Dr.Vogl from New York


ASCOやサンアントニオ乳癌シンポジウムに参加されたことのある方はご存じだと思いますが、やや巻き舌で「Steven Vogl form New York」と前置きして質問に立つおじさんがいます。一つのセッションで4-5回は質問するでしょうか。私は10年ぐらい前から、その存在が気になっていたのです。質問の内容は、臨床家の視点にたって、当を得たもので彼の質問に対しては会場からしばしば拍手が起きます。よく質問はしますが、発表者として壇上に立ったり、ポスターで発表するといった姿は見たことがなく、いつも聴衆として参加してるようです。今日の午前中のセッションで、私の座った席の4-5列前に彼が座っており、質問の度にマイクスタンドのところまでいったりきたり。そのたびに私の横を通ります。セッションが終わって「I enjoy your questions every year in ASCO」と挨拶したら名刺をくれました。Steven E.Vogl, MD Medical Oncology and Internal Medicineと書いた下には、OFFICE HOURS BY APPOINTMENT(外来予約制)と、住所、電話番号が書いてありました。ASCOの住所録を調べてみたら、

Oncology Speciality:

    

General Oncology

Board Certification:

    

Medical Oncology

 

と専門が書いてありました。おそらく、ニューヨークのブロンクスでMedical Oncology のクリニックをやっている先生のようです。結構年配に見えますし、足も少しお悪いようです。しかし、とても熱心にプレゼンを聞き、デジカメでスライドを撮り、いつもいつも質問をしている姿にはとても関心させられます。ひるがえって日本の学会では、質問はほとんどなく、時間をもてあました司会者が、どうでもいいようなお愛想質問をして、それでも時間が余ってしまい、時間調整のために10分間休憩します、みたいなことがよくあります。また、前に誰も立っていないポスターも多く、こういうのを貼り逃げ(post and run)と言います。
 
毎年、ため息まじりに思うのですが、学会の規模もさることながら、プレゼンテーションの内容、質疑応答の濃厚さ、聴講参加者の熱心さなど、ASCOと日本の学会では、質、量、規模など、どれを取っても1000:1ぐらいの比率のように感じます。ただ、日本の学会では、開催都市の夜の飲屋街のにぎわいはASCOの1000倍ぐらいですから、平均すると同じということになるかというと、そんなはずはありません。学会充実の必要性を痛感しました。

投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。