紹介状の今・昔


紹介状を診療情報提供書という小役人言葉で呼ぶことが多くなっています。同様のことは、懇親会が情報交換会になったりなどもあります。かつて、国立がんセンターに勤務していたころ、首都圏のある市立病院に患者さんをお願いしたことがありました。そうしたら、その院長から、大学の医局の後輩である国立がんセンター病院の医長に「おまえのところの若い医者が電話もなしで紹介状一枚送りつけてきて患者を紹介してきた。」とお叱りがありました。紹介状に関しては、「ワープロで書いた紹介状一枚送りつけてきて患者を紹介してきた。」とか、「ファックスで患者を紹介してきた。」など、時代背景を感じさせるような教育的指導を頂いたこともありました。
現代は、紹介状はご機嫌伺いのご挨拶ではないので、ワープロでもファックスでも、用が足りればよかろう、ということだと思います。電話で一言、こういう患者さんをお願いしましたのでよろしくお願いします、と連絡するのもいいとは思いますが必須ではないでしょう。いずれにしても、時代と状況にマッチした礼儀のエッセンスが含まれることは必要だと思います。
最近、セカンドオピニオンで来院する患者さんの中で、宛名なし紹介状を持ってくる方が目立ちます。中には、かなり使い込んで、しわしわになったものをお持ちの患者さん、同じ文面のものを十枚以上も持っている方もいます。これは患者さんがコピーしたものか、それとも担当医が大量発行したものかわかりません。「宛名なし」や「ご担当先生御机下」というのは、癌難民を発生させる原因のひとつではないかと思います。患者さんを紹介するということは責任を持って相手先医療機関に依頼するということですから、所属、診療科、フルネームでの医師名を書く必要があると思います。また、紹介状の署名がへたくそで読めないのも困りものです。

20才台からの健康管理


街角診療所をやっていると、各種企業からの健診の依頼も来ます。ちなみに「検診」と「健診」は意味するところが違うということになっており、健診は結果の医学的解釈の説明や予防医学的観点からの生活指導までを含んでいるものをいいます。一方、検診は検査だけで、しかも、フォールズポジティブが多く、心配の種をまき散らす、S隷病院でやっているようなものを言います。検針はガスや水道の使用量のチェックのことです。
健診に来る20才台のお客さんの場合、そもそも血液検査や胸部レントゲン写真などが本当に必要かと思うぐらい異常がなく、心電図も、小学校から高校までを通じて異常を指摘されたことがない場合には、必要ないような感じです。20才台は、徹夜とか、夜更かしとか、暴飲とか、毎日コンビニ食とか、深酒とか、多少、無理をしてもホメオスターシス力が強いので肉体的には相当タフ、健診項目も大幅に削っても良いような感じ。問題は「たばこ」です。
20才台の健診受診者の8割以上は喫煙者で、しかも本数が一日40本以上という若者が多く、禁煙の意志を問うと、たばこだけはやめられなくって、とか、禁煙など考えたことはありません、とか、あまりたばこが悪い、という意識はないようです。癌の観点からみると、肺癌をはじめ、喉頭癌、咽頭癌、口腔底癌、食道癌、膵臓癌、膀胱癌、子宮頸癌といった癌がたばこ発癌です。女性の喫煙者は、肌ががさがさで、お化粧ののりが悪く、頭髪もばさばさで、目も充血していて、歯も黄ばんでいて、いかにも「ぶさいく~」という感じになります。しかも、へやに入ってきただけでたばこのにおいが充満、診療所の外でしこたまたばこをすってから来ました、という感じの人も多いです。ちなみに、かつてアスト○ゼネ○社のMRをやっていたNKGW氏は、診療所全体の空気をたばこ臭くしてしまうほどのヘビースモーカーで、とても健康関連産業に身を置く人間とは思えないほど、高性能の肺をお持ちでした。話をもとにもどすと、20歳代の人では、健診などやらなくて良いから、従業員に禁煙を徹底すること、これが職場の健康管理としては大切だと思います。街角がん診療所では、禁煙外来もやっていますが、意を決して、たばこをやめた女性は、それまで肌ががさがさで、お化粧ののりが悪く、頭髪もばさばさで、目も充血していて、歯も黄ばんでいたのが、すべすべのお肌になり、内面からの美しさが感じられるようになり、禁煙の効用を実感します。御顔の造作もかわったようにみえる場合もあります。

