小笠原選手の失敗


日本ハムがとくに好きというわけではありませんが、多少なりとも北海道に縁があった身としては、小笠原選手の動向に注目していました。彼が巨人軍に移籍してひげをそった脱皮直後の蝉のような情けない姿を見たとき、彼の判断は失敗だったと感じました。巨人軍は過去の名声と財力と地の利にものを言わせて優秀選手を集めまくっても魅力、戦力はがた落ちの現状です。それでも小笠原選手らが移籍するのは、(1)彼らがすごした少年時代の憧れの中に刷り込まれた巨人軍ブランド、(2)高額年俸やマスコミ露出度、(3)引退後の球界での安定した立場などがあるようです。確かに北海道は雄大な大地とは言え、所詮、辺境の地です。あれもない、これもみすぼらしい、景気は悪い、一年の大半は寒い、いつも中央に目を向けている、など、東京から出向いて、しかも、今回の優勝で全国区に名が売れてしまって付加価値が高くなった小笠原選手からみれば、渡りに船なのだと思います。その挙句に、ひげをそってお公家さんのようになった彼の姿をみると、ただでさえ嫌いだった巨人軍がますます嫌いになってしまいますし、小笠原選手の人生におけるFA権行使の結末は決して幸せなものではないように思います。広島カープなども、流出していく選手が多い中、FA権を行使して残留した選手がいます、広島の選手なので、赤いばっかりで名前はぜんぜん知りませんけど、すばらしい決断だと思います。また、駒大苫小牧の田中投手も楽天でもごねないで生き生き入団、いずれはMLBに行くのでしょうが、江川みたいに巨人軍の名門ブランドにこだわるのではなく、自分の力で無印球団を一流ブランドに仕立て上げよう、という気概が感じられて、共感するところがあります。ちなみに私は中学1年の頃からのスワローズファンです。当時は、産経アトムズといっていました。新幹線に乗って浜松から神宮球場まで応援に行きましたが、阪神タイガースに毎回得点を許したり、16連敗で別所監督が解任されたり、毎年最下位の弱い、弱い球団でした。しかし、いろいろありましたが、スワローズから若松監督、大矢監督などが育ち、古田監督が活躍したり、味とゆとりのある球団に発展してきたと思います。小笠原選手も北海道にいれば、道民に愛されたでしょうに。寄らば大樹の陰ではなく、自らが大きないちいの木にそだち、新機軸を打ち出すことが大切です。

密着されて


10月初頭からはじまった密着取材も昨日でようやくおわり、夜9時過ぎに撮影クルーの乗ったワゴンを見送りました。最後は、ひとりさびしく妙子作の冷蔵食品を電子レンジで暖めて食べる場面もとられました。放映は12月15日フジテレビ系列です。いったいどんな構成にするつもりなのか、今回は楽しみですが、放映日はサンアントニオの行っています。めまぐるしく過ぎ去った10月、そしていつのまにか木枯らしの吹く冬を迎えた11月も半ばを過ぎた浜松は静に年末を迎える準備が進んでいるような気がします。

役人の自覚と責任


今日、厚生労働省16階での会議に参加した後、1階に下りたらたばこのにおいが充満していて、なんだこりゃー!!! 1階に喫煙室があるらしい。そういえば、ついこの間まで、たばこの自動販売機が2階に設置されていましたね。厚労省の公務員は全員禁煙しなくてはいけないし、厚労省の敷地内は全面禁煙にしなくてはいけない。同様に健康関連産業である製薬企業社員は禁煙しなくてはいけない。頼みますよ、KZWさん。

見えてきた事、見えていない人


第44回日本癌治療学会が新宿京王プラザホテルで開かれています。東京での学会で京王プラザホテルに来たのは何十年ぶり。ちょっと郷愁。一日目の午後、癌治療専門医についてのパネルディスカッションがありました。昨年来、この問題はとても次元の低いところでのいさかいとしてあきれられ、NHKのニュースでも、困ったもんだ、という視点で取り上げられた全世界注目の問題でした。今年は、それでも幾分の進歩があったようで、本質がみえてきたところも感じました。しかしやっぱり、なにもわかっていない人、全く見えていない人もおりました。あっ、また、言ってるぅ、みたいな。日本語勉強してからでなおしてこい、なんて言われたりして。言う方も言われる方も、今日のお昼は、おこちゃまらんち、といったか~んじ。
 
