方式なのです。最近の汎用機は、レーザーでもインクジェットでも、ほとんどがA4のみ対応なので、ダブルトレー対応のプリンターは、デザインもださい、音もうるさい、ずうたいもでかい、のです。A4で印刷した院外処方箋を縮小コピーしてA5にする、とか、A4も受け付ける院外処方薬局が繁盛しているとか、いわれなき「A5サイズの処方箋」のために、世の中、おかしなこと、無駄なことがいっぱいおきているように感じます。そこでひとこと、いっ・・・、おっと、あまり言うと小嶋社長やホリエモンのようになってしまうとこまるので、ここは、おとなしく、おとなしく、おとなしくおとなしくしなくてはいけません。しかし、言いたいことはいわないとストレスたまってやけ食いしそう。そこで、いっぱつ、いっか~ん、いっか~ん、いっか~ん、いっか~ん、いっか~ん、すこしすっきりしました。 では、次回、電子カルテシリーズは、「経験知がたりなくて稚拙な機能」についての独り言を聞いて下さい。