脳みそ使えや


エピソード ワン
7月の暑い日差しの下、ほとんど車通りのない国道。目の前のコンビニに行きたいのですが横断歩道は200メール先です。その横断歩道の脇に交番があるので、そこのお巡りさんにきいてみました。「すぐ目の前のコンビニに行きたいのですが、車も全く通っていないので横断歩道でなくても渡っていいですか。」お巡りさんは、横目でちらりとこちらを見て「必ず、横断歩道を渡ってください。」と答えました。やはり、横断歩道を渡らなければいけないのでしょうか?」 → 脳みそ使えや
 
エピソード トゥ
「今日の治療指針」という分厚い本が毎年、医学書院から出版されます。私も、1-2回、抗癌剤の支持療法のところを執筆したことがあります。この本のあちこちを読むと、いろいろな病気に対して、いろいろな治療方法がコンパクトに記載されています。しかし、そこに書かれている薬のかなりの数で、「保険適応外」となっています。これはいったいどういうことでしょうか? → 脳みそ使えや
 
エピソード ツウリー
1995年頃でしたか。癌治療学会の乳癌治療のセッションで「乳癌治療にシスプラチンが有効」という結論の発表がありました。確かに、乳癌でも、ファーストラインあたりで使用すればシスプラチンは30-40%程度の奏効率がありますが、アンソラサイクリン耐性の場合、シスプラチンの奏効率は、10%以下。腎障害、悪心・嘔吐などを考えると、あまり使い勝手はよくない、ということから、乳癌診療においては、標準治療とはなっていません。それは、いまも昔も同じ事。それで、さっきの癌治療学会の話。フロアから手を挙げて私は「シスプラチンは乳がん治療薬としては保険が通っていませんが、使っていいんでしょうか」と、いかにも、いかにも、国立がんセンター的な質問をしたところ、座長を務めていた大御所が、「保険は関係ないんちゃいますか。ここは、学問を討論する学会ですから」と取り合ってくれませんでした。当時は、それでよかった。でも、今はそういう世の中ではないように受け止められているが、でも、かならずしも、世の中の仕組みがそこまで整備されていないので、やはり、当時と同じような「保険は関係ないんちぃまっか~?」という対応も必要かも知れません。ハイ、脳みそ使います。
 
エピソード フォー、それでは問題です。
HER2(3+)、腋窩リンパ節転移20個陽性の術後乳癌の患者さん、「当院ではハーセプチンは使えません。使うとすると自費診療となります。」と言われ、セカンドオピニオンで当院受診されました。年金暮らしで生活も苦しい。どうしたらいいでしょうか。エピソードワンからツウリーを参考に、脳みそを使って考えなさい。
 
(回答)
このような乳癌は80%以上の確率で、遠隔転移を来してくると考えられます。そういった意味で、極めて転移しやすい性格、すなわち「転移性」を有する乳癌と考えられます。また、ハーセプチンを使用することによって、再発率は、40%以下に抑制させることができる、ということが検証されています。ということは、「転移性乳癌」との診断名の下、ハーセプチンの絶対適応と考えられます。
 