さて、制度論だとか、外形論だけに終始しがちなこの手の議論ですが、なるほどね、と感じたのは、お二人のパネリストのお話でした。広島の西山先生がいいことを言っていました。彼は「バトンタッチ」をキーワードに責任ある癌医療を主張していました。その通りだと思います。要するに、癌治療に専門的に取り組む上で大切なことは、臨床医として、責任持って、患者を引き受けることができ、また、引き渡すことができるかといった力量で、臨床力と責任感、親切な心、社会正義意識を持たなくてはいけない、そうようような医師を育成しなくてはいけない、ということです。幸い、私は国立がんセンターでのトレーニング期間中に、外科手術、放射線治療、内視鏡治療、病理診断など、内科以外の癌診療の実際も深く、長く、直接経験することができたので、外科医が何を考えているか、術後、あるいは、再発後の患者を外科からどのようにして、引き受けることが大切なのか、ということがよくわかっています。また、放射線治療は、どんな場合に必要なのか、どんな効果があり、どんな副作用があるのか、また、放射線治療医に依頼する際には、どのような情報を伝達すればいいのか、ということもわかっています。一方で、外科医がどうして、抗癌剤治療をいつまでもやっているのか、それもよくわかります。受け皿となる腫瘍内科医がいない、少ない、ということとも大きな問題ですが、それはこのパネルディスカッションでも取り上げられているように、時間が経てばそのうちに解決されてることだと思います。要は、外科医は、自分でいつまでも診る、ということが、責任を持つということだ、と勘違いしている場合があります。よくわかっている先生は、「抗癌剤は、私のような外科医がやるよりも先生にお任せした方が患者のためになりますから」と、明快な紹介状とともに、その旨を患者に説明し、患者さんも喜んで紹介されてくる場合もあります。つまり、旨くバトンを渡せる、受け取ることができる、ということです。バトンの受け渡しで、気になることは、「宛名なしの紹介状」です。これは、責任を持たないでバトンを投げ出すことに近いと思います。「ご担当先生」宛の紹介状から感じ取れることは、「どーか、他の病院に行ってください、私は、貴方の診療を、できれば他に回したい」という逃げの姿勢です。逃げてはいけません。これが、癌難民を産む最大の愚行です。信頼できる医師、力量のある医師にきちんと、継ぎ目なく、責任をもって紹介することができれば、患者も幸せだろうと思います。また、任せられた場合も患者の要求に応えること、終末期医療に移行する場合には、不連続にならないように、シームレスな対応をすることが大切です。
 
国立がんセンターの土屋了介院長は、レジデントの大先輩で、現場感覚を重視し、臨床でのトレーニング、教育、鍛錬、精神論に関しては、一家言ある先生です。彼は「癌診療専門家は、診療所に多く重く配置されるべきである」と主張、街角癌診療をめざす私としては、「おっ、そのと~り!!」と激しく頷く場面でした。実際、1年半になりますが、浜松オンコロジーセンターをやってみて感じるのは、抗癌剤治療や、術後のフォロー、再発後の症状緩和医療など、癌医療の中核をなす部分は、日常の中にあるので、おうちの近くの診療所できちんと対応してくれるのが、それは、それは、大切だ、やっぱり大切だ、そうだ、そうだ、ということです。検査や、手術、といった非日常のイベントは、たまに行くことだから、築地の大病院でもいいのです。日常の診療がよくわかっている土屋先生ならではの発想で、先の院長の口からは、決してこういう発言は出てこないと思います。しかし、土屋ビジョンも「認定施設」という話になると急にトーンダウンしてしまいます。「認定施設」とは、専門医、認定医となるために一定期間、そこで診療をして、実績を積まなければいけません、という病院です。これは、専門医や認定医を認定する学会が求めている医療機関で、すべて「病院」であり「診療所」は、認定されないのです。認定されるには、病理医師が常勤している、とか、複数の認定医、専門医が勤務しているとか、診療所では充たすことのできない要件多く含まれます。実際、私が、山王メディカルプラザでオンコロジーセンターを立ちあげたときに、乳癌学会の専門医を申請したところ、認定施設ではない、ということで認められませんでした。そこでもかなり高質な乳癌診療を実践していたにも関わらず認定施設ではない、病院ではないという理由のようです。これでは、専門医をとりたくても施設が認定されていないのでとれない、施設を認定してほしいが専門医がいないので申請できない、ということになり、地道に診療所を立ち上げて街の癌診療を目指す場合、永遠に専門施設として認められないことになってしまいます。認定施設として、病院ならこれこれ、診療所の場合はこれこれ、と、別立てで充たすべき要件を明確にすることが大切で、そうすれば、診療所の努力目標も明確になるのではないでしょうか。外来化学療法が積極的に推進されている時代、なんでんかんでん病院たい!というのは時代錯誤だべさ、ということで、新宿よりお伝え致しました。
 

