ASC0 day 2


ASCOは参加者3万人を超える巨大な学会である。関連の産業まで含めれば莫大な経済効果を生むこの学会には当然、様々な思惑で人々が参加しているし、群がってきている。金の亡者、我利我利亡者などの悪霊が会場のあちこちでうろうろしている。にこにこしてたぶらかしにかかってくる。しゃんしゃん大会や洗脳大会も学会期間中に活発に行われているが、私たちは、無配慮、盲目的にではなく、しゃんしゃんされていないか、洗脳されていないか、常にある程度の警戒心をもって臨まないといけない。具体的な問題提起は、時期がきたらしたいと思う。今年度から政府の委員の任期も終了したこともあり、いろいろなしゃんしゃん大会に自由にでて自由に発言できるためさらに見聞を広めていきたいと思う。
さて、今日、2日目は、ホルモン療法の2演題、抗HER2療法の3演題についてお伝えしよう。
Paul Goss が発表したのは、Gailモデルで乳癌発症リスクがやや高いとされる閉経後女性に対するエキセメスタンの乳癌発症予防試験である。結果は、昨日の発表に前日に、すでにNew England Journal of Medicineに掲載される、という早業で、この手順の良さにも、企業のしたたかさが感じられる。2300人対2300人の女性が、かたやプラセボ、かたやエキセメスタンを5年間内服、浸潤性乳管癌が、プラセボ群で32人に、エキセメスタン群で11人に発症した。これは、ハザード比でみると0.35になる。表立った骨粗鬆症、心血管合併症などは見られないが、ホットフラッシュとか、精神的な症状とか、性機能低下、関節痛など、日常生活を悩ませるような副作用が結構みられているようだ。発表後のDiscussionに立ったイタリアのDr.Andrea De Censi、かれもタモキシフェンなどの予防研究の専門家であるが、「予防研究の目的は、病気発症による精神的なダメージを如何に減らすことができるかであり、病気による死亡を減らすことではない。」と発言した。そうなのかな? たとえば、乳癌検診は、乳癌を見付けることが目的ではなく、乳癌による死亡を減らすこと、ということで研究が行われているが、検診(二次予防)と、エキセメスタンや、タモキシフェンなどによる乳癌発症予防(一次予防)とは違うのだろうか? いずれにしてもファイザーのしたたかな企業戦略の勝利と言える。
もうひとつ、ホルモン療法に試験であるが、昨年暮れのサンアントニオで相良のやっちゃんがポスター発表した、タモキシフェン+ゾラデックス対アリミデックス対ゾラデックスの閉経前乳癌の術前ホルモン療法の比較試験で、今回はKi67の抑制に注目した発表である。やきなおしっちゃあ、やきなおし。結果は、アリミデックスの方がよい、というものだが、国立がんセンターの木下先生の発表、頑張ったがいまいちだな~、申し訳ないけど。発表終了後に、フロアから、Dr. Mathew Ellisが質問した。「アリミデックス+ゾラデックスで、血中エストロゲン値が徐々に上昇しているが、あれは統計学的に有意な推移か?」。これに対して申し訳ないけど、う~ん、ちゃんと答えられなかったな~、う~ん・・。この現象は、しばしば指摘されていることで、タキフィラキシー、つまり、治療を続けていくとだんだん反応が衰えてくる、ということで、ホルモン刺激などは、刺激を継続しても、反応が徐々に低下することはよくあること。これがために、アロマターゼ阻害剤などは、途中で休薬をいれるような試験も行われているのである。だから、もうちょっときちんと、ぱーどん、とか言わずにこたえてほしかったな、いっしょにベルリッツに行こうかね。

抗HER2療法に関しては、ベイラーのジェニーチャンのトラスズズマブ+ラパチニブの併用で、充分に高い病理学的完全効果が得られるからケモはいらないよーという発表が一つ。それから、サンアントニオでクリスマスシーズンにシカや、サンタの帽子をかぶって時々質問してる、あの突拍子もないお姉ちゃんフランキーホルメスが、まともな格好して演題にたち、ケモ(FEC→Paclitaxel)に、トラスツズマブ単独、ラパチニブ単独、両者併用により、様々なバイオマーカーがどのように動くか、というUSOncologyの発表。それからイタリアのバレンシナグアネリの、CHER-LOB trial。これも、ウィークリーパクリタキセル→FECにトラスツズマブ単独、ラパチニブ単独、両者併用して病理学的完全効果がどうか、という検討である。いずれも、術前治療での検討で、しかも、アンソラサイクリンとトラスツズマブンを同時併用して、心機能問題なし!!というものである。この三つに試験から、HER2病に対しては術前治療で、しかも、トラスズズマブ+ラパチニブの併用で、さらに、トラスツズマブとラパチニブを同時併用するのがよい、ということが言える。これらの発表は、先の昨年暮れのサンアントニオで、ルカジアーニ、ホセバセルガ、マイケルウンチが発表した3試験ほどのインパクトはないが、同じような結論といえよう。GSKは、ラパチニブの使用について、いまだにゼローダとの併用の承認しか取得していない。単独でも再発乳がんでは意味があるのに、また、術前治療ではトラスツズマブとの併用が当たり前になっているのに・・である。当局が認めてくれない、浦野さんが厳しくて、などと、他人のせいにしているが、企業としてやるべきことを、きちっとやってください、品川美津子さん!

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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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