よくできました。よくできました。よく脳みそが使えました。

おつかれ乳癌学会


先週は、月曜日メディアセミナー、火曜日大学講義、水曜日医療相談、木曜日CSPOR ACADEMY、金曜日ランチョンセミナー、ガイドラインの話、土曜日乳癌学会発表、ランチョンセミナー、スポンサードシンポジウム司会、と、1週間で8つの講演をこなし、いささかおつかれでした。土曜日の夜10時に浜松にたどり着き自宅ジャグジーバスでゆっくり癒し系。日曜日は雨の中、リバーサイドサウスを8km走りました。日中はぬのはしに行きかき氷を食べ、久しぶりにガーデニングをちょっと。今日は、メダカ入り睡蓮鉢を作りました。ビオトープの出発点です。
さて、乳癌学会、内科系理事になり、あと4年、薬物療法のレベルアップに尽力したいと思います。今年の乳癌学会のプログラムはやや雑な作りで、同じ内容の演題が同じ時間に別の会場であったり、会場が広すぎたり狭すぎたり、評議員懇親会は例によって、誰も楽しくない退屈な伝統芸能が長々続いたり、全員懇親会では、懇親したくても、場違いな太鼓芸能がやかましく話もできずみんな逃げ出したりと、毎年の繰り返しでした。しかし、今年の乳癌学会ではすばらしいこともありました。それは追加発言です。ガイドラインのセッションでの榎本耕治先生の追加発言は、事前にきちん準備され、当日のディスカッション内容を適切にもりこみ、適切な評価と将来展望を示してくれました。また、二日目のプレジデンシャルシンポの三浦重人先生の追加発言は、見事なまでにポイントを整理し、司会者が言うことがなくなってしまうぐらいでした。一方、長々と同じ事を繰り返した追加発言や、時間が過ぎていてもやめないので、座長に止められてしまった追加発言もあったようです。今後の参考にすべきでしょう。たくさんのことを学んだ1週間でした。
 
ところで、明日(月曜日)、フジテレビの「特ダネ」という番組で、浜松オンコロジーセンターが紹介されるようです。朝9時ごろらしいので、誰も見ることができないような時間帯です。

50才台からの健康管理


がん、高血圧、糖尿病、高脂血症など、慢性疾患のガイドラインを読むと、予防には「定期的有酸素運動」が推奨されています。「ジョッギング、ウォーキング、スイミングなど、多少、ハアハアするような運動を、20-40分ぐらい、週に2-3回」。これが予防のための処方せんです。
 
自分でも、勝俣先生ほどではないにしても、毎朝のジョッギングは継続可能な日課となっています。最近では、毎朝5km以上は走っています。この話をすると、本当ですか? と言う人は多いのですが、走った分、食べているので体型はあまりかわりません。
 
10年ぐらい前から、週1回はスポーツクラブでのランニングはしていましたが、朝のジョッギング歴は、2-3年ぐらいです。きっかけは、ファイザーを去ったボブワークマンに教えてもらったガーミン社のアウトドア用GPS「フォーランナー201」を使ってみたかったからです。室内のランニングマシンと外走りでは、同じ時間、ランニングしても、外走りの方が、圧倒的にさわやかですが、GPSを使ってみると走行速度、距離が表示され、さらに楽しさ、倍増でした。
 
勝俣先生に勧めたら彼も購入したのですが、東京のビルの谷間を走る彼にとっては、衛星からの電波受信(acuireing satellite signal)が弱いので、フォーランナー201をあまり好きにはなれなかったようで、使っていないと言っていました。ところが最近、ガーミン社のホームページを見ていたら、新製品「フォーランナー305」というのがでて、衛星信号を迅速に捕捉、心拍モニター機能、インターネットとの接続機能など、魅力的な新機能がついて、アメリカでは人気の製品ということがわかりました。しかし、日本では売っていない、日本からでは、通信販売でも買えない状態です。そこで、ASCOでアトランタに行った時、玉岡さんと一緒にアウトドアストアに行って「フォーランナー305」を買ってきました。これがすばらしいのです。衛星の電波は確実にすばやく捕捉するし、その精度も高いようです。いちど、201と両方を装着して走ってみたのですが、性能は確かに305が圧倒的に優れているし、距離、スピードの計測の精度も全然ちがいます。また、心拍数をモニターできるので、50歳代からの健康管理には最適ですね。とくに感動的なのは、走った奇跡をgoogle map上に表示して、走行距離、速度、カロリー消費、心拍数の推移などを分析することができることです。
 