ゆがんだ医療


新しい医療機器を導入すると、従来の方法に比べると「すごーい!」というような効果が得られる場合が確かにあります。しかし、バカとはさみは使いよう、というのはまさにこのことで、「トモセラピー」がいい例です。トモセラピーとは、放射線照射装置で、CTスキャンのような形をしており、ドーナッツの輪から回転しながら放射線が照射され、機械の中に横になった患者がベッドごと出し入れされながら、病変に放射線が集中的に照射されるため、正常組織には影響が少ないという、優れものではあります。脳転移など、本来放射線照射が有効な場合には、卓越した有用性を発揮するでしょう。価格も5億円ぐらいする、お高い機械です。そのため、導入した医療機関では、よほど運用資産に余裕がない限り、元をとらねば、と対象患者を増やそうとするわけです。
HER2強陽性の乳癌、多発肺転移の患者さんが、マスコミで紹介されたトモセラピーを知り、治療を受けに行きました。その病院では「ペットで見つけた癌をトモセラピーでやっつけるので、どこにがんが潜んでいてもみつけてたたきのめして、完治させることができる」として5億円の設備投資を回収すべく、全国から広く患者を集めています。それで、その患者さんは、肺転移に7か箇所、トモセラピーを受けました。しかし、終了後、1ヶ月足らずで、別の転移が出現、また、トモセラピーをやったほうがいい、と言われ、もとの主治医に相談したところ、浜松オンコロジーセンターでセカンドオピニオンを聞いたら、ということになり、私のところにいらっしゃいました。
賢い読者なら、私が何を言いたいか、おわかりのことと思います。久しぶりに「いっか~ん!!」 ハーセプチン治療を開始し、肺転移は当然のごとく消失しています。「乳癌の肺転移には手術も放射線照射もやってはいけない 推奨グレードAAA」。しか~し、肺転移、肝転移、骨転移に対して、不適切なゆがんだ医療がまだまだ横行しています。みなさん、ご用心くださいませ。

マルサのおじょうさん


先週、医療法人圭友会に税務署の査察が入りました。査察と聞いて、計理士はじめ、緊張が走ったのですが、「ランダムに選ばれた新規開設の事業者を対象にするもの」と聞いて、自然体で臨めばよかろう、という対応で査察官をお迎え致しました。後でわかったのですが、この読みは全く間違っていたことを知らされたのでした。
査察官、すなわち、マルサの女は、20代後半? 30代? (まさか40代ではないとおもいますが)、とにかくお若いおじょうさんで、挨拶し名刺をお渡しすると、警察手帳のような税務署員証をかかげ、「○○○○です」と、見かけに似つかわしくない落ち着いた声で自己紹介されました。それで、マルサのおじょうさんは、二日間にわたり、我が法人の経理書類を手際よく徹底的に調査分析されたのでした。おおかたの経理書類に目を通した後、初日の夕方ぐらいから、薬剤の使用状況を確認したい、ということになり、法人経理担当者(妻、妙子)と薬剤師が対応しました。「○月○日にハーセプチンを5バイアル仕入れていますが、その使い道を教えてください。」と具体的なつっこみ。当方、優秀な薬剤師を雇用しており、マルサの質問に対して、瞬時に各薬剤を使用した4名の患者のカルテの処方欄を示し「残りの1本はここにあり、明日、使用することになっています。」と完璧な対応。質問はさらに「ゾラデックスは?」「リュープリンは?」と、単価の高い薬剤について、つぎからつぎへと続きます。いずれも薬剤師がきちんと対応し1日目無事終了。
 
