TAILORxの物語 -OncotypeDxの孤独- (3)


試験参加に同意した人は手術標本をオンコタイプDX検査に出し、再発スコア(リカレンス・スコア:RS)が0-10までの人は、文句なくホルモン治療だけ、RSが11-25の人は、ホルモン治療だけ、か、ホルモン療法と抗がん剤治療の併用のどちらかかに、割り付けられる、自分でこっち、とかあっちと選ぶことはできません。できません、というか、RSが11から25というと、地球上のどんな専門家に聞いても、ホルモン治療だけでよいとも、ホルモン療法と抗がん剤治療の併用がよいとも、わからないのです。専門家でもわからないのですから、ランダムにどちらかの治療をうけるように2つのグループを作り、それぞれにホルモン治療だけホルモン療法と抗がん剤治療の併用を受けてもらい、10年後ぐらいにでる結果で、はじめて、どちらがよい、ということがわかるのです。そもそも医学、医療、治療、検査などというのは、昔の人たちがランダムに比べる試験に参加してくれたおかげでわかったことを、私たちに時代をこえてプレゼントしてくれるという、バトンリレーみたいな形で進歩していくのです。(以下次号)

 

投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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