ところで、あのgoogle mapのサテライト写真、すごいです。アメリカの家々の庭の犬までが見えます。日本の部分は、それほどまでの拡大は見えませんが、サテライト写真上にもジョッギングの軌跡が表示されるので、楽しみは8倍増です。ちなみに、米国留学中に住んでいたナッシュビル、シャロンデールドライブ2502の家や、姪っ子の亜矢が留学していて、先日、私も向井先生といっしょに遊びにいってきた、スエーデンのアンマリーさんの家も、家の色や形が識別できるぐらいによく見えます。あれでは、テポドン2号など、丸見えのはずです。

Response by Dr. Vogl


Dear Dr Watanabe – thanks so much for your email . It was a pleasure to meet you, and I look forward to meeting you again in san antonio. Perhaps we can have dinner together. I suspect some of the speakers do not appreciate some of my questions, But I think it important that the presenters know that members of the audience who put patients first (not research programs or research funding dollars) will be listening carefully  and critically evaluating their data and analysis. Have a good summer.     steven vogl
 
(訳)
渡辺先生- 電子メールありがとう、あえて楽しかったよ。サンアントニオでの再会を楽しみにしてしているよ。たぶん、食事をご一緒できるでしょう。ぼくは、演者の中にはきっと、ぼくの質問を評価していない人もいるのではないかと思っている。でも、発表者は、研究や研究費よりも患者の事を第一に考える聴衆が注意深く、そして批判的にデータや解析結果を訊いていることを知っておくことが大切だと思っているんだ。楽しい夏を過ごしてください。 スティーブン ヴォーグル
 

Dr.Vogl from New York


ASCOやサンアントニオ乳癌シンポジウムに参加されたことのある方はご存じだと思いますが、やや巻き舌で「Steven Vogl form New York」と前置きして質問に立つおじさんがいます。一つのセッションで4-5回は質問するでしょうか。私は10年ぐらい前から、その存在が気になっていたのです。質問の内容は、臨床家の視点にたって、当を得たもので彼の質問に対しては会場からしばしば拍手が起きます。よく質問はしますが、発表者として壇上に立ったり、ポスターで発表するといった姿は見たことがなく、いつも聴衆として参加してるようです。今日の午前中のセッションで、私の座った席の4-5列前に彼が座っており、質問の度にマイクスタンドのところまでいったりきたり。そのたびに私の横を通ります。セッションが終わって「I enjoy your questions every year in ASCO」と挨拶したら名刺をくれました。Steven E.Vogl, MD Medical Oncology and Internal Medicineと書いた下には、OFFICE HOURS BY APPOINTMENT(外来予約制)と、住所、電話番号が書いてありました。ASCOの住所録を調べてみたら、

Oncology Speciality:

    

General Oncology

Board Certification:

    

Medical Oncology

 

と専門が書いてありました。おそらく、ニューヨークのブロンクスでMedical Oncology のクリニックをやっている先生のようです。結構年配に見えますし、足も少しお悪いようです。しかし、とても熱心にプレゼンを聞き、デジカメでスライドを撮り、いつもいつも質問をしている姿にはとても関心させられます。ひるがえって日本の学会では、質問はほとんどなく、時間をもてあました司会者が、どうでもいいようなお愛想質問をして、それでも時間が余ってしまい、時間調整のために10分間休憩します、みたいなことがよくあります。また、前に誰も立っていないポスターも多く、こういうのを貼り逃げ(post and run)と言います。
 
毎年、ため息まじりに思うのですが、学会の規模もさることながら、プレゼンテーションの内容、質疑応答の濃厚さ、聴講参加者の熱心さなど、ASCOと日本の学会では、質、量、規模など、どれを取っても1000:1ぐらいの比率のように感じます。ただ、日本の学会では、開催都市の夜の飲屋街のにぎわいはASCOの1000倍ぐらいですから、平均すると同じということになるかというと、そんなはずはありません。学会充実の必要性を痛感しました。

顔洗って出直してこい!