翌日の昼頃には、マルサのおじょうさんも多少うち解けたらしく「実は・・・」と、今回の査察の本当の目的を話してくれたのでした。「お宅は薬剤の仕入れ額が医療法人としては、桁違いに多いのにもかかわらず、所得申告額が異常にすくないので、そのあたりの状況を確認させて頂きましたが、特に問題はありませんでした。」というのが、マルサのおじょうさんが話してくれたポイントでした。つまり、「あんたんところは、ものすごい金額の薬剤を問屋から仕入れているのに、それに見合う分だけの所得が申告されていない。これは、仕入れた薬剤を横流ししているとか、所得を過小申告しているとか、決算を粉飾しているとかに違いない、と、乗り込んできたけど、どこにも問題はないことがわかったわ」ということでした。ちなみに、穂積先生情報では、ハーセプチンの使用量は、我が浜松オンコロジーセンターは全国で31番目で、これは、千葉県がんセンターや、群馬県がんセンターよりも多い、ということだそうです。
 
抗癌剤治療、受ける患者さんも、実施する我々もかなりのストレスがあります。また、抗癌剤治療を行うには、相当な専門的知識、経験、高度な判断力を要求されます。にもかかわらず「抗癌剤治療を一生懸命やっても税務署がびっくりするぐらい収益が少ない」 というのが、実態なのであります。これはすなわち、抗癌剤の仕入れ価格が、他の一般薬にくらべて、桁違いに高いのですが、その薬剤仕入れの際の値引率は極めて低く、抗癌剤治療に関わる専門的技術料が不当に低く評価されているというあたりが原因です。医療機関が赤字でも、報酬面で報われなくても、患者さんのニーズは確実に高まっていますから外来抗癌剤治療は今後、ますます増えていくことでしょう。このギャップをどのようにしたら、うめることができるのでしょうか、腫瘍内科医の第一人者として解決策を考えていきたいと思います。 それにしても、マルサの方、何が楽しくてあんな仕事をやっていられるのでしょうか。
このブログがきっかけで追徴金を課せられないことを祈ります。

続・医者のりーくつー


前回、医者のりーくつぅ~を書いたときは、(2)、(3)として、私が見聞きした、世の中に通用しにくい医者の屁理屈を順番に書こうかなと思っていました。たとえば、「僕は乳癌の患者を診ていますが、本当は肝臓外科医なんですよ、もっとも最近は肝臓の手術は、ここ1年ぐらい、していませんけどね、なんていう話は、患者さんは不安になるし、病院としては、そんないい加減な医師を雇用していては、社会的な信用問題にもなりかねない」というような話です。ところが、7月にフジテレビの特ダネに紹介されて以来、セカンドオピニオンが一日5件とか、10件とかの毎日で、時間がなかったことと、セカンドオピニオンを求めてお見えになる患者さんの話を聞くと、あまりにも非・標準、非・常識的な治療が行われていて、今まで勉強してきたこちらの考え方が、実は非・標準的なんじゃないのか、と、我を見失う程の衝撃をうけることもあり、それで、続編の筆が進まなかったわけです。最大の衝撃は、新横浜の血管内ナンセンス治療。ここでナンセンス血管内治療を受けている患者さんは、いままで、何人もお見えになり、状況のひどさはわかっていたつもりですが、ますますひどく、看過できない程の有害診療が行われた患者がお見えになり、すぐに元々かかっていた大学病院の先生に連絡をとり、治療を引き受け願いました。保険外診療だからといって、あそこまででたらめなことが許されていいのかと、強烈な衝撃を受けた夏の終わりでした。
 

医者のり~くつぅ~


K市立病院外科で治療を受けている患者さんが浜松オンコロジーセンターセカンドオピニオン外来を受診された。「担当のせんせは、私は乳癌には興味ないんですというような態度なので、とても不安、家族も不安」ということで、できればこちらで診てほしいということだった。紹介状には今までの診療経過が記載されていたが、乳癌の性格を無視した、外科系てんこ盛り治療の典型で、それを読んでも、どの治療が効いていてどの治療が効いていないのかわかりにくい。時間をかけて話を聞きながら謎解きをして、次の治療は、ナベルビンの週1回点滴はどうだろうか、という提案をしたところ「月一回なら浜松まで通えるが毎週はようこられしまへんわ」とのこと、ふと思い出したのが旧知の弟子のISGR先生から「K大学の外来化学療法部門に赴任しましたのでよろしく」との挨拶状。さっそくISGR先生に電話したところ、「いちど乳腺外科の外来に紹介してください。そこからこちらにまわしてもらうように外科の先生にお願いしておきます。うちは、そういうシステムになっているので・・」、あ~、そうなんだ、そういうシステムなんだ~、ということで、そのように紹介状を書いて患者さんにわたし、「地元で腫瘍内科の先生に診てもらえるようにお願いしましょう」とお話しすると、喜んでお帰りになった。1ヶ月後、ご家族から連絡が入った。「結局、ISGR先生には、たどり着けませんでした。むなしい気持ちでいっぱいです」と。さっそくISGR先生に電話をしたがあいにく夏休みで不在、代わって電話口にでた上司という医師が、いきなり、外来化学療法とはどういうものか、腫瘍内科医の不足している現状でわれわれはいかに立派に取り組んでいるか、専門家が化学療法を実施するには、痛みの治療などまでは、手が回らないので、そういう雑用が必要な患者は、紹介元に返すシステムになっている(あ~、そうなんだ、そういうシステムなんだ~)、あなたは患者からの一方的な苦情を真に受けているようだが、記録をみると、患者は、自分の意思で元のK市立病院に戻ったとなっており、これ以上はわれわれにも責任はない・・つべこべつべこべ・・・屁理屈ごてごてごてごて・・・。一方的なのは、あんたのほうだろうが! 残念~! 阿部薫先生に教えていただいたことに、「臨床医っていうのは、基本的にはサービス業なんだから、お前がいくら立派な理屈を言ったって、患者さんが、安心しなかったら何にもならないんだぞ」というご教訓がありました。さあ、サンハイ! 「医者のり~くつぅ~」(犬の気持ちのメロディーで)。

紹介状の今・昔


紹介状を診療情報提供書という小役人言葉で呼ぶことが多くなっています。同様のことは、懇親会が情報交換会になったりなどもあります。かつて、国立がんセンターに勤務していたころ、首都圏のある市立病院に患者さんをお願いしたことがありました。そうしたら、その院長から、大学の医局の後輩である国立がんセンター病院の医長に「おまえのところの若い医者が電話もなしで紹介状一枚送りつけてきて患者を紹介してきた。」とお叱りがありました。紹介状に関しては、「ワープロで書いた紹介状一枚送りつけてきて患者を紹介してきた。」とか、「ファックスで患者を紹介してきた。」など、時代背景を感じさせるような教育的指導を頂いたこともありました。
現代は、紹介状はご機嫌伺いのご挨拶ではないので、ワープロでもファックスでも、用が足りればよかろう、ということだと思います。電話で一言、こういう患者さんをお願いしましたのでよろしくお願いします、と連絡するのもいいとは思いますが必須ではないでしょう。いずれにしても、時代と状況にマッチした礼儀のエッセンスが含まれることは必要だと思います。
最近、セカンドオピニオンで来院する患者さんの中で、宛名なし紹介状を持ってくる方が目立ちます。中には、かなり使い込んで、しわしわになったものをお持ちの患者さん、同じ文面のものを十枚以上も持っている方もいます。これは患者さんがコピーしたものか、それとも担当医が大量発行したものかわかりません。「宛名なし」や「ご担当先生御机下」というのは、癌難民を発生させる原因のひとつではないかと思います。患者さんを紹介するということは責任を持って相手先医療機関に依頼するということですから、所属、診療科、フルネームでの医師名を書く必要があると思います。また、紹介状の署名がへたくそで読めないのも困りものです。