何をどこで間違えたのか、東京の白山クリニック院長と名乗る男性から電話がありました。
 
白山「先生は癌の専門ということですね」
私 「はい、そうですが・・・」
白山「当院では活性化リンパ球療法をやっていますが、、・・(意味のない無駄な説明が延々と続いた)・・・適応となる患者さんがいればご紹介ください」
私「そのような場合がもしあれば、お願いします」と『ざけんじゃないぞお!!顔洗って出直してこい!』と言いたい気持ちをこらえつつ慇懃無礼に(がちゃっ!)と電話をきりました。
 
いったい何を考えているのでしょうかね。全く根拠のない、意味のないことを、治療と称してやっているこの手の医療機関がなんの評価もされずにのさばっているのはおかしいと思います。
 
わざわざ院長と名乗る男性から私のところに電話がかかってくるところをみると、患者さんもそろそろ無駄なことだと気づきはじめ、あこぎな経営もいよいよ行き詰まっているのでしょうか。科学的根拠のない医療はついに淘汰される時期が来たようです。こうなると崩壊ははやいぞ、アガリクスの時のように。
斬り~!!

心の声


【浜松オンコロジーセンター開設1周年記念ニュース】
 
<二重音声放送でお送りしています>
 
【主音声】
「おかげさまで浜松オンコロジーセンターも、5月6日で開設1周年を迎えます。いろいろとご支援、ご指導頂き、ありがとうございました。これからもよろしくお願い致します。」
 
「あ~、もう、1年も経つんですね。僕も、もう、手術もいいかげん疲れたし、患者は増えるばかりで大学にいても忙しくなるばかりだけど、教授は理解してくれないし、そろそろ、手術やめて、先生みたいなオンコロジーセンターをやろうかと考えているんですよ。これからは、乳癌治療も内科の時代ですからね~。いろいろ細かいところ教えてくださいね。」
 
「なにか、お手伝いできることがあれば、お力になりますから、おっしゃてくださいな。」
 

【副音声】
「おかげさまで浜松オンコロジーセンターも、5月6日で開設1周年を迎えます。いろいろとご支援、ご指導頂き、ありがとうございました。これからもよろしくお願い致します。」
 
「あ~、もう、1年も経つんですね。僕も、もう、手術もいいかげん疲れたし、患者は増えるばかりで大学にいても忙しくなるばかりだけど、教授は理解してくれないし、そろそろ、手術やめて、先生みたいなオンコロジーセンターをやろうかと考えているんですよ。これからは、乳癌治療も内科の時代ですからね~。いろいろ細かいところ教えてくださいね。」
 
「あのね~、いい年して、なにバカなこといってるのよ。先生の立場で、情熱をなくしてたら、大学にいたってどこにいったってだめだよ。楽しようと思ってたら癌医療なんかできないぜ。それに、もっと決定的な誤解をしているよ。それは、まあ、先生だけじゃあないけどさあ、だいたいねえ、外科マイナス手術イコール内科、っていう考え方が根本的にまちがってるよ。いい加減な外科医が、手術やめたからって内科医になれるわけないじゃん。内科の本質は、そう簡単に習得できるもんじゃないんだぜ。もっと、まじめにやれよ。」

 
 

朝のやりとり


早朝のランニングは日課として定着しています。毎朝、5km以上はGPSを頼りに町内を走っています。爽快感があります。先日ランニングしてから、いちいの木のあたりの雑草の草むしりをしておりましたところ、通りがかりのおじいさんが言いました。「最近は、あちこち舗装されて、雑草もこういうところにあつまってしまうねえ。」と。「そですねえ」と言いながら手を休めずに、ちょっと考えてみました。『そうじゃあなくってえ、雑草の種は、コンクリートの上にも、アスファルトの上にもばらまかれるけど、このような土のあるところだけ発芽して、雑草が茂るわけで、別に集まってくるわけでなないのですよ。それは、ちょうど、癌細胞が転移するのと同じで、転移した先で癌細胞が育つか育たないか、という理論と同じなわけですね。』気がつくと、おじいさんはもういませんでした。